試食ならぬ「試住」? 住みながら購入を検討できるサービスが登場

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試食ならぬ「試住」? 住みながら購入を検討できるサービスが登場

家を買うという人生の一大事。その決断の重さに対して、購入検討時のシミュレーションが十分とはいえないケースも少なくない。実際、仕事や育児などで忙しい日常の合間をぬって“住活”し、一つの家や街の住み心地を、何カ月もかけてじっくり検証することはなかなか難しいものだ。

そんな住宅購入の不安や悩みに応える画期的な試みがこのほど誕生した。なんと、購入前に「試し住み」ができるマンションがあるというのだ。

賃貸契約で、家賃の一部を購入資金に充当

デパ地下の惣菜は試食ができる。車も試乗ができるのに、家が「試住(しじゅう)」できないのはそういえばヘンだ。ありそうでなかった試みを実現したのは、株式会社リビタ。千葉県松戸市にある築24年の「リノア新松戸」にて、「試住(タメ/スム)」のサービスをスタートさせている。同社が一棟丸ごとリノベーションした、大規模分譲マンションだ。

具体的にはどういうことなのか? リビタの担当者を訪ねた。

「「試住(タメ/スム)」は3年間を上限として賃貸借契約でお住まいいただき、そのまま購入される場合は契約中に支払っていただいた賃料の一部を購入資金に充てられます。賃貸借契約期間中にマンションの住み心地や街の快適性をじっくり体感し、将来にわたって長く暮らせるかどうかを検討することができますし、ただ家賃を払い続けるのではなく資金計画の面でも経済性や合理性を兼ね備えた仕組みとなっています」

「リノア新松戸」の場合、賃料の1/3を購入資金に充当できるという。仮に賃料8万5000円の部屋に3年間「試住(タメ/スム)」すれば、100万円と少しの購入資金が貯まっていることになる。さすがに完全無料というわけにはいかないが、将来的に購入するなら実質は相場の2/3の家賃で暮らしつつ、頭金や諸経費の資金の一部が黙っていても貯められるわけだ。

「現在は総戸数136戸のうち約30戸が「試住(タメ/スム)」の対象となっていて、そのうち15戸はすでにお住まいいただいています。新婚のご夫婦や未就学のお子さんがいるご家族で、将来的に住宅購入を検討されている方が多いですね。サービスをスタートさせて3カ月ですが、すでにご購入を決断されている方もいらっしゃいます。ただ、それでもやはり1年間は賃貸借契約で住み、街の様子などもじっくり見てみたいということです」【画像1】こちらは「リノア新松戸」共用スペースのライブラリー。もちろん「試住(タメ/スム)」利用者も使用可能で、居室だけでなく共用部の使い心地をチェックできる(写真提供:株式会社リビタ)

【画像1】こちらは「リノア新松戸」共用スペースのライブラリー。もちろん「試住(タメ/スム)」利用者も使用可能で、居室だけでなく共用部の使い心地をチェックできる(写真提供:株式会社リビタ)

試住期間中にリノベーションプランをじっくり検討

ちなみに「試住(タメ/スム)」を経て購入する場合は、売買契約後にリノベーションを行うことが前提となる。価格相場は、プランにもよるが3LDKの74m2をフルリノベーションしたケースで購入資金込み2000万円台だという。また、コスト以外のメリットがある。

「それは「試住(タメ/スム)」期間中に、リノベーションのプランをじっくり検討できることです。実際に家族で住んでいただいて、どんな間取りにしたいか考える、理にかなったスタイルになっていると思います。2LDK、3LDKだと約700通りのリノベーションプランがありますので、賃貸借契約期間中に家族が増えた場合など、お客様のライフサイクルに合わせてさまざまなケースに対応することが可能です」【画像2】リノベーション工事の一例(写真提供:株式会社リビタ)

【画像2】リノベーション工事の一例(写真提供:株式会社リビタ)

なお、新松戸以外に、千葉県柏市、茨城県つくば市のマンションでもサービスを展開。今後もエリア拡大を含めて検討していくという。

「まだスタートしたばかりですが大きな反響があり、他の事業者さんからもぜひ一緒にやりたいとお声がけいただいています。社内的にもどんどん積極的にこうした試みをやっていこうという気運が高まっていますし、われわれだけでなく業界として“試住”という文化が根付いていけばうれしいですね」

もちろん住んでみた結果、総合的に判断して購入を見送り、別の物件を探せる気楽さもある。担当者は「本サービスにより、自分にとってよりよいものがあるのではないか、という気づきをお客様に得ていただきたいと考えております。仮に購入を見送られることになったとしても、結果的にお客様のよりよい暮らしにつながればと思います」と話す。

「試住(タメ/スム)」は購入検討者だけでなく、「当面買うつもりはないけど、気が変わるかも……」といった、どちらかというと賃貸派寄りのライトユーザーにとっても歓迎すべき試みだろう。今後の展開に期待せずにはいられない。●取材協力

・株式会社リビタ
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