2019年に開通決定! 都心と臨海副都心を結ぶ新交通「BRT」ってなんだ?

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2019年に開通決定! 都心と臨海副都心を結ぶ新交通「BRT」ってなんだ?

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、さまざまなプロジェクトが急ピッチで進められています。例えば、港区新橋から選手村予定地を通り、江東区有明間を結ぶ環状2号線もそのひとつですが、そこに新たに導入される交通機関として注目されているのが、「BRT」。日本ではあまり耳なじみがありませんが、どのようなものなのでしょうか?

海外ではメジャーな交通網「BRT」が東京に登場!

東京都都市整備局でBRTの整備を進める交通計画調整担当課長の松本祐一さんに聞きました。

「BRTとは『Bus Rapid Transit(バス・ラピッド・トランジット)』の略で、『バス高速輸送システム』と訳されています。じつは決まった定義はないのですが、電車に置き換えて説明しますと、各駅停車が都バスで、特急が高速バス、BRTが区間快速というようなイメージ。区間の間隔が広いことで輸送スピードが向上します」(松本さん、以下同)

現在、日本でも東日本大震災により不通になった電車の路線を活用した『気仙沼線』や『大船渡線』、日立電鉄線の廃線跡を転用した『ひたちBRT』などがBRT交通網として運行しています。

「アメリカをはじめ海外では国内各地で普及しているBRTですが、専用の道路や電車の駅のような停留所が設けられ、鉄道の代わりとして利用されています。今回、環状2号線を使ったルートでは、専用道路を整備するところまでにはいたりませんが、停留所はBRT専用のものを設置する予定です」

BRTのメリットは停留所の間隔が長く、目的地まで早く行けること。また、2019年に運行を予定している都心と臨海副都心を結ぶBRTルートでは、より一層出発到着時刻の正確性を高めるべく、特定の車が交差点に近づくと赤信号が青信号に変わる公共車両優先システム『PTPS』というシステムが検討されているとのこと。現在、導入に向けて関係機関との協議が進められているのだそうです。

ある意味、路面電車とバスの中間といった位置づけなのかもしれません。では、そもそも今回なぜBRTの計画が持ち上がったのでしょうか?

「現在、勝どきや晴海、豊洲エリアにはタワーマンションや商業ビルが続々と建設されていますが、晴海には鉄道がないので朝のラッシュ時には勝どき駅(都営地下鉄大江戸線)がものすごく混雑している状況です。鉄道を使おうとすると都心に出るのに不便なうえ、これからも交通手段を必要とする人たちがどんどん増えてくる地域であること、なおかつ将来都心に直結する交通機関が必要ということでBRTの計画を立案しました」

BRTに決まるまでは、ゆりかもめを拡張する案や都心からロープウェイを引く案など、さまざまな案が出されたのだそう。そうしたなか、東京オリンピック・パラリンピックの選手村が大会後に約5650戸規模の住宅になることが決まり、時間とコストを踏まえて検討した結果、BRTが最も適した交通手段だという結論に至ったそうです。【運行ルート1】2系統の運行から開始(2019年)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より) 【運行ルート1】2系統の運行から開始(2019年)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より)【運行ルート2】3系統の運行(東京2020大会後)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より) 【運行ルート2】3系統の運行(東京2020大会後)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より)【運行ルート3】4系統の運行(選手村再開発後)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より)

【運行ルート3】4系統の運行(選手村再開発後)(出典/「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」(東京都)より)

BRTを東京の新たな交通機関として打ち出したい

「BRTは都バスの延長ではなく、新しい交通手段として未来的な技術を取り入れていきたい」と松本さんは言います。

「BRTの車両はバスが2つ繋がった『連節型車両』と、都バスと同じタイプの車両を予定していますが、水素を燃料にしたものを新たに開発したいと考えています。二酸化炭素を発生させず水しか出ないため環境にも優しいですし、エンジン音もしないので驚くほど静かです。また、バリアフリーにも配慮し、バスから降りる際に停留所との隙間や段差が生じないように、自動制御装置を使いぴったり寄せて停車する技術も搭載することが決まっています」

こうした先駆的な試みに加え、新車両や停留所、運転手の制服なども色やデザインにこだわり、トータルデザインをしていく予定なのだとか。

「次世代の公共交通機関のシンボルになれば」と松本さん。運行間隔は10分に1本を予定しているそうですが、必要によって増やしていく予定とのことです。トータルデザインのお披露目は2018年度、運行の開始は2019年とまだ少し先ですが、都市の交通にどのような変化をもたらしてくれるのか、期待を胸に待ちたいところです。●取材協力

東京都都市整備局
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