体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

「ジョブズはあえてリスクをおかす人だった」 孫正義×ルース大使 対談全文(前編)

「起業して失敗したからといってバツをつけてはいけない」

ルース: 最初(の話)に戻りますと、とにかく失敗したからと言って成功しないからと言って、「×(バツ)」をつけてしまってはいけません。私は25年間弁護士としてシリコンバレーで活動してきました。おそらく私のクライアントの75%から85%は成功しなかったと言っても過言ではありません。しかし、そのシリコンバレーがシリコンバレーであるゆえんは、今も成功し、しかもアメリカにおいて非常に経済状況が難しいのにも関わらず、シリコンバレーは今でも新しい会社が起業され立ち上げられていることです。そこで新たなる雇用が創出され、そしてまた世界中にコネクションができるわけです。

 シリコンバレーはどちらかと言えばもうバーチャル化しているわけであります。協力体制というものが、例えば英語の話にもつながって、グローバリゼーションの話ともつながるんですけど、バーチャルな世界においても、国境を越えて成功しているわけです。失敗というのは失敗ではなく経験として受け入れるべきだと思います。

: そうですね。それが重要だと思います。アメリカの国内においても、もちろん保守的な文化の地域というのはありますよね。カリフォルニアというのは、どちらかというとオープンでチャレンジ精神がある。つまり「カウボーイ・カルチャー」とでも言いますか、そういう地域だと思います。

ルース: 「カウボーイ・カルチャー」とは呼びませんが。

: ガンマンがこうやって拳銃を出すとか。

ルース: ええ、もちろんそれもリスクを冒すことだと思いますけれども。頻繁に人から聞かれるのは、「シリコンバレーのレシピは何なのか」ということです。これをそのまま他の国で模倣するのは難しいという風に思われているようですけれども、シリコンバレーは1つのシンボルなのです。実際の物理的な場所でもありますけれども、アメリカの中を見ますと、テキサスのオースティンだとかワシントン州のシアトル、マサチューセッツのボストン、またバージニアのレストン、いわゆる全米を通してそのような場所があって、今やそれが世界中いたる所で「シリコンバレー」が存在しているわけであります。

: そうです。チャレンジ精神ということですよね。起業家精神がある。そして多くのハイテクの企業、こういったところだと思います。これが大切だと思います。こういう文化があるということ自体が大切です。最近、韓国、台湾、中国もこういったシリコンバレー型の精神というものが広がっていると思います。日本に関しては、非常につらい困難な時期に入りますと、どちらかというと保守化してしまう、それは良くないと思うんです。もっと挑戦の精神を持ってもっと活発になるべきだと思います。

ルース: まあ頻繁に聞かれることでありますが、では日本の未来はどうなのか、いわゆる起業家主義という観点から日本の将来はどうか。段々それは高まりつつあると思います。若い人たちも若くない人たちも本当にめざましい素晴らしいアイデアを出し合っているわけであります。もともとこの国はとにかく協力して連携することを知っている国であります。そして、技術的にも非常に洗練された国であります。

: そうですね。賢い人たち、心温かい人たちがいます。意識も高いですし、ちょうど2000年頃でしたが「インターネット・バブル」と言われた時、日本の若い人たち、まさにシリコンバレー型の人間が沢山いました。ネットバブルがはじけたあと、多くの人達がどちらかといえば保守化してしまったという傾向があると思います。でも1つ何かきっかけがあれば、1つ成功例が出てくれば、この文化はがらりと変わると思うんです。そこにチャンスがあると思うんです。

ルース: 日本はどういう風にしたら、いわゆる起業家だとか起業家主義というものを敬うことができると思いますか。どういうことをすればそれが促進されるでしょうか。

「日本のマスコミは古い世代の人たちに管理されている」

: たぶん日本のマスコミがまだ古い社会の人たちにコントロールされている、古い世代の人たちに管理されているのだと思います。ただインターネットはもっとオープンになって、若手世代の方にシフトしてきていると思います。そしてまさにインターネットは大きく成長しています。ですので、そういう起業家精神あるいはファイティングスピリットというものは、インターネット上でもWEBページでもあるいはそこの情報でも、多くの人たちの目に触れるようになると思います。あるいはソーシャルネットワーキングやツイッター、Facebook、そういうところに見られると思います。こういうものでまさに人々の目が開かれるようになるんじゃないかと思います。私は期待はしています。

ルース: 私も希望を持っています。

: さきほど話をしていたんですが、東北地域の人たちを助けるためにも、若い学生たちにチャンスを提供したいと思うんです。中学生とか高校生、あるいは大学生などの若い学生たちに、もしアメリカに関心がある、その他の国々で学びたい、英語を学びたい、違った世界を見たいという人がいるんだったら、彼らをサポートしたいと思います。

ルース: 常にそれに関しては2人で話しておりますので、絶対そうしたいと思います。今まで大使館、アメリカ政府において力を入れてきた「トモダチ作戦」というのはご存じだと思います。これは日本が直面した3月11日の大震災の悲劇に対する、アメリカとしての小さな貢献でありました。単に政府だけではなく、アメリカの全国民が心から本当に悲しみを感じ、同時に感動しました。

 そしてまた日本の人々の力強さ、そして東北の被災地の皆様方の苦難から立ち直ろうとする力にインスピレーションを受けました。東北の人々、また日本人全体が、本当に私どもの心を揺るがしたわけです。「トモダチ作戦」のあとも、何とかして引き続き貢献したいと思ったわけです。そこから生まれたのが「TOMODACHI」というプロジェクトの構想でして、「トモダチ作戦」の続編とも言うべきものです。私共の意図するところ、達成したいと思っていることは、人々に、取り分け若者に投資したいということです。願わくはこれが単に東北地方に限定されるのではなく日本全国に広がる(ことを)。そしてこのプロジェクトへの孫さんの非常に寛大なサポートのおかげで、日本からアメリカにもっと日本人留学生を増やそうという、その意味において大きく語りかけることになります。

前のページ 1 2 3 4 5 6 7 8次のページ
ニコニコニュースの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。