老舗の米屋直営「キッチンパパ」の洋食は、ご飯がススムにもほどがある!【おかわりOK】
150年以上続く米屋の奥で
こんにちは、メシ通レポーターの泡です。今回やってきたのは西陣織の産地として栄華を誇った西陣エリア。
千本通から上立売通を東へ入った所にある「大米米穀店」は、創業以来159年の歴史を持つ老舗です。
阪急・河原町駅やJR二条駅から、市バスに乗り「千本上立売」バス停下車、徒歩2分ほど。住宅が並ぶ上立売通を東へ。
米穀販売コーナーの奥に洋食店があります。
戦前、戦後を通して米やうどん、パンなどを販売してきましたが、当主の大米 勝さんが20年前に米屋の奥で洋食店をスタート。これが大ヒットし、今では休日には行列もできるほどの人気店に。
洋食店の入口にある渋い看板。
「外食産業など食品に携わるサラリーマン生活が長かったんですけど、『自分の店がしたい』という気持ちが強くなってこの形にしました」と大米さん。それにしても、まさにこのご商売をするためのお名前ですよね。
よっ、選ばれし米の使者!
ご飯に合う洋食をデイリーに
大米さんは「どんな料理を出そうかと考えた時、イタリアンやフレンチはデイリーに来てもらいにくいし、中華もちょっと違う。洋食なら、日本人がご飯やビールに合うようアレンジしたメニューがいろいろあるしええんちゃうか! と。それで、ハンバーグが中心の洋食にしようと決めたんですよ」と語ります。
店内はテーブル席のみ。木目が基調の落ち着いた雰囲気です。
元々、プライベートでも料理好きだった大米さん。ハンバーグがメインのファミリーレストランにも携わっていたので、ある程度のノウハウは身に付けていたといいます。
「家で作るならほんまは中華が一番得意なんやけどね(笑)」と大米さん。
ふっくら、旨みをとじ込めたハンバーグ
自慢のハンバーグは、牛と豚のミンチを7:3の割合で使用。そこに卵、炒めた玉ネギ、パン粉、牛乳を加え、塩・胡椒やナツメグ、オールスパイスなどで風味を付けます。
凝り性の大米さん、焼き方には一家言あり。
まずは焼き目をつけて旨みや肉汁が外に出ないようにとじ込める。
「最初は鉄板やフライパンで焼いていたんですけど、どうしてもちょっとしたタイミングのずれで焼きムラができたりしてたんですね。多い日は100個以上を焼くこともあるので、どうにかせなあかんなーと思って」。そこで導入したのが流行のスキレット鍋と、レストランの厨房でおなじみのスチコンことスチームコンベクション(熱風や蒸気を対流させて食材を均一に調理するオーブン)。ひゃー、スチコンってかなり高価ですよ! 思い切りましたね〜。
「スキレットで焼き目を付けてスチコンに入れたら、あとはほかの作業に集中できるからものすごく便利です。火も均一に通るし、最高ですよ」と大満足のご様子。「スキレットも火加減が安定しているので目玉焼きをカリッと焼いたり、ソースを温めたりするのに重宝してます」とのこと。
合間にデミグラスソースの仕込みも。たっぷりの香味野菜が入っています。
盛り合わせメニューがおすすめ!
ランチメニューは、ハンバーグ+もう1品の盛り合わせが7種類と、単品の海老フライ、チキンカツ、クリームコロッケなどが10種類。盛り合わせは、チキン南蛮、海老フライ、ソースヒレカツが人気だそう。
「若い子はチキン南蛮が好きやねぇ」という言葉を受け、四十路をはるか越えた不肖の筆者もそれに倣います。少しでも若者に近づきたいんや! 中年のたぎる食欲を抑えつつ待つことしばし。
来ましたハンバーグ&チキン南蛮!
ハンバーグ&チキン南蛮1,000円(税別)
ランチはすべてご飯、味噌汁、サラダ付き。
箸を入れるのがもったいないほどのナイスフォルム!
ハンバーグは厚さ3cm近く。見るからに弾力感のあるふっくらとした焼き上がりです。ダークブラウンのデミグラスソースがテラテラしてやがるぜ……。箸を入れれば、ふかっと感じる手応え。
ご覧ください、この分厚さ! みっちり詰まってますよ〜。 肉汁がドバーッとあふれてこないので「よしよし、全部中に閉じ込められてるんだね」と一人うなずくことしばし。生地はきめ細かく、ほどよくジューシーです。ちょいビターなソースが肉の風味や甘みを際立てているのもステキ。
うん、これは白飯がいる! わしわしとかき込まなければ!
自家製のタルタルソースをまとったチキン南蛮も不思議と白飯に合います。ビバ日本の洋食!
専門店ならではの旨い白飯
「キッチンパパ」のご飯は、大きめの茶碗でサーブされます。サイズは、小約100g、並約150g、大約200g〜。大盛りやおかわりも無料とはなんて太っ腹! 米は、店頭で販売している中からピックアップされた「本日のお米」。
京都丹後コシヒカリのほか、滋賀のみずかがみ、山形のはえぬきなどがローテションで登場。 精米したての一番いい状態で炊くので味わいは格別です。
厨房の奥では、3台の炊飯器がスタンバイし、順番に炊き上げていきます。
時間差で炊き上がるようセットされる炊飯器たち。
この日のお米は「京都丹後のコシヒカリ」。「おかずによく合う」と紹介されている通り、優しい甘みがじんわり広がる味わい豊かなお米です。
なんて美しい! 噛むほどに口中を柔らかな甘みが満たしてくれます。
お行儀悪いけど、こっそりソースを絡めて食べざるを得ません。
あまりにもおいしかったので、帰りに米屋コーナーでお米を購入。「しっかりとした食感と甘さ◎」という謳い文句の「富山黒部コシヒカリ」を選びました。大米さんのイケメンなご子息が売り場を担当していて、若いながらも熱心にお米について教えてくれます。すごいぞお米一家。
1kgから購入できますが、精米するには3kg以上が理想的なのだそう。米同士がうまく摩擦して糠を落とすから。
店頭では「プロが教えるごはんの炊き方講座」なるパンフレットも配布中。これをいただいて、さっそく自宅で真似してみましたよ。なにかと目から鱗の炊き方です。おおまかなポイントは5つ。 最初は米に水を注ぐのではなく、水を張ったボウルに米を入れて5秒だけ洗い、すぐに水を捨てる。 ボウルや釜に米だけを入れ、優しく20回ほど研ぐ。 2.にお米が浸かるほどの水を加え、すぐに捨てる。これを2回繰り返す。最後は水が軽く白濁している程度が望ましい。 ※洗いすぎると米の香りや甘みが飛ぶそうです。 米1合に対し、1.2倍の水を加え、冷蔵庫 で2時間ほど吸水させる。冷蔵庫に入らない場合は常温で浸水後、水を捨てて新たな冷水で炊くとよい。
お米が炊けたらしゃもじで十文字に切り、おひつやボウルに少しずつ移してさらしやラップをかけて10〜15分おく。 ※こうすることで、しっかり粒立ちして中はふわりと柔らかいご飯になります。
筆者の家には炊飯器がないため、文化鍋的なもので見よう見まねで炊いてみました。が、そんな状況でも、違いは歴然! 米が、米が立ってる! ほんでツヤッツヤ! そのまま食べても驚くほど甘いんですよこれが。
「少し冷ますとよりお米の味がわかる」と大米さんが教えてくれたのをカラダで理解。甘みが増すのですね。 まずは純白なやつをむさぼった後、同じく教えてもらったスキレット(うちのは安価なニトスキことニトリのスキレット)で目玉焼きを焼き、バターと醤油をトッピングするという狼藉まで果たしてしまいました。ふ〜。
いかにも大食いが好みそうな黄金トリオ。
一軒で二度おいしい「キッチンパパ」と「大米米穀店」。ご訪問の際はぜひ帰りにお米も買ってみることをオススメします!
店舗情報
キッチンパパ
住所:京都市上京区姥ヶ西町591
電話番号:075-441-4119
営業時間:11:00〜14:30(LO14:00)、17:30〜21:30(LO20:50)
定休日:木曜日
書いた人:
泡☆盛子
ライター。沖縄出身、京都在住。京都の水というか食がカラダに合い、40kg肥えたのが自慢。立ち呑みと、おかずケース食堂での昼酒が好き。
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