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ARでもVRでもない! Microsoftが送り出す次世代MRギア「HoloLens」とは?

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写真提供:Microsoft

昨年1月末に、Microsoftが本社のあるワシントン州で行ったWindows 10の2度目の発表会で披露された「Microsoft HoloLens」は、従来のVR向けHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とは大きく異なる独自の技術を搭載した、まったく新しい次世代ギアであることが判明した。

見た目はVRでよく使われるゴーグル型のHMDと似ているが、閉ざされたバーチャル空間だけではなく、ホログラフと呼ばれる3DCGや動画などの映像情報をHDクオリティで、現実空間へ重ね合わせるように表示できる点にある。いわゆる現実とバーチャル空間を重ねて見られるARの技術を使っているが、従来のAR と異なり、情報を表示させるためのマーカーをあらかじめ空間に配置しておいたり、外部カメラやセンサーなどを設置したりする必要がない。なによりも専用のコントローラーが不要で、自然なジェスチャーや音声で操作できるのが大きな特徴だ。ちなみに、MicrosoftはHoloLensに使われている新しい技術はMR(Mixed Reality)であるとしており、一部ではホログラフィックコンピューターとも呼ばれている。

写真提供:Microsoft

HoloLens本体には、現実空間をいろいろな角度から撮影して表示し、コントロールする時のジェスチャーを識別するために、複数のカメラとさまざまな動きを感知するセンサー、マイクなどが搭載されている。同じく、現実空間に情報を投影することを目指したGoogle Grassに比べると、見た目はいかついが、情報処理はすべてHoloLensに搭載されたWindows 10上で行われるので、全体としてはコンパクトな印象がある。もちろんケーブルなども不要で、最長で5.5時間連続で使用できるという。

HoloLens用のコンテンツの開発はWindows 10に標準で提供され、既存の3DCGやVR制作ツールとも互換性がある。専用のAPIも公開され、アプリやゲームも開発できるなど、新しいデバイスが登場した時に、壁となっているソフト開発についても十分配慮されている。サイトでは活用事例として、実物のバイクにホログラムを重ねてタンクのデザインを修正したり、エンジンをバーチャルにシミュレーションしたり、パソコンやタブレットで指示した機械の操作方法が、実際の機械の上に重なるように表示される、といった使い方を紹介している。

写真提供:Microsoft

実際に、ホログラムを現実空間に投影できるほど高性能なデバイスが、これほどコンパクトなサイズで開発できるのかを疑問視する声もあったが、デモを体験した専門家によると、15インチスクリーンに映し出されるのと同じほどのサイズで情報が表示され、2.5から5.5時間の連続使用が可能な製品に仕上がっているという。

また、日本では、先日開催されたニコニコ超会議2016のJALブースで初めて公開され、体験者の多くが、「表示範囲はそれほど広くないが、現実空間へほとんど違和感なくホログラフが表示されるのを体験できた」としている。JALはHoloLensをパイロットの訓練や整備士の作業現場で活用することを目指しており、すでにコンセプトツールも開発している。

写真提供:Microsoft

JALの導入事例のように、HoloLensはエンターテインメント性よりIndustry 4.0(情報技術による次の製造業の変革)といわれる製造業の現場で活用されることが期待されている。たとえば、HoloLensを装着すれば、工場ラインのどこで不具合が起きているかが一瞬にしてわかり、対応のためのマニュアルも同時に表示してくれる。表示内容も利用者に合わせて多言語で表示され、音声で操作できるので作業の手を止めなくても済むというわけだ。

現在、HoloLensは今年3月から開発者版が3,000ドル(約33万円)で発売されているが、購入できるのは米国とカナダのみに限定されており、日本やそのほかの国での販売時期は発表されていない。一般向けの販売についてもまったく未定で、一度は撤退したGoogle Glass と同じく、まずはBtoB向けにマーケットを広げていくとみられている。

開発版を手に入れられるのはまだ先になるが、オンラインではソフト開発のためのチュートリアルが公開されており、こちらは購入者以外でも自由に見られるようになっている。それらを見てもわかるように、用途の広さと開発環境の取り組みやさという点では、既存のVRよりもはるかに可能性が感じられるだけに、早く一般向けにも発売されることを期待したい。

関連リンク

Microsoft HoloLens
JALプレスリリース

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