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話題の「日本会議」はどんな団体なのか? 会長を直撃

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 決して知名度が高いとはいえない著者が、あまり広く知られていない団体を取り扱った本が大ベストセラーになっている。『日本会議の研究』(菅野完・著/扶桑社新書)──。“研究対象”となった日本会議は安倍政権と密接な関係が指摘される一方、その規模や資金力、目的などの全貌は謎に包まれている団体だ。

 様々な関係者に話を聞いても具体的な全体像はなかなか見えてこず、この組織の断片的な部分しかわからないように思える。核心については、やはり中枢幹部に聞くしかない。日本会議会長で杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏が取材に応じた。一問一答で掲載する。

──日本会議とはどのような活動をする団体ですか。

「我々の一つの大きな目的は憲法改正にあります。日本(の報道・言論)は米大統領候補のトランプ氏について悪口に終始していて、なぜ(在日米軍撤退を主張する)彼が米国民に支持されているかの背景が伝えられていない。日本や韓国をなぜ米兵が守らなければならないのかと、米国民も感じ始めているのです。

(米国に守ってもらうのでなく)日本が自国を防衛するという視点に立つとき、障害となるのが憲法9条です。だからよりよい憲法を自分たちで作ろうというのが大きな目的です。我々は安倍政権の提灯持ちではなく、我々の目的を達成するために、(改憲に前向きな)安倍政権の今を好機と捉えて、講演、啓発活動などを大々的に展開しているのです」

──『日本会議の研究』は読まれましたか。

「読みました。日本会議の研究と銘打っていますが、日本会議のルーツのひとつである生長の家(※注)批判を展開している書物のように感じました。日本会議の創生期には確かに生長の家の創始者である谷口雅春氏らの主張と日本会議の主張が響きあう部分も多く、椛島君や学生運動をやっていた世代の人々が参加しました。

 しかし、日本会議が生長の家に牛耳られているとか、生長の家の陰謀だとか、まったくの的外れです。日本会議には神道政治連盟や国民文化研究会など多岐にわたる宗教団体が参加していて、どこかに“黒幕”がいるというようなものではありません」

【※注/故・谷口雅春氏が1940年に創設した宗教団体。1964年から憲法改正など保守的な主張を掲げて政治活動を展開していた。1980年代前半を境にそうした政治活動を停止した】

──改憲を目指す一方で、政治団体として届け出をしていない。理由があるのか。

「え、そういう登録をしていないのですか。そこは事務局に確認してほしい」(日本会議広報部によれば「任意団体であり、国民運動団体である。それ以上のことはお答えできない」)

──活動費は誰が支出しているのか。

「会員費によるものだと思います」

〈日本会議のホームページによれば、支払う会費によって会員として受けられる特典が異なる。年会費3800円の「支援会員」は機関誌を毎月受け取れるのみ。その他5つの種別があり、最高額の10万円を払えば、会員証(ゴールドメンバーズカード)、会員バッジ、関連書籍、DVD、カレンダーにメールマガジンが付く。また、日本会議の広報部によれば他に団体・法人協賛金、機関誌広告料、会員からの協賛金があるという〉

──政権に影響力があると指摘されている。

「自民党、あるいは安倍政権と日本会議との関係は世間の人が見るほど密接なものではありません。つくる国民の会の『憲法改正1000万人署名活動』を自民党が支えてくれているわけでもない。自民党の中にも衛藤晟一氏のように熱心な議員もいるが、必ずしも自民党のオールジェネレーションが支持しているわけではない。日本会議は政権に対して政策提言してはいるが、影響力はそれほどのものではありません」(日本会議広報部は「第二次安倍政権発足以降、政府に政策提言はしていない」)

 こうした証言について、『日本会議の研究』の著者である菅野完氏はいう。

「日本会議の活動は善意の活動で、その中で田久保忠衛先生や長谷川三千子先生は改憲や日本文化を守るといった“目標”レベルで賛同して、参加されていると思う。しかし、冷静に見て、日本会議の主張に政権がなびいているのは否定しがたい。

 それなのにそう見せないのは、全体をコントロールするトップや事務方の有能さにある。椛島事務総長ら生長の家出身の事務方幹部が取材に答えないのは、そこに本丸があるからということでしょう」

 この不思議な組織は、これからどこへ向かうのか。

※週刊ポスト2016年6月3日号

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