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結合双生児の「分離されたくない」という気持ち、その背景にあるものとは

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 身体の一部分が結合している双子、結合双生児。結合している場所は様々で、頭部または腹部、尻部が結合していたり、2人分の上半身を持ち1人分の下半身で産まれてくることもあります。

 現代の多くの研究者は、結合双生児は一卵性双生児がお母さんのお腹の中で双子として成長していく過程で、身体の分離が完全でないまま産まれてくるためであると考えているとか。また、結合双生児が産まれる割合は5万人から20万人に1人と言われていますが、両方が生存可能な状態で生まれてくることは珍しいともいいます。

 本書『私たちの仲間-結合双生児と多様な身体の未来-』では何組かの結合双生児の記録を紹介し、近年行われている「分離手術」は果たして必要なものなのか、「正常」とは何なのかを問いかけています。

 たとえばアメリカに住むアビゲイルとブリタニー姉妹。彼女らは雑誌「LIFE」の表紙を飾ったこともある有名な結合双生児です。頭を二つ持ち、殆どの上半身の内臓は2人分ありますが、腰から下の下半身は2人で共有し、また腕も2本。彼女達は他の子ども達と同じように走ったり泳いだりして遊び、学校で学び、沢山の友達に囲まれ人生を楽しんでいます。

 現在学校の先生として活躍している彼女達は「離されたくなんてない」と口を揃えます。

 彼女らに限らず、多くの結合双生児は「分離されたくない」という考えを持っているそうです。そして成人になるまで生存した結合双生児の多くは、実際に分離手術を拒否しています(また、今まで何百と行われてきた分離手術において、本人達がその手術に同意した例は殆どありません)。さらに驚くべきことに、結合している1人の双生児が死んだ後でも、残ったもう1人も例外なく分離されずにそのままであることを望むというのです。分離されなければやがて自分も死んでしまうということを知っていながらでも。

 1851年にノースラロライナで産まれたミリーとクリスチーナ姉妹については、「2人は、ずっと一緒に生きてきた。産まれてきたときと同じように一緒にこの世を去りたいと望んだ」という記録も残っています。

 本書の著者であり、医学博士のアリス・ドムラット・ドレガーさんはこう述べています。

「たいていの単生者(誰とも繋がらずに産まれてきた人)は社会心理学的に個人であるためには、身体的に個人でないといけないと考えている。そのため結合双生児は幸福で正常な人生を送ることの出来ない身体に産まれてきたと考えがちだ。そして”異常”な身体を手術によって切り離すことによって”正常”に戻してあげようと考える。(中略)しかし彼らにとって、結合していることは自分が何者であるかという意味においてとても大切なことであり、アイデンティティに欠かせないものとなっていることだ」

 彼らの生き方を見ていると、彼らの自由を制限しているのはその身体的な不便さそのものよりも、むしろ周囲の人々の考え方や行動によるものであるということがわかります。

 そしてアリスさん本書で綴った次の言葉は、”正常”な私たちに多くのことを訴えかけます。

「変えるべきは身体ではなく、人々のこころではないか」

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