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モハメド・アリ「チョウのように舞い、蜂のように刺す」から考察する驚異的な強さとは?

2016年6月3日未明、元ボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリ(74)氏死去。訃報のニュースは世界で大きく報じられました。

 

まずは、簡単に彼の歩みをご紹介します。

 

1960年 ローマ五輪金メダル獲得

1964年 無敗で世界ヘビー級王者に君臨

1967年 ベトナム戦争で徴兵拒否、タイトルを剥奪される。黒人解放運動に携わり反対性ヒーローに

1974年 約7年ぶりに世界王座奪還『キンシャサの奇跡』と呼ばれる

1976年 アントニオ猪木との『格闘技世界一決定戦』で引き分け

1978年 3度目の世界王者に返り咲く

 

そんな中、新聞などで必ず見るのがこの名言。

 

「チョウのように舞い、蜂のように刺す」

 

誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。この一言に、アリがどれだけ至極珍しいボクサーだったか?が凝縮されているように思います。

 

“ヘビー級とは思えないスピードで鋭いパンチを繰り出し、弾むようなフットワークで相手を翻弄した”といった説明をよく見ますが、よーく考えてみると、わかったようでわからない気もします。

 

そこで、モハメド・アリの「チョウのように舞い、蜂のように刺す」についてちょっとだけ深い所を考察します。月刊ゴング 14号
Fujisan.co.jpより

軽量級と重量級の違い

ピンとこないのは“ヘビー級とは思えないスピード”かもしれません。

私たちがテレビでよく見る日本人のボクシングはだいたい軽量級。足で小刻みにリズムを取りステップしながら対戦するスタイルです。

 

軽量は動きながらタイミングよく反動を付けてパンチを打つと加重するので効果的。だからフットワークが重要になりスピードも求められるわけです。

 

一方、見ることの少ない重量級は、フットワークを多用するとスタミナロスに繋がるので、軽快なステップで動くより、いかにハードパンチをヒットさせるかを重要視します。アリはその概念を変えたわけです。

ヘビースタイルを静から動へ

アリのプロデビュー時の身体は、190センチ98キロ。ヘビー級としては決して大きくありません。

 

ローマ五輪金メダリストのアリは、鳴物入りでプロデビュー。ビッグマウスで相手を挑発するパフォーマンスでもファンを賑わせ、すでにスターの片鱗をみせていました。

 

アマチュア時代からアウトボクサーだったアリを、(アウトボクシングとは、パンチよりディフェンスを重視し、相手にパンチを打たせてスタミナ切れを狙い終盤に倒す、あるいは判定勝ちを納めるといったスタイル。)多くの人は「プロでは通用しない」と酷評します。

 

当時は15ラウンド制だったので、アウトボクサーにいくらスタミナがあっても高が知れているという見方が普通でした。ところがアリは、類稀なフットワークの軽さと神技的なディフェンスで連勝街道を驀進。

 

時に両手をぶらりと下げて顔を差し出し避けるというパフォーマンスまで見せるほど。そしてジャブを打ってジワジワ相手を攻め、その合間にカウンターパンチを放つというスピードと技術は、見る者を唸らせたといいます。

 

アリのディフェンス技術の凄さが分かる映像。

 

 

相手の周りをこんなにまわるスタイルはヘビー級に在り得ない衝撃でした。

 

アリの出現と成功で、ヘビー級でもスピードを要したジャブの重要性やディフェンス技術の向上が謳われます。特に若い選手はこぞってアリを真似たと言われます。アリはヘビー級のボクシングを劇的に変えました。

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