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【自著を語る】暴走族の元総長を早稲田に合格させた塾長

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【自著を語る】藤岡克義氏/『つまずき 寄り道 回り道』/小学館/本体1200円+税

 大学受験の「現役至上主義」、就職活動における「新卒至上主義」。「回り道を許さない」日本の教育システムが学生たちを苦しめている。でも、回り道は決してマイナスではない──。

 広島県福山市にある話題の学習塾「フジゼミ」塾長の藤岡克義氏は著書『大切なのは「つまずき 寄り道 回り道」 小さな塾「フジゼミ」塾長と生徒たちの昨日、今日、明日』でそう指摘する。フジゼミは不登校や非行に走った多くの“落ちこぼれ”学生たちを再生させてきた。その秘密は、藤岡氏自身の「遠回り」してきた人生経験にあった。以下、藤岡氏が語る。

 * * *
 私は高校を2度中退し、ニートさながらの生活を経験してから19歳でやっと勉強を始めました。それも普通の塾ではなく、近所で私塾を開く呉服屋のおじさんの下で、イチからのやり直しです。英語は「This is a pen.」から、国語は小学生の文章ドリルからでした(笑い)。でも、いわゆる受験塾のようなところではなかったからこそ自分自身と向き合う勉強ができて、たった1年で大検(現在の高卒認定)を取得し、大学に入学できたんです。

 回り道をして入った大学生活では、「何のために大学に来たのか」を考えて、他大学との交流ゼミに参加しました。ゼミでは、多くの刺激とともに、生涯の友人を得ることができた。

 僕はこうした経験を誰かに返したくて「フジゼミ」を設立しました。塾のポリシーは「学歴、経歴、年齢は不問」です。その噂を聞いて来た教え子の1人に、暴走族で総長までやった少年がいました。

 彼は高校にも行かず、働いては遊ぶ毎日を送っていた。ところが16歳で始めた建設現場での仕事中、体積の求め方が分からずコンクリートの発注を間違えてしまった。その時に、「自分はこんなこともできないのか」と不安になり、「最低限の知識って必要なんじゃないか」と気付いた。

 彼はフジゼミで猛勉強した結果、同級生から2年遅れて早稲田大学に合格しました。本書では彼のように回り道をしたからこそ「真剣になれた」多くのエピソードを紹介しています。

 フジゼミの勉強方法は、僕が呉服屋のおじさんに教わったのと同じく「イチからやり直す勉強」です。中には、分数や九九の計算から教え直した子もいました(笑い)。早稲田に合格した彼も、英語は「This is a pen.」からスタートしたんですよ。

 他の塾と違うのは週に1度の「ホームルーム」。「なぜ大学に行くのか」を話したり、塾のOB生が自分の体験を話すこともあります。人生について考えることで、学生たちのモチベーションが上がる「最も大事な時間」です。

 いまの教育には立ち止まりを許さない空気があります。ですが生徒たちはみんな「過去のどの時間も自分にとっては必要な時間だった」という。まっすぐ伸びる道を外れて、つまずいたり、寄り道したり、回り道したからこそ見える景色があるんです。

 現役至上主義、新卒至上主義という「病」にとらわれている社会でも、「必ず道は開ける」と悩んでいる学生たちに伝えたい。本書には、その想いを詰め込みました。

【プロフィール】藤岡克義( ふじおか・かつよし):1975年広島県生まれ。國學院大學経済学部卒業。株式会社大林組に就職後、2004年、広島県福山市に学習塾「フジゼミ」を設立。「学歴・経歴・年齢は不問」をポリシーに、高卒認定試験、看護師など各種資格試験、大学受験指導を行なう

※週刊ポスト2016年6月10日号

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