ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

生活情報バラエティ 生活の充実感求める意識の高まりで人気

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 バラエティー番組『あのニュースで得する人損する人』(日本テレビ系)が好調だ。人気をけん引しているのが「家事えもん」。元お笑いトリオ・ジュシーズの松橋周太呂(まつはし・しゅうたろ)の愛称で、「掃除能力検定士」や「ジュニア洗濯ソムリエ」といった資格を取得するほか、自宅には洗剤100種類、スポンジ30種類を所有するほどの「家事好き男子」。料理も得意で、5月5日「こどもの日」の放送回では学校給食100人分を作り、子どもたちの苦手な食材を美味しく調理。この回は視聴率14.2%を記録した(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。近ごろ、同じように「暮らしの中でためになる」番組を多く見かけることはないだろうか。

 例えば『有吉ゼミ』(日本テレビ系)では“潔癖王子”こと俳優の石黒英雄が掃除の仕方を紹介。『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系)ではタレントの森泉が100円ショップで購入した商品を使って様々な収納・DIY(日曜大工)術を実践。『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)では、渡辺徹・榊原郁恵の長男・渡辺裕太、また前川清の長男・紘毅が、古びたアパートの一室のリノベーションに挑戦。さらにはこの4月から、長年の汚れがたまった人気飲食店をその日の開店までに大掃除する企画もスタートした。

 日曜朝の生放送番組『シューイチ』(日本テレビ系)でもKAT-TUN・中丸雄一がDIY術を実践。『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)でも保護施設に住む犬たちのために遊具を手作りするコーナーが人気だ。

 家事、収納、DIY、さらにはリノベーション…生活に役立つ情報を紹介する生活情報バラエティーが人気の背景はどんなところにあるのだろうか?
  
「ためになる、生活に役立つ番組というのは、例えばクイズ番組であるとか、恋愛バラエティーといったジャンルと同じように、はやりすたりというか、生まれては消えるもの。かつては10年ほど前にも生活情報バラエティーが大ブームを呼んだことがありました」(テレビ局関係者)
 
 それが、いわゆる「食材の健康パワー」を紹介する番組だ。その代表格だったのが、身の回りにある事柄を毎回多角的に検証する『発掘!あるある大事典』(フジテレビ系)。1996年の開始以来毎週視聴率20%を超す人気を博していたが、2007年1月、実際には検査を行っていないにもかかわらず納豆がダイエットに効果的であるという虚偽のデータを放送。このねつ造騒動のあおりを受けて番組は終了した。

 他にも同時期、同じような不祥事が相次いだ。『教えて!ウルトラ実験隊』(テレビ東京)では血流の映像をタレント本人ではなくスタッフのものを使ったことなどが発覚して2005年で打ち切り。『ぴーかんバディ!』(TBS系)という健康情報番組でも、白インゲンをご飯にまぶして食べるだけで2週間でウエストが15cm痩せるなどと紹介されたが、それを実践した視聴者から激しい嘔吐下痢を訴える事案が続出。番組は2006年、わずか4か月で終わった。 

「そうした一連の事案以降、テレビから一方的に提供される数値やデータで惑わされず、テレビ番組を鵜呑みにしないことの大切さを視聴者は学んだのではないでしょうか。また2000年代初頭には血液型ブームの影響で血液型ダイエットなるものや、風水による開運生活が盛んに紹介されました。そうした、にわかには信じられないこと、実証しづらいことが狂信的に受け入れられていたこともありましたが、そうしたブームの反動で、視聴者はすべてを真に受けず、精査する目を養っていったのでは」(テレビ誌ライター)
 
 一時期は途絶えていた生活情報バラエティーを制作する機運が高まったのが、東日本大震災からとみるのは、バラエティー20年のキャリアを誇る放送作家だ。

「震災以降、自分たちの生活を足元から見直し、料理や掃除といった家の中の暮らしをいかに自らの手で向上させるかということに目が向いた気がします。さらに近年のハンドメイドブームも起因しているのでは。生活が便利になる一方で、自分で何かをする楽しさや充実感を味わいたいのかもしれません」

 時を同じくして2011年3月に本格的に活動をスタートさせたのがDIY女性たちによるサークル「DIY女子部(R)」。20~60代まで2000人以上の女性が在籍する全国的組織で、各地の工房で教室を開いたり、イベントに出張しているが、このサークルが、おしゃれに日曜大工を楽しむ近年の「DIYブーム」のきっかけとなったと言われている。そうしたブームが次第にバラエティー番組にも広がっていったのだろう。

 さて、先に挙げた番組のほか、俳句や水彩画、絵手紙、花の生け方といった趣味の分野で、芸能人の才能を査定する番組『プレパト!』(TBS系)も毎回視聴率10%前後を獲得するなど好調を維持している。

「以前であれば、そうした趣味をそのまま紹介するのは地味すぎてテレビ的ではないと判断され、企画が通らない印象がありました。しかし地に足がついたことをやれば支持が得られるということは我々テレビマンとしても刺激になりました」(前出・放送作家)

 風水や血液型といったスピリチュアルめいたことや、食材の健康パワーといった、聞こえの良い、驚きの情報ではなく、決して派手ではなくても暮らしを楽しむきっかけになる情報を伝えていることが、現在の生活情報バラエティーの人気の秘密なのかもしれない。

【関連記事】
鶴太郎や新田恵利らの証言を元に80年代バラエティー考察の書
録画視聴率の登場でクリエイティブな番組作りが減る懸念あり
テレ東のPがアイデア量産の秘訣や企画の出し方を伝授する本

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP