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島か岩か

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島か岩か

 先日、沖ノ鳥島について、中国、韓国のみならず、台湾もそれは「島」ではなく「岩」であると主張しているとの報道があった。「島」とか「岩」とかはどのような基準で決せられるのかまったく知らず、法律に携わる者の性としてさっそくに調べてみた。

 この基準は、国連海洋法条約、正式名を「海洋法に関する国際連合条約」に規定がある。同121条1項は、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と規定し、2項は、この島について排他的経済水域や大陸棚などを認めると規定している。
 また、3項は、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」と規定している。

 2項に戻ると、そこには、「3(上記3項のこと)に定める場合を除くほか」とあるので、3項に定める岩も、本来的には「島」に該当することを前提としているとしか読むことができない。その3項の「岩」であるが、同項には、「人間の居住または独自の経済的生活を維持することができない」との修飾語がついている。この修飾語が「岩」を定義したものかどうかは不明である。

 かように、当該条約の文言は一義的な解釈ができない不完全な規定となっている。
 つまり、第一の考え方として、「島」と「岩」とはまったく別個のものであり、後者は「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」ものを意味するというものが考えられ、第二の考え方として、「島」も「岩」も同じものであるが、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」「島」を「岩」と呼称するというものが考えられる。

 条約第1項の文言からすれば、「岩」であっても「島」に含まれるものと考えるのが素直なような気がする。
 つまり、「広義の島」には「狭義の島」と「岩」があり、それらの区別は「人間の居住又は独自の経済的生活を維持すること」ができるかどうかにより決せられるのではないかと思うのである。

 ところで、問題は排他的経済水域や大陸棚を有するかどうかである。この点から検討すると、「島」か「岩」かの区別にはさして重要性がないように思える。
 なぜなら、いかなる立場に寄ったとしても、条約の文言上「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」ものに、排他的経済水域や大陸棚を認めることができないからである。

 ところで、アメリカのハワイ大学の教授は、沖ノ鳥島をしてそれは「岩」であるとの見解を出している。そのことに対して、第145回国会建設委員会での政府委員は、「条約には岩の定義がないので、その内容が明確ではなく、政府としては3項を根拠にしない」旨の答弁をしている。
 先に紹介した二つの立場とは異なる第三の考え方だろうか、いささかズルイ気がする。というのも、穿って考えると、沖ノ鳥島について「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない」ものであるから、3項を空文化しようとしているのではないかと思われるからである。
 確かに、沖ノ鳥島はその面積わずか10平方メートル未満だそうだ。とてもじゃないが、「人間の居住」は不可能といわざるをえない。

 しかし、「独自の経済的生活」は可能かもしれない。これがどのような内容を有するものかは、いろいろと文献を探したが不明であった。しかし、並行して「人間の居住」という概念があるから、居住とは区別されるものであろう。
 どうも港などを建設すればよいらしい。とすれば、早急にそのような対応をすべきではないだろうか。

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