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成年後見制度(成年後見人)の基礎知識~不正から認知症高齢者を守る~

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こんにちは、魚谷です。認知症の方の力になっていきたいと考え、2016年1月に認知症支援事業所を設立し、現在5名の後見人としても活動しています。しかし、成年後見制度を悪用するといった類のニュースが頻繁に流れるたび、心を痛めています。

ひとりひとりが成年後見制度について正しく理解することが、認知症高齢者の財産、尊厳を守っていくことに繋がるのではないか?と考え、今回は成年後見制度についてお話させていただきます。みなさんにご理解いただけるよう、分かりやすい説明を心がけたいと思います。

成年後見制度って何?

成年後見制度とは、20歳以上の人(成年)が、認知症や精神障害等により判断能力が低下した時に、何らかの理由で不利益を被らないよう保護する制度のことを言います。代表的な保護内容として、財産を管理することが挙げられます。その他各種契約を締結する、もしくは取り消すことなどもあります。

成年後見制度には任意後見制度と法定後見制度がある

成年後見制度は、大きく分けると任意後見制度と法定後見制度に分けられます。2つの違いを端的に申しますと、判断能力が低下する前に備える制度(任意後見制度)か、判断能力が低下した後に対応する制度(法定後見制度)かの違いです。それぞれの制度について詳しくみていきましょう。

任意後見制度とは?

判断能力があるうちに、自らの判断能力が低下した際に希望する具体的内容(財産管理、契約の締結など)とそれを代理で実行する人を、公正証書の形で取り決めておく制度を言います。実際に判断能力が低下した時に、家庭裁判所での手続きを経た上で開始となります。

ただ、本人に代わって契約を行うなどの代理権はありますが、本人が行った契約を取り消す取消権などはないため、契約の取り消しを行う場合は、改めて家庭裁判所に法定後見を申し立てて、(法定)後見人を選任してもらわなければなりません。

法定後見制度とは?

判断能力が低下した後に、本人がより良い生活を送れるよう、家庭裁判所に選任された人が、本人に代わり財産を管理したり施設の契約などをする制度を言います。なお、利用にあたっては、本人や法で定められた人が家庭裁判所に申し立ての手続きをおこなうことが必要となります。

その上で、医師の診断・鑑定により、判断能力の程度を3つの類型(後見、保佐、補助)に分けられ、最終的に家庭裁判所が決定を下します。選任される人をそれぞれ後見人、保佐人、補助人と呼びます。(以下、後見人等)
 
また、3つの類型間では対応できる内容に違いがあります。
後見
判断能力が全くないと考えられる方が対象で、後見人は財産に関係する法律行為の全てを行うことができます。また日常生活上の行為を除いたほとんどの行為に対して、代わりに行ったり、取り消しをしたりすることができます。
保佐
判断能力が不十分と考えられる方が対象で、民法で定められた一定の行為に関して、保佐人の同意を得ることなく対象者が契約等した場合、保佐人は必要に応じて取り消すことができます。また、家庭裁判所に対して代理を希望する行為を申し立て、認められた内容については保佐人が本人に代わって契約を締結することなどもできます。

補助
判断能力が十分な状態ではないと考えられる者が対象で、代わりにやってもらいたいことや補助人の同意が必要なことを自身で決めることができます。

配偶者や子など、身内がやってもいいの?

「制度を利用しなくても、財産管理や施設契約は配偶者や子など、身内がすでにやっているのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、法的に認められているのは後見人等だけであるため、注意が必要です!

財産管理や施設契約は、本来本人だけがおこなえる事項で、いくら身内であっても勝手に通帳からお金を引き出したり、施設と契約したりしてはいけないのです。

成年後見制度の悪用について考える

そんな中、弁護士などが後見人等となって、事件に発展したニュースを聞くようになったのは本当に残念です。

現在、私は対象者5人の後見人として活動しています。後見人となることで、5人全員の通帳を預かり、キャッシュカードも使えるよう暗証番号の変更をしました。そこから対象となる方の施設費用などを、引き出して支払うわけです。

誤解を恐れずに言うなら、私自身しようと思えば、いくらでも自由に対象者のお金を使うことができます。自身の買い物にかかったお金を、対象者の口座から引き出そうと思えば簡単にできるのです。

不正の防止策として、年に1回、家庭裁判所に対してお金の出入りを、レシート等の添付とともに報告する義務があります。しかし、レシート等だけでは、対象者が必要としているから購入したという担保にはならず、後見人等が不正できてしまう要因が決して消えたわけではないと思います

つまり、成年後見人制度とは、後見人の良心によって支えられている制度ではないでしょうか。

悪用を防止するためにできることは?

年1回の家庭裁判所への報告やお金の出入り記帳、レシートの整理など、後見人のすることは多岐に渡ります。そのため、ご家族が後見人になることは大変なことではないでしょうか。

では、ご家族目線で、後見人の不正を防ぐ手立てがないかと言えばそんなことはありません。定期的に、お金の出入りなどが記録された書類などを見させてもらうと良いのです。悪いことをしてなければ、後見人が拒否する理由など思い当たりません。

後見人等はご本人と同等の立場です

後見制度を利用されている、ある認知症の方のご家族の話です。あるとき、ご家族が後見人に「書類を見せてほしい」と言ったところ、「見せる義務はない」など、上から目線で何かと理由をつけて拒否されたという話を聞きました。

後見人は、ご本人より上の立場では決してありません。「代わり」でやっているだけで、同等の立場であり、対象者やその関係者から求められた事に関しては、拒否などできないのです。こういった間違った考えで、後見人をやっている人がいるので注意が必要です。

さいごに

後見人と一言で言っても、任意後見か法定後見か、または法定後見で後見なのか保佐なのか補助なのか、できることに範囲があります。つまり、後見人が、全てを代わりにおこなえるわけではありません。治療の同意や、死亡後における事務手続きはおこなえない代表例です。

今国会において法の改正が行われましたが、具体的な運用方法等については発表されていません。少しでも後見制度に興味のある方は、その動きを注視して欲しいと考えています。

さらに詳しく成年後見制度について知りたい方はこちら

さらに詳しく法定後見制度について知りたい方はこちら

この記事を書いた人

魚谷幸司

昭和47年生まれ。東大阪市在住。大学在学中よりアルバイトで介護に従事する。卒業後は特別養護老人ホームやデイサービスセンター、認知症グループホームにおいて主任や副管理者等で勤務した後、本年1月に認知症支援事業所を起業。500人、20年以上に渡って認知症と呼ばれる方の声を聴き、今も向き合い続けています。また社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員を所持し5人の成年後見人としても活動しています。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
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