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レールを外れるとやり直せない社会は問題 回り道OK

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 大学生の就職活動が未だ混沌のなかにある。昨年、4月から8月に就活開始時期が変わったが、今年は6月“解禁”にまたもや変わった。そして、「就活生の4人に1人は内定が出ている」など、開始時期などあってもないようなものともいわれている。また、大学卒業生の内定率はここ数年高まっているが、そうした数字とは正反対に、就活がうまくいかない学生も少なくなかった。

 そんな就活生たちの悲鳴に対し、「内定がもらえないのは本当に企業や政府だけの問題なのか」と疑問を投げかけるのは、広島県福山市にある塾、「フジゼミ」塾長の藤岡克義さん(40才)だ。

「就活時期がコロコロ変わったり、決められた時期を守らなかったり、政府や企業にも大きな問題はあると思います。でも、大前提として、学生たちに“就活に挑む準備”が不足しているのではないかとも思うのです」

 就活に挑む準備…それが足りないのは、学生の意識が不足していること以上に、今の日本の教育制度や子供たちが置かれた環境にも原因がある、と疑問を感じている。

「今の子供たちは、あまりにも“遠回り”ができない状況にあります。ストレートに大学に進学し、そのまま就職することが“普通の道”とされ、そのレールをはみ出さないように進むことが良しとされている。高校を卒業したら“行きたい大学”というよりも“行ける大学”に浪人せずに進むことが望まれている。

 結果として、将来の夢や目標を考える時間も持てないまま、興味があることに夢中になることもないまま、就活に挑まなくてはいけない。就活直前に就活本を読んで、“模範解答”を頭にたたき込み、“なんとなく受けたい”企業をいくつも受けてみる。学生にとっても企業にとっても好ましくない状況になっていると思います」(藤岡さん)

 藤岡さんは、自身が遠回りを経験してきた人物だ。著書『大切なのは「つまずき 寄り道 回り道」』(小学館)では、「遠回りは決してマイナスではなく、プラスに転じることだってある」と説く。

 大学全入時代といわれるなか、浪人や留年は“損”だという意識が高まり、受験や就活に一度失敗すると、レールを外れてしまい、二度と復活できないような社会。そんな風潮のなかで、“立ち止まる”ことの大切さがあるという。フジゼミに通う塾生たちにも、“普通じゃない子”は少なくない。

 中卒で地元暴走族の総長となり、現場仕事を転々とした後に一念発起して早稲田に入学した生徒。高卒で一度は地元企業に就職したものの、「大卒じゃなければ出世はできない。やっぱり大学に行きたい」と会社を辞めて受験勉強に励む生徒。

 一心不乱に勉強し、早稲田や青山学院、筑波など有名大学に合格した生徒たちは、留学したりインターンしたり夢を広げ、大手企業に就職した子もいる。就活生たちの悲鳴にはこんな声もある。

「今年も就活は8月から始まると思ったから留学しようと準備していたのに、6月に前倒しになったせいでとりやめた。留学したいけど、新卒で就職しないと正社員になれないかもしれない」

 一本道を逸れてしまったら、まるで未来はないように思わせてしまう社会のなか、多くの子供たちに足りないのは、そんな「回り道」なのだ。

「もちろん誰もが高校を中退する必要もないし、非行に走らなければいけないわけでもありません。だけど、今の日本の教育はちょっとの立ち止まりも許されないような空気があります。目の前の受験、目の前の就活を“こなす”ことが目標で、本当に自分はどんなことがしてみたいのか考える時間や方法がない。浪人したり、留年したり、ニートをしながらいろんな社会経験を積むことで見つかる夢もあるのに、一度“普通の道”というレールから外れてしまうとやり直しができない社会になっている気がします」(藤岡さん)

 大学4年間は「人生で最も自由な身分」だといい、だからこそ「なににでもチャレンジしてほしい」と背中を押す。

「会いたい人に会いに行く、企業のインターンを経験したりボランティア活動をしたり、バックパッカーで貧乏旅行をしたり、大学生はどんなこともできる特権階級です。それをサークルや飲み会や恋愛やバイトばかりに時間を費やすのはもったいない。

“浪人せずになんとなく行ける大学”に進学してしまうと、大学時代をなんとなく過ごしてしまう。その4年間でどんなことをしたか、どんな人に会ったか、世界がどう広がったか、それが就活、将来につながるはずです」(藤岡さん)

※女性セブン2016年6月2日号

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