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人間は「第一印象」より「別れ際」 老舗料理店に見る人たらしの極意

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人間は「第一印象」より「別れ際」 老舗料理店に見る人たらしの極意

「酒場は大人の社交場」といわれる通り、居酒屋やバーで知り合った人々との会話から、仕事や人生に活きる大切な気づきを得ることがある。

「食べ歩き」が趣味ならなお然り。年間600食もの外食をするプロ級の食べ歩き名人、マッキー牧元さんが酒場で学んだ人生の知恵は一つや二つではない。

■「第一印象」よりも「別れ際」を重視せよ
「第一印象が肝心」というように、私たちは人間関係において「はじまり」に一番気を遣う。「初対面」や「始まりのあいさつ」などがそれだ。

しかし、好印象をより強く残したかったら、「はじまり」よりも「おわり」により注意すべき。牧元さんはそれを、赤坂にある中華料理の名店「??(みんみん)」を切り盛りする清水和子さんから学んだ。 

清水さんは、冬場に仕事を終えて帰る従業員の体調が悪そうだったらカイロを手渡したり、温かいお汁粉をすすめたりと、とにかく別れ際に気をつけている。

いかに別れ際に相手を思いやる言葉をかけられるかを考えれば、別れるまでに相手をもっと知りたいと思うはずだ。こうして、コミュニケーションを円滑にする好循環が生まれる。接客業でもまれた清水さんの対人術は、どんな仕事、どんな人にも通用するものだろう。

餃子、ドラゴン炒飯、蜂蜜鶏、カニの唐揚げ、炒麺が名物の「??」だが、料理とともに清水さんとの会話を楽しみに行ってみてはいかがだろう。

■相手によって態度を変える人は信頼されない
「上にはぺこぺこ、下にはエラそう」
処世術といってしまえばそれまでだが、これでは人から信用されない。それならば、多少無愛想でも、誰に対しても態度が変わらない人の方が、結局は人望を得る。

台東区・根岸の老舗居酒屋「鍵屋」の接客は代々、お客に対して無駄口を一切きかない。注文が入るたび、「はい」と答えるだけだ。常連客でも一見客でも同じである。自ずと店内には心地よい緊張感が漂う。
そんな店内の空気に応じるかのように、客の振る舞い方も変わる。無駄口を一切きかず、静かに飲むようになるのだ。そればかりか、注文するにしても、女将や主人が他の客に酒を持っていくときを見はからって声をかけるようになるという。
結果、店の人の動きにはより一層ムダがなくなり、ますます「鍵屋」独特の雰囲気が醸成されていく。そして客は、その雰囲気を味わうのだ。

古くは内田百?などの文士をはじめとして、落語家、画家、能楽師などに愛されたという名店中の名店は、対人関係で最も大切にすべきことを考えさせる。

■部下のやる気を失わせずに叱るには……
東京の下町・立石の「鳥房(とりふさ)」は、店員が客を叱る、少し変わった店だ。
この店では、客が女将の命令に従わなければならない。少しでもその命令に背く振舞いをすると、女将からの怒号が飛ぶのだ。

もちろん、ただ叱るだけではない。この女将は叱った後のフォローが抜群にうまいのだ。
「酔っ払いお断り」というルールを破り、すでに一杯ひっかけてきたお客には、一通り叱りつけたあと、最後に「今日だけだよ」と、にっこり笑って許す。
初めて注文した若鳥の唐揚げを箸でうまく捌けないお客を見つければ、「しょうがないわね」と言いつつ、ササッと30秒ほどで食べやすいように捌いてあげるといった具合だ。

いったん自分のペースに引き込むために叱る。でも、そのあとに、絶妙なタイミングで優しい言葉をかける。そうすることで客は嫌な気分になるどころか、虜になってしまうのである。人を育てたり、商談相手を説得するために、これほど貴重な技があるだろうか。

牧元さんは、著書『出世酒場 ビジネスの極意は酒場で盗め』(集英社)に、酒場で学んだ「人生を生き抜くための智慧」をまとめている。
もちろん「タベアルキスト」を自称する、牧元さん。人生訓、仕事訓じみた話だけではなく、酒や肴についての軽妙な語り口も見逃せない。

本を読みすすめるうち、その店へ行きたくなる。筆者自身、本書を読み終えたあと、思わず某口コミグルメサイトで、いくつかの店を調べてしまったほどだ。
まずは、ちょっと気のきいた行きつけの店を開拓するつもりで、手に取ってみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)

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