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ファウルボール訴訟について高裁判断

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 札幌ドームでプロ野球観戦中、ファウルボールの直撃で右目を失明した女性が、球団などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が出ました。
 これから夏に向けて、スポーツ観戦に出かける機会も多くなります。万が一に備えて気をつけるべきことはあるのかについて、裁判所の判断から学んでみたいと思います。

 札幌市の30代の女性は、平成22年8月、札幌ドームでプロ野球の試合を観戦中、ファウルボールが当たって右目を失明する大けがをしました。
 試合を主催した北海道日本ハムファイターズや球場を管理する札幌ドーム、それに建物を所有する札幌市に計約4660万円の賠償を求めました。

 1審の札幌地裁は、「ドームに設置されていた安全設備は、ファウルボールへの注意を喚起する安全対策を踏まえても、本件座席付近にいた観客の生命・身体に生じ得る危険を防止するに足りるものではなかったというべき」と判断し、ドームに設置されていた安全設備には問題(瑕疵)があったとして、球団と札幌ドームの責任を認めています。
 さらに、元々の設置者であり、今回の事故は元々の設置瑕疵に由来するものであること、札幌ドームと協議をしてサービスの向上等を出来る立場であったこと等の理由から、札幌市についても責任を認めました。
 被害者である女性の過失については、過失を基礎付ける要素はないと判断しました。結果として、球団、札幌ドーム、札幌市に対して連帯して4200万円の支払いを命じました(札幌地判平成27年3月26日)。

 これに対して札幌高裁は、1審判決を変更し、賠償額を約3357万円に減額する判決を言い渡しました。賠償を命じたのは球団側のみで、札幌ドームと所有する札幌市への請求は棄却しています。

 判決は、「女性は、球団が企画した子どもたちを招待するイベントに保護者として参加しており、そうした観客の中には、ファウルボールの危険を認識していない人もいたのに、球団は具体的に危険性を告知していたとは言えない」として球団の責任を認める一方、札幌ドームと札幌市に対しては、「ドームに設置されていた安全設備は、通常の観客を前提とすれば安全性を欠いていたとは言えない」として、責任を認めませんでした。
 そのうえで判決は、観客にもボールを目で追う等の危険回避を自ら行う責任があると指摘して、女性にも過失を認め、1審の判決よりはやや低い損害賠償額の支払いを命じています。

 この二審の判断からは、野球等のスポーツ観戦の場合には、観客側にも一定程度の注意を払うことが求められているといえます。
 野球観戦の場合は、ファウルボールの際には、鋭い笛がならされたり、電光掲示板に表示が出たり、「ファウルボールに注意しましょう」というアナウンスがなされるのが通常です。そのようなアナウンスがあった場合には、打球から目を離さないように気をつける必要があります。
 また、今回のケースは球団からの招待で当該場所に座ったそうですが、小さいお子様連れの場合は、座る場所等についても注意をしておくのが良さそうです。

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ファウルボール訴訟について高裁判断

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