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ペットの治療ミスで、損害賠償命令

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 飼っていたウサギが骨折し、死んだのは動物病院の不適切な処置が原因だとして、東京都内の動物病院の運営会社に対して約135万円の損害賠償を求めていた裁判の結論が出ました。
 裁判所は、治療の過程で骨折したとして、特に慎重に行わなければならない局面でその義務を果たさなかったとして、慰謝料8万円や別の病院の治療費など合計約43万円の支払いを認めました。骨折と死亡の因果関係については否定しています。
 今回はペットの治療をめぐる裁判例について見てみたいと思います。

 ペットの医療過誤訴訟については、以前はあまり多く見られませんでしたが、2004年あたりから徐々に増加してきていると言われています。
 これは、獣医療の技術が年々高度化・専門化してきていること、それに対する飼い主の信頼が年々高まっていること、飼い主の権利の意識が高まっていること、動物に対する国民の意識の変化や、獣医療に対する情報がインターネットなどで簡単に手に入るようになったことなどが挙げられます。
 最近では高額の損害賠償が認められるケースも多くなってきました。

 猫の避妊手術において猫(アメリカンショートヘア、入賞歴有)が死亡してしまったケースでは、裁判所は、何も問題がなく健康な猫が手術の翌日に死亡していること、死亡した猫について直ちに解剖がされて、別の獣医により原因が特定されて、その部分をホルマリンにつけて保存されていたことなどから、獣医師の過失及び因果関係が容易に認められるとして、猫の財産価値50万円、家族の一員として愛情を注いでいた猫の命を奪われたことに対する精神的苦痛について慰謝料20万円、治療費及び解剖費として支払った金額約3万円、弁護士費用20万円、合計93万円の支払いを認めています(宇都宮地判平成14年3月28日)。
 犬(ポインター)の出産に際して、帝王切開手術を行ったけれども、子犬と母犬が死亡したケースでは、獣医師の過失と因果関係が認められ、財産的損害及び慰謝料として5万円の支払いを認めています(東京地判昭和43年5月13日)。

 この他にも、獣医師の説明義務違反によって、飼い主が犬の治療法を選択する権利が侵害されたとして獣医師の責任が認められたケース(名古屋高金沢支判平成17年5月30日)など、飼い主に対する説明義務違反を認める判決もしばしば出ています。

 このような医療過誤を認める裁判が増加する中、獣医師の中には恐ろしいという声もあるようです。
 ペットの医療については、人間の医療に比べて、まだまだ未開拓の分野も多いため、どんなに頑張っても医療過誤というものは発生してしまうことがあります。厳しい責任を問い続けることで、誠意をもって良心的な獣医師の負担が重くなりすぎてしまうおそれもあります。
 このあたりはとても難しい問題です。

元記事

ペットの治療ミスで、損害賠償命令

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