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「まとめて長時間眠れない…」と悩む方へ 分割睡眠のススメ

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睡眠は長時間にまとめず、分けてとっても大丈夫?

普通の大人は夜に眠って朝に起き、日中には眠りません。このように睡眠のすべてを1度にまとめてとる眠り方を「単相性睡眠」と言います。単相性睡眠で睡眠時間を6時間くらいまで短縮すると、夜の睡眠だけでは足らなくなり昼寝をしたくなります。

昼寝の時間を長くして、4時間眠って8時間起きているパターンを続けるのが「海軍式睡眠」です。このように、ある程度まとまった睡眠を1日のうちで何度かに分けてとる眠り方を「分割睡眠」と呼びます。この場合、単に2回眠れば良いのではなく、睡眠をどの時間帯にとるかが重要になってきます。

一方の4時間睡眠を午前1時から5時にとると、生体リズムが狂いにくいことが知られています。深夜から早朝にしっかり眠っておくと、もう一方の睡眠はいつとっても良いのです。この眠り方は、片方の睡眠時間帯が固定されているので、「係留睡眠(アンカー・スリープ」といいます。

分割の回数をさらに多くしていくと「多相性睡眠」になります。人間のように長時間の単相性睡眠をとるのは、動物界では少数派です。食物連鎖の頂点に立つライオンなどを除くと、多くの動物達は短い時間眠っても周囲を警戒するためにすぐ起きる、という生活をしています。この状態が多相性睡眠で、人間でも赤ん坊のころは少し眠ってはすぐ起きるパターンを繰り返します。

分割睡眠は成績を上げる! ヨットレース中の睡眠から見えたこと

仕事などで必要に迫られて分割睡眠になったとき参考になるのが、1人乗り外洋ヨットレース中の睡眠の研究です。参加者は全員、レース以外の普通の生活では、夜に7~8時間の長時間の睡眠をまとめてとっていました。

しかしレース中には、通常の生活と同様に夜6~8時間のまとまった睡眠をとっていた人は、わずか7.6%しかいませんでした。最も多かった睡眠パターンは、20分~2時間の睡眠を分割してとって、1日あたりの総睡眠時間が4~5時間の人で、参加者全体の3分の2を占めました。また、1回に4時間眠って8時間起きているパターンを繰り返す「海軍式睡眠」をとっていた人が、18.5%いました。

睡眠のパターンとレースの成績の関係を見ると、1回あたりの睡眠時間が短く、1日の平均睡眠時間が4~5時間の人が、ヨットのスピードが速く順位も高い傾向がありました。さらに、上位入賞艇のほとんどが、20分~1時間の睡眠を小刻みにとって、1日に合計4時間眠っていました。

起きている時間が長いほど、レース中の状況に迅速に対応できます。しかし、眠らない時間が長くなると、脳の働きが落ちてミスをしやすくなります。メリットとデメリットのバランスをとると、短時間の睡眠を繰り返して、1日にトータルとして4時間前後眠る生活パターンが、2~3週間のヨットレースでは最も効率的なようです。

黒柳徹子さんも実践する分割睡眠

忙しい著名人の中には、独自の眠り方で自身の生活のペースを保っている人たちが多くいます。黒柳徹子さんもその一人。皆さんご存知の通り「徹子の部屋」などのテレビや舞台で活躍されています。80代になってもなお、執筆や社会活動まで幅広くこなすエネルギッシュな人です。そんな黒柳さんの生活ペースはと言えば、以前は、仕事が終わった後も自宅でデスクワークやテレビ番組のチェックなどをして、ようやくベッドにつくのは朝の5時ごろ。そこからお昼まで眠っていたそうです。

ところが、「成長ホルモンは午後10時から午前2時の間にたくさん出る」と知ってから、眠り方を一新したそうです。成長ホルモンは、子供の成長だけでなく、アンチエイジングにも大切なもの。そして、深く眠っている間に大量に分泌されて、全身の細胞をメンテナンスしてくれる欠かせないホルモンです。

成長ホルモンのメリットをしっかり享受するためには、午後10時から朝まで長時間まとめて眠ってしまおうと思いがちですが、黒柳さんの眠り方は少し変わっています。まず、帰宅したら顔だけは洗って、すぐにベッドへ。時刻は、だいたい午後10時。そのあと、午前2時ごろに一度目覚めて、3時間ほどデスクワークなどに励みます。一仕事終えたら、温かい牛乳を飲んで再び眠りにつく…という細切れの眠り方です。眠りについてから途中で目を覚まして活動するなんて…と思われるかも知れませんが、この眠りのスタイルが黒柳さんには合っているようです。

若いうちは眠る力が強いので、一度に長時間眠れます。しかし、年齢とともに「睡眠力」が衰えてくるので、夜中に目覚めることが増え、再び眠ろうとしてもなかなか眠れなくなります。「長時間まとめて眠れない…」と悩む方にとっては、実は分割睡眠も、自然な眠り方の一つなのかもしれません。

≪プロフィール≫

坪田聡

医師、医学博士。医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック副院長。

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