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第64回 宮崎刑務所生活(その2)

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 前回に引き続き分類調査のことを書くと、暴力団との関係の聞き取りに続いて、事件内容の聞き取りとなった。これもかなりの長時間となった。
 判決文の写しが手元にあるらしく、これを見ながら刑務官(技官?)が言う。「普通我々は最後の情状あたりから読むのです。それだけで事件の内容も大体分かりますし、どういう処遇をすればいいかも判断できるのですが、あなたの判決は読んでも分からない。何でこんな事件を起こしたんですか?動機が書かれていないから教えてください」と。
 そのとおり、動機など何もないから判決文には書いていない、いや書けないのですと返事をして、そもそも私はやっていないのだ、だから私にも説明をすることはできないと返答をした。
 彼も、暴力団側にも動機はないし、あなたにも動機がない、まったく不思議な事件だと言っていたが、そのとおりなのである。

 事件を否認する私と刑務官との間で「今でもその主張は変わらないのですか」「はい」という受け答えがあり、「反省はしていないのですか」との質問になった。
 やっていない者に反省というのはかなりの愚問だとは思うが、その質問は予測していたことであり、事前に考えていたとおり「事件についての反省はありません。しかし、暴力団とは節度をもって付き合うべきで、その点で反省するところはあります」というようなことを答えた(内心では、節度もあったんだけどなと思いつつも)。
 刑務官は「そうですね。反省がまったくないというのは具合が悪いから、その答えを強調して書いておきます」と納得してくれた。私の記憶では、この調査は2日間に及んだ。

 入所しての翌日、刑務官による調査の合間をぬって、入浴となった。
 以前からの知り合いの刑務官が(拘置所担当から刑務所担当となったのか?)、「ついでにガリやろう。それから入浴がいい」と言う。何?白衣を着た受刑者がバリカン片手に登場した。
 すっかり忘れていた。丸坊主だ。「ガリ」はバリカンでガリガリするからなのだろうか。丸坊主になると、いよいよ自分も受刑者だという事実を強く実感して情けなくなる。

 刑務官の調査が終わって、知能検査やら何かの適正検査、学力検査があった。心理テストなのか、一定の言葉から連想される言葉を書きそこからまた連想する言葉を書いていくというものもあった。
 0から1までの数字がランダムに横に羅列されていて制限時間内に隣同士の数字を足し算した結果を書いていくというのもある。頑張ってしまった。また、ランダムに散らばっている数字を、1から順に鉛筆でつなげていくというものもあった。
 学力テストは漢字の読み書きと掛け算割り算に分数の問題であったが、小学校程度の問題である。おそらく満点だったと思う。こんなところで自慢しても仕方がないし、自慢するようなことでもないが。

 入所した月曜日と火曜日、水曜日の午前中はそれらの検査や調査で終わり、水曜日の午後と木曜日は初めての刑務作業となった。たまたま次の金曜日は矯正指導日ということでラジオ放送を聞いて感想文を書くという日で作業はない。

 ついでに、矯正指導日について触れておく。
 毎月第二・第四金曜日がそれである。最初の拘置所生活のときにはなかった制度で、二度目の拘置所生活のときにできていた。私のうがった考えだと、公務員の労働時間も時代の流れで短縮されたがために、矯正指導日というものを作って、刑務作業をなくし人員を減らした(その日に稼働する刑務官の減少)のだろう。拘置所では不評である。
 そもそも拘置所は未決だから「矯正」という概念がまだ妥当しない。未決にとっては単なる休日にすぎず、毎日が休日みたいなものだからそれが増えたところで何のうれしさもなく、逆に休日ということで運動時間がなくなるからだ。

 宮崎では、初めてで最後の矯正指導日であったが、何かのラジオ放送を聞いて、矯正指導日ノートに感想文を書く。
 どうせ間もなくここを出るのだからだと、適当に書いたことだけは覚えているが、ラジオ放送の内容はほとんど覚えておらず、うっすらと篤志家の落語家が何か話をしていたな、という程度の記憶しかない。(つづく)

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第64回 宮崎刑務所生活(その2)

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