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稲田議員と山尾議員がアベノミクス激論も「普段は仲よし」

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 公示まで1週間を切った7月の参議院選挙を前に、自民党と民進党の政調会長・稲田朋美衆議院議員と山尾志桜里衆議院議員が激しく議論した。来たる参院選挙では「景気」が大きな争点となる。安倍晋三首相は2017年4月に予定されていた消費税増税の延期を表明し、「アベノミクスを加速させる」と語っている。一方、民進党は増税延期には賛成のものの「アベノミクスは失敗」と訴える。景気対策については互いに「数字」のデータを示して激論を交わした。
 
※2人の対談は6月8日に実施

稲田:アベノミクスによって大企業だけでなく中小企業も過去最高の利益を上げ、有効求人倍率は史上初めて全都道府県で1を超えました。大学卒業者と高校卒業者の就職率も高水準であり、これまで伸びなかった実質賃金や正規雇用者数も上昇しています。

 ただし、個人消費が伸び悩んでいるため、消費税の増税を延期しました。今後は家計が使えるお金を増やすことと、将来も安心できる社会保障の改革が重要です。

山尾:数字はいろいろな切り取り方があります。私たちから見れば、実質賃金は5年連続で減少し、家計の消費や支出は冷え込みっぱなし。雇用が増えたといっても、うち90万人は年金や生活が不安でパートなどを始めた非正規の高齢者だし、民主党政権で1.7%だった実質成長率は安倍政権の3年で0.8%です。

 大事なことは、世論調査でアベノミクスの景気回復を実感していない人が8割に達するという事実であり、これはとても重い数字です。今後は将来の社会を担う子供と若者に目を向けて、大きく予算を振り分けることが大切です。

稲田:民主党政権での実質成長率は、デフレだったからです。デフレだと物価も安くなりますが、どんどんお父さんやお母さんのお給料も減って、経済のパイが小さくなります。また、正社員を望みながら非正規で働くしかない「不本意非正規」はこれまで20%程度でしたが、最近になり16%まで下がっている。アベノミクスは道半ばですが、着実に経済はよくなっている。将来を担う若い人たちに社会保障を振り分けることには賛成ですが、財源の問題があります。

──政府は年金や医療、介護や子育てといった社会保障を消費税増税分で充実させる予定だった。財源が足りなくなる社会保障の充実はどうなるのか。安倍首相が赤字国債は出さないと明言した一方、民進党の岡田克也代表は赤字国債の発行を主張した。社会保障の財源がテーマになると、2人の議論はさらにヒートアップした。

稲田:真に必要とする人の社会保障を手厚くするには、負担できる人に負担してもらわないと財源が出ません。今後、自民党は消費税増税ができないことで財源がなくなった社会保障の充実分の財源を必死に探していきますが、岡田代表はいとも簡単に赤字国債を発行するという。将来世代に借金を負わせることはあまりに無責任です。改革を進め、歳出もカットして、収入が多い高齢者には負担していただくことも必要。

山尾:先輩世代で生活が苦しいかたは手厚くしますが、ある程度負担できる人には負担してもらう。その点は大筋で同意します。民進党は金融取引の税率を上げるなど、税制を変えて格差を是正する政策を訴えています。それに今回、消費税増税と引き換えに約束していた社会保障の充実について、私たちは来年4月から予定どおり行うことを主張します。安倍政権は民主党政権より公共事業額が額として増えているので、ムダを削ればいい。

稲田:(すかさず)増えていないですよ。

山尾:(稲田議員の発言を遮って)私の計算だと増えているんだけど、きっちり精査してムダを省かないと。

稲田:むしろ少し減っていますよ。

山尾:減っているってことはないでしょう。

稲田:(首を振りながら)いやいやいや。増税分の社会保障は財源を見つけなきゃいけない。赤字国債で将来世代につけを回すというのは不道徳ですよ。  

山尾:赤字国債を発行するとしても2年間だけです。今までさんざん、赤字国債を積み上げて国の借金を増やした自民党に批判されるのは心外です。

稲田:そこは自民党も反省して野党時代に悔い改めました。だからこそ財源を見つけて、社会保障を充実させたい。

山尾:自民党は国民に約束した社会保障の充実メニューのどれをあきらめ、どれをやるんですか。財源を含め、参院選前に示すのが与党の務めです。

稲田:それは必死になって財源を探し、見つかったものからやるしかない。すぐ財源が出るなら、そもそも消費税を上げる必要がなかったでしょ。

山尾:増税できない以上、そのお金でやるはずだった社会保障の充実はできないと言うなら筋が通ります。

稲田:できないとは言わない。

山尾:今、見つけられないならどうして参院選後に見つけられるんですか。

稲田:だから改革をして、いろんな知恵を総動員して財源を生み出すんです。財源もないのにうまい話をすることはしません。

──予定時間を過ぎても熱い議論は続き、対談は60分に及んだ。最初こそ「アットホーム」だったが、主張の異なる政策課題となると一転、激しくぶつかった2人。対談終了後は、ふたたび頬を緩めて握手を交わした。

稲田:今日もヒートアップしちゃったね(笑い)。でも、普段は仲よしなんですよ。

山尾:そうなんです。普通の話題なら話が合うと思うけど、政策のことはお互いにどうしても引けなくなる。

稲田:選挙が終わったら、1回、ご飯を食べなきゃね。

山尾:ええ。選挙前にあまり仲よくなると困るから、選挙後にぜひ(笑い)。

【稲田朋美(いなだ・ともみ)】
早稲田大学卒業後、1985年、弁護士となる。2005年、衆議院選挙に自民党公認で福井1区から出馬し初当選。2012年、第2次安倍内閣で、内閣府特命担当大臣(規制改革・行政改革等)に就任する。2014年から自民党の政務調査会長。「女性初の宰相」にもっとも近いと評される。政治信条は「伝統と創造」。家族は弁護士の夫と大学生の1男1女。

【山尾志桜里(やまお・しおり)】
東京大学卒業後、2004年に検察官となる。2007年退官。2009年の衆議院選挙に、民主党公認で愛知7区から出馬し初当選。現在は民進党の政務調査会長。小学生時代にミュージカル『アニー』で主役を務めたことも。政治信条は「大切なことは目に見えない」(サン・テグジュペリ『星の王子さま』より)。家族は自営業の夫と5才の長男。

※女性セブン2016年6月30日号

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