ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

「有機ELディスプレイ」、どこらへんが「有機的」?

DATE:
  • ガジェット通信を≫

有機栽培のディスプレイではありません

最近ではスマホのディスプレイにも使われるようになったので、有機ELディスプレイという言葉を目や耳にしたことがある人も多いはず。なんとなく「次世代型ディスプレイ」という印象かもしれないが、では、従来の液晶となにが違うのか、どう未来的なのか、きちんと説明できる人は多くはないだろう。もしかしたら、「有機」という言葉から、なにかしら動物や植物の素材が使われているのかと思っている人もいるかもしれない。んなわけありません。

有機ELの「有機」とは有機化合物のことで、炭素が含まれた化合物のことをいう。数多くの種類が存在している有機化合物のなかに、電気を通すと光る性質のものがたくさんあり、これらを発光体として使ったのが有機ELというわけだ。ちなみに、「EL」は「Electro Luminescence(電子発光)」の略。また、有機ELディスプレイのことをOELD(Organic Electro Luminescence Display)と呼ぶこともある。

発光体は1万分の3mmの薄さ!!

発光の仕組みは下図で説明しているが、発光体と電気を通すための電極を基板(通常はガラス)でサンドイッチにした構造になっている。この発光体(発光層)は約300ナノメートル(1万分の3mm)という、肉眼で見てもわからないほどものすごく薄く作ることができる。しかも、発光体そのものが光るので、液晶のようにバックライトが不要だ。そのため、従来よりもかなり薄いディスプレイが作れるわけだ。ちなみに、2016年時点では厚さ2.5mm(!!)という有機ELテレビが登場している。

有機ELは、有機化合物の発光体を層にした発光層を真ん中に、マイナス電気を通すための電子輸送層とプラス電気(正確には正孔という)を通すための正孔輸送層からなる有機層を、ガラスなどの基板でサンドイッチ状に挟んだもの。電極から送られたマイナスとプラスの電子が発光層の中で出合って結合することで光を放つのだ。ちなみに、電子はすべてマイナスなはずと思ったあなた、するどい!! 実は「正孔」という言葉にヒントがあります。これは電子がない状態のこと。そこに存在すべき電子がないので、あるべき場所に穴ぼこ(孔)が空いていると想像すればよいです。それで正孔なのです。この穴ぼこが、まるで電子のように移動するのです

東急東横線自由が丘駅にある近未来とは

有機ELの長所はまだまだある。基板をガラスではなく、プラスチックにすることも可能なので、曲面ディスプレイや、紙のようなディスプレイも作ることができる。実際、スマホには曲面のディスプレイを採用したものがある。また、消費電力も液晶よりずっと少なくて済み、応答速度も速いのだ。どれくらい横から見ることができるかを表す視野角も、なんと真横の180度に近い。

これまでは大型化が難しかったり、製造技術上さまざまな困難があったりで、一時、研究開発から撤退していた日本メーカーも、再び有機ELのシェア奪還を目指して研究開発に邁進している。現在は大型化も可能となり、77型の大画面テレビも登場している。今後は、基板をガラスやプラスチック以外のもの、たとえば、紙やほかの特殊な素材などにすることで、思いもよらない製品を作り出すことができるという。もちろん、照明としても使用可能だ。実際、東急東横線の自由が丘駅の改札付近の天井には、この有機ELを使った照明器具が使用されている。まるで天井自体が光っているような光景は、近未来のようだ。

東急東横線の自由が丘駅の定期券売り場(上)と正面口改札窓口(下)に設置されている有機EL照明。なんとも未来的で美しい光だ(写真提供:東急電鉄)

関連記事リンク(外部サイト)

数が多いほどキレイに見せる「ピクセル」。本来の意味、知ってた?
研究成果を共有してコラボレーションを促進する"メディアウォール"
謎の人気で在庫切れ! 誰得なスマホより小さいミニ自作液晶ディスプレイが局地的話題に

TIME & SPACEの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP