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3M定額通信と世界最大のWi-Fiスポットで勝負に出るワイヤレスゲート

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公衆無線LANとSIMによるデータ通信をセットで提供し、価格を抑えながら充実した通信サービスを提供するワイヤレスゲート。そのワイヤレスゲートが3月に発表したのが、LTEの最大通信速度を3Mbpsに絞りながら完全定額制を実現し、なおかつ世界中に展開されているFONのWi-Fiスポットが利用できる「FONプレミアムプラン」です。従来のプランを終了し、FONとのセットによる定額制プランに絞った同社の狙いはどこにあるのでしょうか。同社の取締役CAOである原田実氏に話を聞きました。
――FONプレミアムプランの提供に至った経緯について教えてください。
原田氏:SIMによるサービスを1~2年展開して感じたのは、そろそろMVNOのサービスが一般の人にも使われるようになったということです。しかしながら携帯電話の料金は、通信容量ごとに料金が決められている、複雑な構造のままです。実際のところ、毎月の通信量をどれくらい使うか知っているユーザーはそれほど多くない。そうであればいっそ、使い放題にして分かりやすく、快適に使えることを重視した方がいいのではないかと考ました。

弊社では通信速度が250kbpsと低速ですが、月額480円で使い放題、かつ公衆無線LANが利用できる「480円プラン」を提供しており、好評を得ていました。そこで新たに、通信速度を3Mbpsにアップした使い放題のサービスを提供し、グローバルで利用できる、FONの公衆無線LANをプラスすることで、初心者から使い慣れた人まで幅広く利用してもらえるサービスを企画したのです。

また弊社のサービスは大株主であるヨドバシカメラでの販売が主ですが、ヨドバシカメラ側としてもサービスが他社と似たり寄ったりでは特色がなく、勧めにくいという声がありました。それゆえFONプレミアムプランはヨドバシカメラ側とも相談し、ユーザーの声を取り入れながら企画を進め、現在の形に至っています。

――なぜ、最大通信速度が3Mbpsなのでしょう?
原田氏:3Mbpsの通信速度があれば、メールやネットだけでなく、YouTubeの動画も視聴できる。大容量のデータをダウンロードするなど特別な使い方をしない限り、日常的にスマートフォンを利用する人であれば満足してもらえるのが3Mbpsと判断しました。時間帯によってはどうしても混雑することもありますが、なるべく3Mbps近い通信速度を出せるよう、毎日社内でトラフィックを確認しながら、帯域増設などの措置を必要に応じてとっています。

――最近では、特定のアプリやサービスを使った時だけ通信料が無料になるサービスを提供するMVNOが増えつつあります。そうした方向性は検討しなかったのでしょうか。
原田氏:特殊なニーズを満たすニッチな部分を定額にするよりは、より広いユーザーが普通に利用するサービスの方が安心感があり、メリットにつながると判断しました。あくまで王道のサービスを提供することを考えています。

――FONプレミアムプラン提供後の反響はどうですか?
原田氏:以前の料金プランに比べ、伸びてきていますね。ヨドバシカメラを中心に、店頭でサービス内容を説明しながら販売するスタイルをとっていることから、ヨドバシカメラでの販売が大きく伸びています。以前のプランではビジネスマンの利用が多かったのですが、最近では学生や若い方なども興味を持つようになってきています。

――データ通信のみのプランと、音声通話対応のプランとではどちらの契約が多いですか?
原田氏:契約率はデータ通信の方が多いですね。ただ一般ユーザーがメインの回線として利用するとなると通話が必要かと思いますので、そこは継続して取り組んでいく予定です。もっとも通話の比率自体は減少していることから、最低限使えればいいというのが我々の認識であり、データ通信がメインであるという考えに変わりはありません。

■既存Wi-Fiインフラの強みをいかし、FONの国内普及にも注力
――今回のサービスはFONの導入も大きな特徴となっています。そもそもFONと提携に至った経緯を教えて下さい。
原田氏:通信サービスの差別化が難しく、競争が激化する中にあって、弊社の強みは何かというと、公衆無線LANのノウハウを豊富に持っていることだと思っています。元々弊社はWi-Fiのインフラを拡充することを戦略として持っており、2020年に向けたインバウンド需要拡大のためにも、Wi-Fiのインフラを充実する必要があると感じていました。そこでグローバルでの知名度が高く、世界一のWi-Fiスポットを展開するFONとの提携に至ったのです。

――FONとの提携によって、ワイヤレスゲートではどのような取り組みを実施しているのでしょう?
原田氏:FONのスポットを増やす活動をお手伝いしています。具体的な事例としては、北海道のニセコリゾートや、浅草六区にFONのスポットを設置してエリア化する取り組みを実施しています。FONは以前、キャリアとの取り組みで家庭向けの導入を進めてきましたが、弊社の取り組みはどちらかというと、飲食店やホテルなど、公共のエリアにFONのスポットを導入する、B to Bの取り組みが主となります。

現在はインバウンド向けでニーズの高い観光地などでの需要拡大に向けた取り組みが先行しています。ですが今後はFONプレミアムプランのユーザーをはじめ、国内の利用を高める上でも、日常的なニーズが高い場所を中心にFONのスポットを増やしていきたいと思っています。FONの日本法人であるフォン・ジャパンとの協力により、今期だけでも数万カ所は増やしていきたいですね。

――現状では国内におけるFONのスポットが少なく、FONプレミアムプランを契約してもFONの特徴を生かせない弱みがあるように思います。
原田氏:現状、FONは海外で通信を利用する人に向けた付加価値サービスとして位置付けています。海外でメールをしたり、SNSに投稿したりするのも、FONがあれば国際ローミングの代金を支払う必要なく、Wi-Fiスポットでまとめてやってしまえば事足りる。ヨーロッパなどではFONが広く普及していることから、短期間の滞在であれば十分役立つのではないでしょうか。

――FONプレミアムプランを広める上で、今後どのような取り組みを進めていく予定ですか?
原田氏:まず1、2年はFONスポットの拡大を進めていきたいですね。Wi-Fiの拡大がサービスの魅力拡大、そして販売の伸びにもつながるだけに、ここはしっかり取り組んでいきたいです。販売面でも、ヨドバシカメラの店頭に販売説明員を増やし、サービスを知ってもらう取り組みを進めていきます。定額で使い放題の安心感を切り口としながら、Wi-Fiスポットの付加価値をしっかり説明することで、より納得して買ってもらえる体制を整えていくつもりです。

(文:佐野正弘)

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