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外国語って?私がシンガポールで「外国人」と言われたことがない理由

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Photo Credit: Seina Morisako「Bird Singing Corner

こんにちは。Compathy MagazineライターのSeinaです。
私は家族とシンガポールで生活しています。ある日、私は子供の通うインターナショナルスクールのカレンダー見て、ある疑問を感じました。

「あれ、なんでこの日休みなんだっけ?」
そう息子に聞くと「土曜日がインドの祝日だから、その振替休日だよ」とのこと。

マイノリティごとに存在する休日

シンガポールには様々な国にルーツを持つ人がいます。華人(中華系)が76.7%、マレー系が14%、インド系(印僑)が7.9%、その他が1.4%となっています。華人、マレー系、インド系からなる複合民族国家のため、公共メディア、文化一般に3系統の文化が共存しているのが現状です。そして共生しながらもそれぞれ異なるコミュニティーを形成しています。そのコミュニティの尊重のための振替休日だったのです。

息子のクラスにも、シンガポールの居住者の構成と同様に様々な国にルーツを持つ子供達がいます。そしてそのルーツは、夫婦それぞれ違う場合もあり、多種多様。これはインターナショナルスクールに限ったことではありません。ローカルスクールに通う子供たちも、祖父母の代まで遡ると様々なルーツが見えてきます。

私の住んでいる地域は比較的HDB(Housing and Development Board:政府が提供する公団住宅のようなもの)が多い地域なのですが、そこでも様々な人がお互いを尊重しながら生活しています。シンガポール政府は民族問題に敏感です。

例えば、国民の9割以上が暮らすHDB住宅では、ブロックごとに住民の民族比率がシンガポールの民族比率と同じようになるよう、民族別に入居者数が配分されています。なので普通に家の近所を歩いているだけでも、様々な人に出会います。そして自分もそのうちの一人なんだと思い、多種多様な文化交流を楽しんでいます。

「外国語」ってなに?」と聞かれて

Photo Credit: Seina Morisako「Study Foreign language

ある日、私はシンガポール人の友人に、こんな質問をしました。
「シンガポールの公立小学校では、外国語って何歳から勉強するの?」
友人は目を丸くして、こう答えました。
「外国語ってなに?」

シンガポール全人口のうち、シンガポール国籍保持者は61.12%という統計が出ています。そして当然といえば当然ですが、その全員が同じバックグラウンドを持つシンガポール人同士で結婚しているわけではありません。中華系であったり、マレー系であったり、インド系であったり、皆それぞれ。なので例えば父方のおじいちゃんは英語がわかるけれど、中国語しか話せない、マレー語しか話せないなどという事態が発生します。

こういった背景もあり、祖父母とのコミュニケーションのため、自分のルーツを大事にするため、子供たちは英語以外の言葉も取得していきます。そこには「僕の国はどこどこだから、僕の母語は〇〇語。それ以外は外国語」という意識はありません。

私は日本で生まれ、日本で育ちました。なので私のルーツは日本であり私の母語は「日本語」です。そして現在英語と中国語を勉強しています。今までの私ならここで「外国語を勉強しています」と言うところですが、もしかしてシンガポール人の友人から見ると「なぜ外国語なんていうの?そもそも外国語ってなに?」という認識であることに気がつきました。

私は少し混乱していましたが、友人が「『公用語』と『外国語』についての違いを理解できればきっとスムーズにわかるのでは?」と、私に説明してくれました。

シンガポールには英語、マレー語、華語(標準中国語=マンダリン)、タミル語の4つの「公用語」があります。教育やビジネスの場では主に英語が使われますが、それはあくまで「使用される」だけであり「母語が英語」というわけではありません。日常会話ができるとか学校で使えるとか仕事で使えるとかはあまり関係なく、この4つの言語はあくまでも対等であり、そこに優越はないのです。

私は「母語と外国語という考え方がもしかしたら日本特有なのでは?」と思いました。

私はシンガポールで「外国人」と呼ばれたことがない

Photo Credit: Seina Morisako「Foods in Singapore

母語だけの世界が強烈に存在していると母語とそれ以外という考え方になりがちです。かつてシンガポール政府は「タウンプラン」という民族別の居住区を作ることにより、ルーツによってのグループ結成を推進しました。ルーツが同じ者同士で助け合うためです。しかし、時代は変わりました。現在はルーツによってのグループ結成は「国が進むべき方向性を考えると良い影響を与えない」という方針を明確にしています。

「自分の母語などの「ルーツを大事にすること」」と「そのルーツの共通性だけを強調して強固な団体を作り、それ以外に明確な境界線を引くこと」は明らかに違うのです。しかし、その違いをまだ私は身体で覚えていないと改めて気づかされました。ちなみに私はシンガポールで「外国人」と言われたことはありません。「永住者」かそうでないか、「駐在者か」「旅行者か」(つまり国に税金をどのくらい収めているか)だけ。あとは私「個人」が問われます。「あなたはどう思うの?」と。

外国、外国人、外国語という考え方は自分をマイノリティグループに守らせてるゆえの思考なのかもしれません。考えを一度洗い流し、自分そのものを自立させることが必要なのではないでしょうか。住んでいる国で「外国人」と呼ばれたことがないので、呼ばれたことを想像してみたらとても悲しくなってしまいました。そして同時に私を外国人という視点で見ることなく人間として慕ってくれる数多くの友人に感謝したいと思います。

ライター:Seina Morisako

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