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マンション理事会のお悩み[4] 管理費滞納は、早めの対処がカギ

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マンションの老朽化とともに、管理費の滞納が増える傾向が見られます。滞納問題を長期間にわたって放置すると、管理組合が債権を回収できないリスクがあります。滞納問題を長期化させないための予防策と、長期滞納が発生した場合にとるべき対策についてご案内します。【連載】マンション理事会のお悩み相談

マンションは、いろんな価値観をもった人たちが住む集合住宅。直面する問題もさまざまです。でも理事会では経験豊富な人が少なく、解決が難しいこともあります。

今回は、日々、理事会から多くの悩み相談を受けているマンション管理士が、そのなかでもよくある問題をご紹介し、解決方法を提案します。

高経年マンションの約3割に長期滞納者が……

国交省のマンション総合調査(平成25年度)によると、築年数の進んだマンションほど滞納住戸の割合・滞納の期間ともに増える傾向がはっきりとうかがえます。例えば築30年以上のマンションでは、およそ3割が「6カ月以上の長期滞納者がいる」と回答しています。

ただ、滞納問題が悪化したケースをみると、初期段階での管理組合や管理会社の対応に問題があることも少なくないことが分かりました。その大きな要因として、以下の2つがあると考えます。

1)管理費等の滞納債権の回収について基本的な知識がないこと

2)滞納債権の管理や回収が「管理会社任せ」になっていること

管理費等の滞納債権管理の基本を押さえよう

滞納管理費の問題について、まず管理組合としてぜひ押さえてもらいたい基本的な知識をご紹介します。

◆滞納債権には「消滅時効」がある!

毎月一定額を支払う管理費や特別修繕費は民法上の「定期給付債権」に当たり、その場合の消滅時効は5年と定められています。したがって、長期滞納を放置した場合、債務者にこの時効を主張されると管理組合は債権を回収することができなくなります。

したがって、少なくともこの時効が到来しないように債権を管理する必要があります。例えば滞納管理費の一部だけが支払われた場合には、支払期日の古い債権から順に充当させていくべきです。

また、滞納者に対して支払うよう内容証明文書等で催告すれば時効を中断できると考えがちですが、催告では時効を6カ月間延長する効果しか得られません。時効を中断させるには、催告から6カ月以内に裁判上の請求や申し立てなどを行う必要があります。

◆滞納債権の範囲は管理費だけではない!

管理費等(修繕積立金、各種専用部使用料を含む)が滞納になった場合、管理組合が認識すべき債権として、管理費等以外に次の費用項目も加算して請求できます。

A)遅延損害金

B)違約金

A)については、マンションの管理規約に定め(※年利14.6%が多い。規約に定めがない場合は、民法上の年利5%を適用)があるのが一般的なので、それに従います。

また、B)については、督促に要した費用(管理会社・弁護士などへの委託料、通信・交通費など)が該当します。

大切なのは、滞納初期段階の対応

滞納問題が深刻化したマンションでは、管理組合(理事会)が「管理費の徴収業務は管理会社の仕事」と誤解していることが少なくありません。そのため、管理会社の動きが緩慢な場合には、督促等の対応が後手に回ってしまうことになります。

また、マンション管理会社との管理委託契約では、一般的に滞納初期(※3~6カ月で設定されていることが多い)においては管理会社が電話や面接での督促を行うと定められていますが、それ以降は管理組合の業務として別途追加的な対応を検討しなければなりません。

したがって、日常的な対応として少なくとも毎月1回は滞納の有無や金額等を確認するようにしましょう。また、3カ月以上の滞納者については督促の経過と進捗状況をこまめに管理会社に求めるようにしたいものです。

こうした初期段階での督促を怠ると、滞納者がその状況に甘えてしまって問題が長期化する傾向が見られます。滞納が6カ月を超えるような場合には、遅延損害金等も加算して請求することを通知するなど、滞納者本人にあらかじめプレッシャーを与えることも有効でしょう。

ただ、再三督促したにもかかわらず管理費等が支払われない場合には、時効の中断と債権の早期回収を図るために法的措置の準備を進めざるを得ません。

比較的簡易な方法で法的措置を講じる方法がある

債権の消滅時効を中断させるとともに、債権回収のために滞納者の財産を差し押さえるなどの強制執行をするには、「債務名義」(国の強制力によって執行できる請求権の存在・範囲を表示した文書)を取得することが必要です。

この債務名義を得るためには、通常の訴訟以外に比較的簡易な方法が2つあります。一つは「少額訴訟」、もう一つは「仮執行宣言付き支払い督促」です。

前者は、請求額60万円以下と少額な場合に原告の費用負担が小さく、迅速かつ効率的に紛争を解決することを目的とした制度で、簡易裁判所に訴えると1回の期日で審理を終了し、即日判決が言い渡されます。

一方、後者は申立人(債権者=管理組合)の主張のままに、簡易裁判所の書記官が「支払え」と命じる書類を債務者に送付する手続きです。少額訴訟のような訴額の上限や証拠書類の提出も必要なく、督促後に滞納者から異議が出なければ、債務者が債務の存在を認めたものとして判決に準じる効果を与えるというものです。

上で述べた少額訴訟や支払督促に対して滞納者から異議が出された場合には、通常の訴訟手続に移行します。

訴訟提起のためには、原則として理事長が総会の決議により組合の代表として承認されることが必要になります

ただ、これについてはマンションの管理規約で理事会の承認で足りる旨を規定することも認められています。現在の管理規約を確認してそのような定めがない場合には、滞納管理費の回収のために機動的な対応ができるようあらかじめ管理規約を改正しておくとよいでしょう。(マンション標準管理規約第60条「管理費等の徴収」第4項参照)●平成25年度マンション総合調査結果

●簡易裁判所の支払督促について

●マンション標準管理規約及び同コメント(平成28年3月改正)
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