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「受け入れられない…」介護家族の苦悩について介護従事者が語る

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認知症は、ひとりひとり症状やその原因が違います。介護従事者にとって当たり前の行動も、初めて経験するご家族の方にとっては驚きなのではと思います。くわえてご自身のご家族ですと、なかなか受け入れられないと思います。そこで今回は、家族介護されている方へのメッセージを込めて、私の経験談を含めお話させていただきたいと思います。

認知症と診断された家族の気持ち

まずお伝えしたいことは、受け入れられないことは決して悪いことではないということです。なぜなら、受け入れようと努力しているからこそ、受け入れられない気持ちを認識できているからです。受け入れようとしている心を、まず大事にしてください。介護は人生経験でカバーできるものではなく、誰もが1年生からスタートします。1年生のときに、介護のプロである介護従事者と同じケアを行うのはなかなか難しいものです。

「怒り」の感情に一回あらがってみる

認知症の方を最初から全て受け入れる事は、正直難しいです。そのため、「予想外のことを言われたら、最初の1回は我慢してみよう」と、一歩ずつ進んでください。1回できたら次は2回、3回と徐々に回数を増やしていき、5回できたらご褒美と、ゲーム感覚で構いません。

仕事だって家事だって、心に余裕がないと周りの人に対して厳しく振舞ってしまいますものね。また、介護人生はいきなり始まります。何も知らない状態で「さぁ、やるぞ!」とはなかなかいかないですもの。

何も話せず、ただ不機嫌なままの方の場合は、ご本人の生い立ちやこれまでの人生、好きだったものなどを振り返ってみてください。お気に入りのお洋服が見つからず、不機嫌になっていたなんてこともあります。認知症の方の症状には、必ず意味があります。原因が分かってくると、介護がしやすくなると思います。

私が出会った認知症の男性のお話

夕方になると、ご自宅を出て行ってしまう男性がいました。どうして出て行ってしまうのか、判らないときは、ご家族は困惑されていました。

実は…、奥様を十数年前に亡くされて、とても心を痛められたようでした。夕方になっても、ご飯を用意する筈の奥様がいない…という事で、夕方に出掛けられていました。

同居の娘さんからすると、「数十年前の事なのに…」という所でしょう。その事がわかってからは、話を聞いたり、「お母さんが今日は遅くなるのよ」など、寄り添う答え方をしていかれ、少しずつ徘徊も減っていったのでした。

責任感の強い方にありがちなこと


認知症の症状はさまざまです。本に書いてあることや想像と違っていたり、今までの性格とは全く違った面も出てきます。責任感の強い方ですと、認知症ご本人の行いを、家族である自分の責任と考え、自責の念に駆られます。施設の職員やご近所の方に、「昔からあんなに大声出していらっしゃいましたっけ?」と、少し変わった点を指摘されると、自分のことのように思ってしまいます。そして、どうにもならないのは、自分が悪いからなのではと罪悪感でいっぱいになってしまいます。

悩んでいるあなたに伝えたいのは、「本人の行いはあなたの責任ではない」ということです。対応をひとりで考え込まず、お世話になっているケアマネさんや、周囲の方達に相談してみましょう。三人寄れば文殊の知恵ではないですが、介護のプロに頼るのもひとつの選択肢です。
  

何よりもまず家族を救うことを優先する意味

ご家族が辛いときは、認知症の方ご本人も辛さを感じ、不穏な行動を助長していきます。ご家族に心のゆとりがあると、認知症の症状も自然と安定してくるのです。そのため、お気に入りのお店でお食事、好きだった場所へ出掛けるなど、新しい風を入れて、認知症ご本人はもちろん、ご自身もゆったりできる時間を持つようにしましょう。認知症の方の背景にある、寂しさや苦しさにも寄り添う事ができるようになると思います。

この記事を書いた人

いのうえひとみ

介護福祉士。2児の子育てをしながら資格を取得。NPO法人理事、訪問介護事業所サービス提供責任者を経験後、平成19年に小規模通所介護事業所の立ち上げに関わる。管理者・相談員を務める。外出行事や趣味に特化したプログラムを企画。平成27年、より多くの人をサポートしたいと独立。現在、介護保険外の外出サービス「サンキュウハンド」代表

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
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