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ミャンマー人とのビジネス 「後払い制」が高リスクな理由

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今、ミャンマー経済が急成長しているのをご存じだろうか。

2011年の民政移管以降、輸出入規制の緩和を始めとして経済自由化を急速に推進してきた結果、2015年の実質経済成長率は8.5%と、ASEAN先進5ヶ国(タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン)全体の平均成長率を凌ぐまでに伸びている。

そうした状況を受けて、今後ミャンマーへ進出する日本企業が増加するだろうと予測する向きがある。

そこで今回登場してもらうのは、2012年より現地で日本企業へのサポートをおこなっている深山沙衣子さん。

深山さんの著作『ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール: 善人過ぎず、したたかに、そして誠実に』(合同フォレスト刊) の内容にも触れつつ、ミャンマーに進出した日本企業の多くが直面する困難とはどのようなものなのかを聞いた。

――まずは深山さんの生活スタイルについて教えていただけますか。

深山: 年間スケジュールでいうと、トータルして2か月間はミャンマー、残りは日本で過ごすという感じです。日本にいるときは、平日は自分が経営している「日本ミャンマー支援機構」での仕事をし、週末のうちいずれかは、来日中のミャンマー人の相談に乗ることが多いです。

――ご自身で経営なさっている会社では、具体的にどのようなお仕事をなされているのですか。

深山:日本企業がミャンマーに進出する際の支援をしています。主に、進出をするにあたっての調査、現地でのパートナー企業探し、視察案内、通訳などを行ないます。最近は、翻訳の仕事も増えていますね。

――翻訳の仕事、ですか?

深山:これからミャンマー人を雇うという日本企業から「ミャンマー人向けのテキストブックを作ってほしい」と依頼があり、日本語のテキストをミャンマー語に翻訳するのです。

――なるほど。深山さんは元々、ライター業もなさっているんですよね。

深山:はい、20代のときは出版社で働いたりもしていたのですけれど、30代になり、ミャンマー人の夫と結婚して、5年ほど前にこの会社を作って、今に至ります。

――どのような経緯で、いまの会社をお作りになったんですか。

深山:日本とミャンマーとでは文化的背景があまりにも違うために、現地でビジネスを展開しようとして頓挫する日本人を目にする機会が多かったんです。

その一方で、日本政府が日本企業に対し、ミャンマー進出を後押しする環境を整えているということも知っていました。

必ずしも環境は悪くないのに、文化の違いから来るトラブルがもとで頓挫するのはもったいないと思い、何とかそのお手伝いをできないかと思ったのがきっかけです。

――日本政府はそんなにも積極的に、日本企業のミャンマー進出を支援しているのですか。

深山:ミャンマーは、地政学的に考えると、日本政府にとって、食指を伸ばしたくなる国ではあるんです。インド、中国、タイなどの経済大国に挟まれていますし、天然ガス・ダイヤなどの鉱物資源も豊富にとれますから。

なので、日本政府はこれまで、ODA(政府開発援助)を供与したり、経済特区を作りはじめたりといったことをしてきました。ただ現状、こういったものの恩恵を受けられるのは、大企業であることが多いです。

日本国内の消費がしぼむなか、なんとか持ち直したいと思っている中小企業は少なくありません。でも、そういう企業がミャンマーに進出したいと思っても、充分なサポートを受けにくい現状があります。

したがって、もっといえば当社は地方の中小企業を支援することが多いですね。地方は消費が冷え込んでいますし、労働力を確保するにしても大変なので。

――先ほど、おっしゃった「文化の違いから来るトラブルがもとで頓挫する」とおっしゃっていましたが、そういった日本企業がいざミャンマーに進出したとき、どういう点でつまずくことが多いのですか。

深山:本にも書きましたが、やはりなんといってもトラブルの種になるのは、お金に対する考え方の違いです。

ミャンマーでは1988年に「高額紙幣廃止令」という施策がおこなわれました。ミャンマー民主化デモが巻き起こったきっかけになった施策です。

これにより、ミャンマー人はある日突然紙幣が低価値になったり、無価値になるという経験しました。そのため、彼らは、紙幣に頼らず、貴金属や土地を購入して資産を維持することを優先するようになった。つまり、こうした出来事をへて、「手元に現金をあまり持たない」という人々も出てきました。

でも、手元に現金がなければ……。

――「代金を支払えない」というケースが出てきてもおかしくないですね。

深山:その通りです。ミャンマーの企業が日本企業から何か商品を買ったとして、商品が届くまでに自分の資産を紙幣に変えればいい、それが難しければ、とにかく知人にお願いして紙幣を準備しようなどと考えてしまいます。でも間に合わなければそれまで。支払いは滞ります。

ですので、ミャンマー人を相手にビジネスをするなら「後払いはリスクがかなり高い」と思っておいたほうがいいです。
このように日本とミャンマーとでは、何かと文化的な違いがあり、それがもとでビジネスの障害になるという状況が間々見受けられるのです。

(新刊JP編集部)

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