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あなたの悩みは何ですか?認知症ONLINE読者様のご質問に答えます!

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こんにちは、魚谷です。今回は認知症ONLINEの読者様の悩みにお答えする形で、認知症ケアについてお話していきます。それでは早速、ご家族の介護をされている方と、介護職員の方からの質問にお答えいたしますね。

前回記事:成年後見制度(成年後見人)の基礎知識~不正から認知症高齢者を守る~

自尊心が強い両親に困っています(50代、家族介護)


現在、二人暮らしをしている父(89歳)と母(85歳)は、ともに要介護度2で、訪問ヘルパーを利用しています。

父と母は自尊心が強く、洗濯物放置や物忘れの影響で多量の買い物依存があるのですが、「私たちは生活できている」と認識してしまっているのです。そのため、ヘルパーさんと一緒に、お買い物や洗濯などができないでいます。

身体が辛いと話すときに、「そのために、ヘルパーさんに来てもらっているんだよ」と伝え、助けてもらうように声かけはしているのですが…。どうしたらヘルパーさんの支援を、受け入れる事ができるのでしょうか?ちなみにデイサービスも「嫌だ行きたくない」と、自ら理由をつけ電話して断ってしまいます。

回答

まずはご両親の介護、お疲れさまです。さて、悩まれて質問をいただいたのに申し訳ありませんが、現在行っておられる対応で十分ではないでしょうか?

まず一般論から言いますと、困った言動をされたとき、その行為を相手に改めてもらうことは、なかなか難しいことですよね。なぜなら、生きてきた環境等によって築きあげた価値観(考え方)は、人それぞれ違うからです。たとえ、血のつながった親子でも同じことです。

ただ話をすることで、相手が理解納得すれば、言動を改めてもらえることがあるのも事実です。

しかし、あなたのご両親のように、できていると認識してしまっている方の場合は困難です。認知症と呼ばれている人の対応を考える時、なぜか忘れられてしまうのですが、先ほども申しましたとおり、価値観(考え方)はひとりひとり違い、言動を改めてもらうのは容易ではありません。ですので、自分の言葉で行動を改めさそうとして、逆に反発を招いてしまうのです。

では、このような場合はどうすれば良いかと言えば、「声はかけるが放っておく」ことが、お互いにとって一番良い方法と私は考えます。

よく考えてみて下さい。ご両親は洗濯物を放置したままでお困りですか?多量の買い物をして困っていますか?

変えることが難しい相手の行動にイライラしても、介護者自身が疲れてしまうだけで、その疲れた身体で対応すると、また相手をイライラさせてしまう。そのイライラに対し、イライラしながら対応する、そして相手がイライラするという悪循環に陥るだけなのです。

これではお互いにとって何も良い事はありません。生命の危険を及ぼすようなことでない限り、あなたのように声をかけておくことだけで良いと思います。そして本当に「相手」が困っている時に優しく声をかけ、助けてあげて下さい。その時に介護者が元気で対応できるためにも今は我慢の時です。無理しないで下さいね。

食事介助と夜間の覚醒について(50代、介護職員)


グループホーム利用者さまについてです。その方は80代で要介護度2の方なのですが、この頃認知度の低下が進み、動作指示が伝わらない状態です。

食事中はあちらこちらが気になり、完食まで1時間以上かかります。おかずはワンプレートにし、ご飯は茶碗のまま。手が止まると介助するのですが、拒否されてしまいます。

夜間はベッド上でずっと起きていて、眠ったとしても眠り自体が浅い状態です。なお、眠剤導入については、ご家族さまが拒否されています。1日の流れは、日中に散歩いただき、その他はなにもされずフロアで座っておられ、傾眠されています。

どうしたら食事に時間がかからず、夜間眠っていただけるでしょうか?

回答

まずは日々の介護業務、お疲れさまです。私も約10年間グループホームで勤務していたので、その大変さはよくわかります。

食事に1時間以上かかることについてですが、自分で食べているのか、介助をしてなのかで変わってくると思います。手が止まりながらでも自分で食べておられるのであれば、何の問題もないと思います。いくら時間がかかろうが、自分で食べることはとても大切なことで、そこで悩むことは、職員の都合によるものではないでしょうか?

介助をしての1時間以上であれば、その理由は何でしょうか?全てを食べてもらうことが、目標となっていませんか?手が止まる時に介助すると拒否されるのであれば、無理に食べてもらう必要はないと思います。なぜ、あちらこちらが気になってしまうのか、認知症であることを原因とせず、提供方法の工夫や、環境面の整備を試行錯誤しながら取り組んでいくことこそ、必要なことだと思います。

次に、夜間ずっと起きて眠っていない、眠りも浅いことですが、発想の転換が必要です。この方の場合、「夜間」は眠っておられませんが「日中」に傾眠という形で眠っておられ、それだけで本人にとって十分な時間となっているのです。

夜間に眠ってくれないと困っているのは、私も施設の勤務経験からわかるのですが、職員人数が少なくなり不安な職員なのです。それでも夜間に眠ってくれないと困るのであれば、日中にずっと起きてもらう方法を考えていくことではないでしょうか。

限られた人数で、その人数以上の人を対応する施設介護では、できることに限界があります。また、どうやっても防げない事故もあります。ご家族さまにはそのことを十分に説明し、理解を得ておくことが、介護職員に気持ちの余裕を生み、結果として良い介護をおこなっていくことができるのです。

さいごに

ご家族が認知症と診断され自宅介護されている方、介護職員として日々認知症の方と接していらっしゃる方、ほんとうにさまざまだと思います。今回2つの質問に回答させていただいた際にお伝えしましたが、認知症を原因とせず、ひとりの人として客観的にみることで、何かしらの解決策が見いだせることは少なくないと思います。

忙しい日々の中で、ふと立ち返ることや客観的に「相手」を観察することは容易なことではありませんが、できないことでもありません。今回質問をくださった方を含め、ご自身の気持ちの余裕こそが「相手」を安心させるということを頭の片隅にいれておいてくださいね。

この記事を書いた人

魚谷幸司

昭和47年生まれ。東大阪市在住。大学在学中よりアルバイトで介護に従事する。卒業後は特別養護老人ホームやデイサービスセンター、認知症グループホームにおいて主任や副管理者等で勤務した後、本年1月に認知症支援事業所を起業。500人、20年以上に渡って認知症と呼ばれる方の声を聴き、今も向き合い続けています。また社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員を所持し5人の成年後見人としても活動しています。

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