「カラシは怒って溶け」と言われてきた理由は?

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ピリッとした辛みは、肉や魚、野菜の風味を引き立ててくれる名脇役。世界中の食卓で愛されるマスタードは、有史以前から栽培されている万能香辛料です。一方、日本料理では、使うたびに粉末を水で溶いて練り上げる「練りカラシ」が主流です。ところで、水で溶く前の粉カラシを口に含んだことはありますか?

粉カラシは実はまったく辛くない!

そもそも粉カラシとは、アブラナ科の「カラシナ」の種子から作られるもの。カラシナの種子には油脂が約40%も含まれているため、そのまますりつぶすとペースト状になってしまいます。そこで、圧搾して油分を半量以下にしてから(脱脂)、乾燥させ、粉砕したものが粉カラシになるのです。

ですが、実はカラシナの種子には辛味成分が存在していません。つまり、種子や粉カラシをそのまま口にしても、香りも辛味も一切しないのです。

ではなぜ練りカラシは辛いのか? それは「練る」という作業によって辛味成分が生成されるから。カラシナの種子には辛味のもととなるシニグリンという成分と、それを分解する酵素が含まれています。これらは乾燥した粉カラシ中では反応しませんが、水を加えることで反応して、辛味成分のアリルイソチオシアネートが生成されるのです。この酵素は粉カラシの組織に含まれているため、水を加え、強くかき混ぜて組織を破砕するほど、酵素とシニグリンが出会う度合いが高くなり、辛味成分が多く生成されるようになります。鼻にツンとくるカラシの刺激は、こうして作られるのです。

日本では古来、「カラシは怒って溶け」と言われてきましたが、これは「しっかり練りなさい」という意味。強くかき混ぜるほどに組織からシニグリンと酵素が多く出て辛味が生まれることから、こんな言い方がされるようになりました。昔の人の知恵には、実はきちんとした科学的根拠があったのです。

参考文献:『スパイスなんでも小事典』 日本香辛料研究会/編 講談社 『ハーブ・スパイスの辞典』 成美堂出版

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