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料理本ブーム 作りおきレシピから生活習慣改善系にシフトか

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「食」関連本で新しいトレンドが起きている。そのブームとはなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

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 先日、Amazonランキング大賞2016上半期が発表された。そのなかで「食」の本にトレンドの変化が起きている。昨年のランキング大賞2015で「暮らし・健康・子育て」カテゴリー10位に入った食関係の本は、4位に『やせるおかず 作りおき』、6位『フリージング離乳食』、10位『ココナツオイルでボケずに健康』だった。

 実はこの数年「作りおき」系のレシピ本は息の長い売れ筋書籍となっている。書店大手・紀伊国屋書店の2015年「くらし」カテゴリーでも上位に数冊がランクインしているし、前年の2014年に至っては同カテゴリーの1、2位を「作りおき」本が占めるほどの人気となっていた。出版社の「食」関連の書籍編集者は最近のトレンドをこう語る。

「最近の作りおきレシピは、インスタグラムで『いいね』がつきそうな見栄えのいいものが多いですね。各社から出版されているレシピ本も、フレンチ版にんじんサラダの『キャロット・ラペ』や紫キャベツを使ったカラフルなおかずが特に人気です」(扶桑社第四編集局副編集長・池田裕美さん)

「作りおき」の食卓における位置づけは、和食の「常備菜」にも近く、洋風のメニューを加えて再構築されたカテゴリーとも言える。息の長いヒットになっているのは、日本の食習慣のなかにあったおかずだからこそという面もありそうだ。

 ところがAmazonランキング大賞2016上半期では、同カテゴリーで10位以内の「食」関連の顔ぶれが大きく変わった。レシピ系の代わりに、台頭してきたのは生活習慣改善系。「食」と言っても食べ物と体の関係を解くような書籍が上位に進出している。

 例えば3位と4位はダイエッターの間ではよく知られた『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』。4位も『糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事制限ロカボのすべて』と、いずれもこの数年ブームとなっている、糖質制限についての書籍だ。加えてその上位に新しいメソッドの書籍が飛び込んできた。

 2位に入った『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』である。シリコンバレーの有名ハッカーが糖質やカロリー制限など、世界中の食とダイエットを検証したというこの一冊は、昨年9月に出版されたところ、みるみるうちに累計15万部を突破。いまだ部数を伸ばし続け、この数年、糖質制限一辺倒だった食餌健康法に一石を投じる形となっている。

 現代のメディアは何かが売れると「2匹めのドジョウ」を狙うことが多い。特にレシピというジャンルにおいては、その傾向が強い。類書が増えれば書店に棚ができ、ブームは加速しやすくなる。だが、短期間で作られたものは飽きられるのも早い。昔ながらの和食が当たり前だった当時から長期間かけて家庭に根づいた「作りおき」は形を変えて残るのか。それとも「糖質制限」や「シリコンバレー」に駆逐され、ブームとして消費されてしまうのか。

「作りおき」のような、もととも生活のなかにあったコンテンツはどう生き残るのか、それとも消費され尽くしてしまうのか。コンテンツの強靭性と消費スピード、そして新顔の台頭……。そこにはいくつもの要素が絡み合う。ここに挙げたものはあくまで一例。コンテンツ界では今日も無数のチキンレースが開催されている。

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