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パロディ商品と商標

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 「フランク三浦」の商標をめぐる問題(高級時計フランクミューラーのパロディ商標)について、知的財産高等裁判所が、特許庁がした商標登録無効審判を無効とした。
商標の類似性やデザインの類似性をめぐる問題については、結局のところ、これを購入する消費者が、模倣した者と模倣された者の出所混同を生じるかどうかがメインの争点となる。
 最高裁は、出所混同について、商標の類似性、周知著名性、商品間の性質、取引者の共通性等を取引実態等に照らして総合的に判断するとしている。
 そして、上記高裁は、商標の外観、観念、呼称等によって取引者に与える印象を総合して同一又は類似かを検討した結果、類似性はないとし、さらに両者(フランク三浦とフランクミューラー)が緊密な営業上の関係にあると誤信させるおそれはないとした。

 商標法などは、そんなに難しい法律ではない。要は、その法律がなぜできたのかである。それは、ブランドを有する企業を防衛するためと、消費者を保護するために尽きるといっても過言ではない。
 逆にいえば、類似商品や類似商標があっても、その程度の類似では、企業が攻撃にさらされず、消費者も騙されることがない場合には、問題なしとしてよいのではないだろうか。その意味では極めて妥当な判決であると思う。

 この事件で思い出したある事件がある。当時私の顧問先であった会社は、いろいろな小物類(スカーフやハンカチなど)を小売りする店舗を展開していた。
 そこに問屋から、チェック柄で有名なブランド会社と似ているスカーフが20枚ほど卸され、これを販売していたところそのブランド会社の弁護士から、販売ストップ・販売した商品の回収・誓約書提出(今後二度とこのようなことはしない旨の誓約書)・問屋名の開示を求められた。
 余談であるが、どうして有名ブランド会社が、顧問先の販売事実を知ったかであるが、調査員が定期的にあちこちの店舗を見回っているとのことであった。そこで類似商品があれば、これを購入していくとのことであった。

 これを受任した私は、まずは消費者が有名ブランドの商品と顧問先が販売している商品とを果たして混同するのかどうかを検討した。まずは値段である。
 上記のフランク三浦事件でも言及されていたと思うが、格段に値段が違うのである。つまり、顧問先が販売しているスカーフは、ブランド商品の10分の1くらいしかない。これであれば、消費者が混同するとは到底思えない。
 また、柄についても、両者が混同されるほどの類似性があるとは思えなかった。事務員に見てもらったが、間違うはずがないと断言された。

 そこで、出所混同があるはずはないことを返答し、誓約書提出は拒否した。さらに、売却されたスカーフを回収するというのは不可能であることも伝えた。
 その時点でスカーフはわずか2枚しか売れていなかったのであるが、そのうち1枚は有名ブランド会社の調査員が購入したもので、他の1枚は、店舗にきた人が購入したものである。
 お得意様ならいざ知らず、フリーの客が購入したスカーフを回収せよということなどできるはずはない。

 それでも、相手方弁護士は、執拗に自己の要求を変えない。当方としては、問屋とも連絡をとり、残存スカーフを返品したのだが、できることはそこまでである。
 ということで、今後注意はしていくが、誓約書を提出するつもりなどまったくないこと、販売した商品の回収は不可能であること、問屋の名前を明かす必要性はないことを伝え、それでも不服であれば、しかるべき措置を採ってもらってよいとも伝えた。

 その後は、当方から連絡をとることもなかったが、相手方からも何も言ってこなかった。
 私の勝手な思い込みであるが、類似商品があれば、ルーチン作業として、同じような書面を送り付けているのではないだろうか。
 実情をもっと調査してからのことにしてもらいたかった。

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