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「MIDI」がなければ、きゃりーもPerfumeもいなかった!?

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それは「打ち込み」音楽の言葉

このところ、世界で大人気の日本のミュージシャンといえば、BABYMETALか、きゃりーぱみゅぱみゅ。さて、問題。この両アーティストのライブでの最大の違いはなんでしょう? 答えはバックバンドがいるかいないか。BABYMETALは神バンドと呼ばれるスゴ腕ミュージシャンたちがステージで演奏を繰り広げるが、きゃりーぱみゅぱみゅのステージにはダンサーはおれどもバックバンドはおりませぬ。

きゃりーぱみゅぱみゅの音楽がコンピューターベースの、いわゆる「打ち込み」によってつくられているので、生バンドは不要なのだ。ちなみに、きゃりーぱみゅぱみゅの音楽を一手に引き受けているのは中田ヤスタカさん。Perfumeの楽曲も手がけている超売れっ子作曲家です。

で、MIDI(ミディと読む。Musical Instrument Digital Interfaceの略)である。これは、たとえば、中田ヤスタカさんがコンピューターやシンセサイザーを使って音楽をつくるときに不可欠の、いわば「打ち込み」の「言葉」であり「文法」である世界規格のことなのだ。

楽器は「音源」というメモリ

「打ち込み」というコンピューターベースの音楽づくりは、いったいどんなふうにおこなわれるのだろうか。仕組みは意外とシンプルだ。

「打ち込み(デジタル音楽)」で楽器に相当するのは「音源」というものだ。「音源」とは、三味線からトランペット、ストリングスからドラムまで、さまざまな音を音波のデータとして記録してあるメモリのことだ(ハードディスクに記録されているものはソフトウエア音源ともいう)。この「音源」に命令を出すのがコンピューター。このとき、「トランペットの音でファを2秒間出せ」などと指示すると、「音源」は格納していたトランペットの音波のデータを使って、指示どおりに本物そっくりに音をつくり出す。この「音源」に命令するときの「言葉」、つまりデジタル信号がMIDIなのだ。

このMIDIの「言葉」を操って音楽をつくりあげるソフトウエアのことをシーケンサーという。「音源」は、いくつもの音を同時につくり出すことができるから、シーケンサーでロックバンドの音もつくれるし、フルオーケストラの音も本物そっくりにつくり出せる。また、このMIDIのデータを記録すれば、いつでもどこでも同じ演奏を再現できるから、このMIDIデータは数字とアルファベットからできた一種の楽譜といってもいいだろう。

パソコンのシーケンサーソフトウエアで曲をつくると、そのデータはMIDI信号として音源内蔵のシンセサイザーや音源モジュールに送られる。音源はMIDI信号に従って音をつくり出し、その音はアンプやアンプ内蔵ミキサーを通してヘッドフォンやスピーカーなどに出力される。これが、基本的な打ち込みの仕組みだ

いわゆる電子ピアノやシンセサイザーなどは、小型コンピューターと音源が内蔵され、合体されたものだ。パソコンのキーボードのかわりに、鍵盤から入力して指示を出すわけだ。この電子ピアノやシンセサイザーの内部でも、音源と鍵盤とのやり取りはMIDIで行われている。

音源内蔵のシンセサイザーの最新型、ヤマハ ミュージックシンセサイザー『MONTAGE8』。なんと、同時に128個もの音が出せる!

日本の楽器メーカーが中心となって誕生

このMIDIという世界規格が生まれたのは1981年。ヤマハやローランド、コルグ、カワイといった日本の楽器メーカーが中心となってまとめたものがベースになっている。2013年には、このMIDI誕生への功績がたたえられて、ローランドの創業者である梯(かけはし)郁太郎さんが、なんと、アメリカの権威ある音楽賞であるグラミーの技術賞を受賞しているのだ。いかにMIDIが重要な世界規格かというのがわかる。このMIDIなしでは、現代の音楽シーンは成り立たないといってもいいくらいなのだ。

MIDIに関係があるのは、きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカさんばかりじゃない。たとえば、携帯電話の着信音はMIDIデータが携帯電話内の「音源」を鳴らしているのだし、通信カラオケだってリクエストした曲のMIDIデータがカラオケ配信会社からインターネット経由でカラオケルームに届き、カラオケマシン内の「音源」を鳴らしているのだ。実際に生演奏を録音したデータよりも、MIDIデータの方がはるかにデータ量が小さいからだ。

ちなみに「MIDIはもう古い、時代はUSBだよと」という人をときどき見かけるが、これは間違い。MIDIは実はコンピューターや音源などの機器をつなぐケーブル端子などハードの規格も決めていた。しかし、今ではほとんどのコンピューターがUSBを採用しているので、MIDI機器とのやりとりもUSBケーブルでおこなうようになり、昔ながらのMIDI端子は使われなくなった。それをもって「MIDIは古い」といっているのだが、あくまでもMIDI端子というハードが使われなくなっただけで、MIDIというデジタル音楽の「言葉」自体は実は今も現役であり、デジタル音楽の世界に君臨し続けることに間違いはない。

この左側の2つの端子がMIDI。今ではUSBが使われることが多くなり、MIDI端子そのものはあまり見かけなくなった

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