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参院選の争点は「アベノミクスの評価」じゃない

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参院選の争点は「アベノミクスの評価」じゃない
安倍晋三首相は1日の記者会見で、来年4月に予定していた消費増税の再延期と衆参同日選の見送りを表明した。今後の焦点は今月22日公示、7月10日投票の参院選に移る。新聞各紙は今日の朝刊で参院選について「アベノミクス評価が争点」などと見出しを掲げたが、正確性に欠ける。正しくは「与野党の経済政策が争点」である。

通常国会の閉幕を受けて記者会見した首相は来年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを2019年10月まで2年半延期すると正式に表明。衆参同日選挙は見送るとしたうえで、増税延期の判断について「参院選で国民の信を問いたい」と述べた。

増税延期の判断について「信を問いたい」といっても、民進党をはじめとするすべての野党は増税延期を支持しており、争点にはなり得ない。仮に増税延期に反対だとしても投票先の政党がないからだ。これは前回、増税を延期した際の衆院選と同じ構図である。

そこで2014年衆院選と同じ轍を踏みたくない民進党は「増税を延期せざるを得なくなったのはアベノミクスが失敗したせいだ」として、「参院選の争点はアベノミクスの評価」と強調することにした。安倍政権が嫌いなマスコミは民進党の言葉をそのまま掲載したのだ。

しかし、仮に増税の延期が「アベノミクスが失敗したから」なのであれば、前回2014年の際も同じはずである。だが、当時の衆院選は与党が圧勝し、民主党は惨敗に終わった。多くの有権者は「アベノミクスは失敗だから、民主党に入れよう」とは思わなかったのだ。

NHKの世論調査によると、前回衆院選が行われた2014年12月の政党支持率は自民党が38.1%で民主党が11.7%。直近5月の支持率は自民党が37.0%で民進党が8.2%である。

自民、民進ともに微減という結果だが、「相対的な支持率」でみると様子が違う。「支持なし」や「わからない」などと答えた無党派層を除き、特定の政党を挙げた人の中での支持割合を計算すると、自民党の支持率は58.4%から67.6%に高まり、民進党は17.9%から15.0%に落ちている。投票に行きそうな層では自民党の支持率が高まっているのである。

「経済政策論争」を期待したい
野党の支持が伸びない最大の理由は「対案が見えない」から。各種世論調査を見ていても、国民の最大の関心事は常に「経済、景気」であり、多くの国民は安倍政権が掲げる「3本の矢」や女性活躍、介護・保育の充実といった政策の成果が上がっていないことを認めている。しかし、だからといって民進党に任せれば何とかしてくれる、とは思えないのだ。

民進党などは安倍首相の記者会見に先立って消費増税を延期するための法案を提出したが、それは政策ではない。「自分たちが先に動いた」と国民に見せるためのパフォーマンスである。

国民が見たいのはそういうことではなく、こうすれば景気を上向かせることができる、こうすれば国民の所得を増やすことができる、こうすれば地方を再生できるという具体策。しかも、民主党政権が「公約倒れ」に終わったことからより具体性と実現性が求められる。

民進党をはじめとする野党がこれからどんな政策を打ち出すのか。どんなマニフェストを発表するのか。夏の参院選が与野党の激しい「経済政策論争」となるよう期待したい。

(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)
PHOTO:Dick Thomas Johnson

 

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