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山口組抗争 警察庁が狙う特定抗争指定暴力団への道筋

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 金高雅仁・警察庁長官は今年に入ってから、対立が続く六代目山口組と神戸山口組に関して繰り返し「これを機に一気に両団体の弱体化を図るべき」「壊滅に全力を尽くす」と警察組織全体に号令をかけてきた。神戸山口組系の池田組幹部が射殺された事件を受け、警察側の動きも慌ただしくなっている。

 5月31日に岡山市内で(神戸山口組側の)池田組幹部射殺事件が起こると、警察庁はその日のうちに全都道府県警に指示を出した。内容は、六代目山口組と神戸山口組両団体の「特定抗争指定暴力団」指定を視野に入れた情報収集だった。警視庁の山口組対立抗争集中取締本部の関係者が説明する。

「やられた神戸側もヤクザである以上、黙ってはいられないだろう。いくら執行部が自重を求めたところで、現場の暴発は防ぎきれるものではない。仮に神戸側からの『返し(報復)』があれば、六代目側も含めて特定抗争指定暴力団に指定していくことになる。

 そうなれば抗争相手の事務所に近づいたり、組員が5人以上で集まったりしただけで逮捕できる。組事務所の使用制限もかけられる。そうやって両団体を追い詰めていくのは、警察組織が描いている既定路線だ」

◆「この“チャンス”を逃すな」

 特定抗争指定暴力団は2012年10月の暴対法改正の際に生まれた新しい制度で、各都道府県の公安委員会が、暴力団同士の対立抗争によって市民の命の安全を脅かされる恐れがあると判断した場合に指定される。

「現段階で、六代目山口組が組織的な意志決定のもとに神戸山口組幹部を殺害した証拠はない。それでも警察は両団体壊滅の好機と見て動き出している。

 ともに特定抗争指定暴力団とした上で、今回の射殺事件、そしてこれから起きるであろう『返し』について、誰の指示があったのかを明確にし、組織犯罪処罰法などを使って、トップの“使用者責任”を追及していく。もちろんターゲットは六代目山口組の司忍・組長であり、神戸山口組の井上邦雄・組長だ」(同前)

 1980年代に山口組と一和会が衝突した「山一抗争」では、警察庁は暴力団の最高幹部を相次いで検挙し、組織の解体を目指す「頂上作戦」を展開した。

 金高警察庁長官は、1月に兵庫県警本部を訪れた際、捜査員たちを前に、「県内には両団体の拠点があり、取り締まりの主戦場だ。市民生活の安全確保と双方の弱体化、壊滅に全力を尽くしてほしい」と訓示したのをはじめ、折に触れて「この機を逃すな」と公言してきた。暴力団と警察の関係に詳しいジャーナリスト・伊藤博敏氏が説明する。

「昨年8月に山口組の分裂騒動が勃発して以降、警察側は今回のような命のやり取りがある事件が起きる日に備えてきた。このタイミングで、一気に弱体化させて追い込む。山一抗争の時代と違って、今は『最高幹部の指示があった』という証言一つで殺人教唆を問える制度ができている。暴力団特有のピラミッド構造によって逆にトップの罪が問われやすくなっているのです」

※週刊ポスト2016年6月17日号

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