型にあてはめるだけで書ける!仕事に使える2つの文章テンプレート

access_time create folder生活・趣味
f:id:k_kushida:20160517103941j:plain

「起承転結」の型は、現代のビジネスシーンになじまない?

「では、起承転結を使って書きなさい」

そんな先生の声が、トラウマになっている方もいるのではないでしょうか。

学校の国語の時間に誰もが習った「起承転結」の型。問題提起から始まって、発展させて、展開させて、結論へと至る。この流れを作るのは、なかなかハードです。

もしもあなたが、作家やエッセイストでないのであれば、「起承転結」の型は忘れてしまっても構いません。「起承転結」は、多種多様な文章の型のなかでも、とくに使うのが難しい型だからです。「起承転結」は、読んで字のごとく「結論」を最後に書く型のこと。つまり、読み手を最後(結論)まで「読ませる筆力」が必要になるのです。

そもそも結論をあと回しにする型が、仕事で使う文章になじむわけがありません。もしも、部下から届いた報告書の結論があと回しになっていたら、その上司は、苛立ちながら「くどくど書くな!」「先に結論を書け!」と指摘するのではないでしょうか。

「結論優先型」のテンプレートは万能選手!

では、仕事で使う文章には、どういう型がふさわしいのでしょうか?

最も使えるのが「結論優先型」のテンプレートです。その名の通り、冒頭に結論を書く型です。以下の①→③の流れで書いてきます。

①結論を書く

②理由・根拠を書く

③詳細・背景を書く

具体例を見ていきましょう。

【原文】

清水さんの目覚ましい活躍に対しては、鈴木社長もその能力を高く評価しています。統率力のある清水さんにチームBを指揮してもらうことで、チーム内の結束力が一層強まると確信しています。したがって、チームBの新リーダーに清水さんを任命します。

この文章で最も重要なメッセージは「チームBの新リーダーに清水さんを任命します」という結論です。ところが、原文では、冒頭からしばらくの間、結論に至るまでの経緯がくどくどと書かれています。いつまでも結論が見えないので、読む人はフラストレーションを感じます。

【修正文】

チームBの新リーダーに清水さんを任命します。<①結論> 清水さんの目覚ましい活躍に対しては、鈴木社長もその能力を高く評価しています。<②理由> 統率力のある清水さんにチームBを指揮してもらうことで、チーム内の結束力が一層強まると確信しています。<③詳細>

冒頭で結論を示したこの修正文であれば、読む人は、安心して続きを読むことができます。“行く先”が分からない飛行機に乗せられるのは、誰でも不安なものです。文章も飛行機と同じです。まずは読む人に“行く先”を伝えてあげることが大切です。

冒頭で結論を書く書き方は、書き手にとっても「書きやすい型」といえます。文章の背骨となる結論を先に書くことで、自分の“行く先”が明確になるからです。この書き方であれば、続きの文章がとっちらかりにくくなります。

仕事で使う文章(メールを含む)で結論を出し惜しみしたり、先送りしたりするのは、百害あって一利なし。積極的に結論優先型のテンプレートを活用しましょう。

複数の情報は「列挙型」のテンプレートで伝える

f:id:k_kushida:20160517105303j:plain

では、伝えるべき情報が複数あるときは、どのような書き方をすればいいでしょうか。この場合には「列挙型」のテンプレートが重宝します。以下の①→④の流れで書いてきます。

①全貌

②列挙A

③列挙B

④列挙C

情報がAとBのふたつしかないときは③で終わらせればいいですし、情報が4つ以上あるときは「⑤列挙D」「⑥列挙E」と続ければいいでしょう。

以下は、取り引き先に送るFAXを用いた具体例です。

【原文】

3月15日(木)開催のA社の新製品発表会について、

会場および発表会の開始時間を教えていただけますでしょうか。

また、会場でカタログの配布はございますか。

確認のほどよろしくお願い致します。

このメールでは、相手に「発表会の会場」「発表会の開始時間」「カタログ配布」という3つの質問をしています。しかし、それらの質問が、文章のなかに埋もれてしまっています。もしかすると、メール受信者が3つの質問のうち、ひとつかふたつを見逃してしまう恐れもあります。

「発表会の開始時間」と「カタログ配布」についての回答はあったけど、「発表会の会場」についての回答がなかった……という具合です。そうなると、改めて「発表会の会場についてのご回答がございませんでした。教えていただければ幸いです」というメールを送らなければなりません。再びメールを送ること自体が時間と労力のムダですし、相手の時間を奪うことにもなります。

要件(3つの質問)が正確に伝わらなかったのは、誰のせいでしょうか? 質問を見逃した読み手の責任でしょうか? 私はそうは思いません。見逃すような書き方をした書き手の責任です。そう、伝わらない文章の責任は、99%書き手側にあるのです。

では、どのような書き方をすれば、要件を正確に伝えることができるでしょうか。以下の修正文では、列挙型のテンプレートを使っています。

【修正文】

3月15日(木)開催のA社の新製品発表会について、

確認事項が3点ございます。<①全貌>

(1)発表会の会場 <②列挙A>

(2)発表会の開始時間 <③列挙B>

(3)会場でのカタログ配布の有無 <④列挙C>

以上、ご確認のほどお願い致します。

この書き方であれば、読む人が質問を見逃す心配はまずありません。

①の「全貌」では、「ポイントは3つあります」「5つのメリットをお伝えします」「7つの機能を説明します」——という具合に、この文章の全貌(全体像)を簡潔に示します。このとき、列挙の「数」を明記すると、読者が全貌を把握しやすくなります。修正文でも「確認事項が3点ございます」と数字を盛り込んでいます。「なるほど、ポイントは3つあるのね」と把握した読み手は、その先をラクに読み進められます。

<②列挙A>以降は、情報ごとに箇条書きしていけばOKです。見た目も読みやすい「列挙型」のテンプレートであれば、読む人が改めて情報を整理する必要がありません。読み手に親切な文章といえるでしょう。

仕事で使う実務文では、何はさておき、分かりやすく理解しやすい書き方が求められます。シチュエーションに応じて、「結論優先型」や「列挙型」のテンプレートを活用しましょう。

著者:山口拓朗

f:id:k_kushida:20160517105014j:plain

『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』著者。

伝える力【話す・書く】研究所主宰。「伝わる文章の書き方」や「メールコミュニケーション」「キャッチコピー作成」等の文章スキルをテーマに執筆・講演活動を行う。結論優先型や列挙型のテンプレートは『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)にも掲載。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。

山口拓朗公式サイト

http://yamaguchi-takuro.com/

関連記事リンク(外部サイト)

イマドキ新入社員のストレス傾向とは?指導するときに意識したい2つのこと
経緯から決定事項まで一目瞭然!分かりやすい議事録の書き方とは?
相手の機嫌を損ねないように「反論」し、自分の主張を納得させる3つのステップ

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 型にあてはめるだけで書ける!仕事に使える2つの文章テンプレート
access_time create folder生活・趣味

リクナビNEXTジャーナル

ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。

ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/

TwitterID: rikunabinext

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。