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継ぐ気「ほとんどなかった」銀座英國屋3代目、人生の転機とは

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実家が“家業”を営んでいるなら人なら30代に差し掛かると、実家の「跡継ぎ問題」を意識することも少なくないはず。サラリーマンとしての経験は家業の経営に役立つのだろうか? 日本を代表するスーツブランド「銀座英國屋」を経営する、株式会社英國屋・代表取締役社長の小林英毅氏に、IT系企業「ワークスアプリケーションズ」勤務時代から経営者になるまでの道のりを振り返ってもらった。

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■“家業の価値が分からなかった”IT系会社員 ある人のひと言が転機に

28歳の若さで、祖父の代から続く老舗企業の社長に就任した小林氏。後継者になるべく、会社員時代から準備を重ねていたのかと思いきや、「ほとんど継ぐ気はなかった」という。そもそもなぜ、家業とかけ離れたIT系企業を選んだのだろうか。

「私が就職した当時はITブーム真っ盛りでした。そのような中、老舗の企業の社会的な価値に目を向けようともせず、継ぎたい思いはほとんどなかったというのが正直なところです。ワークスアプリケーションズの牧野(正幸)代表が非常に魅力的で、牧野代表と一緒に働ければ僕は楽しいという感覚でした。父から“(銀座英國屋へ)戻っておいで”とはずっと言われていましたが、“IT企業でこそ社会貢献ができる!”と、戻る気は全然ありませんでした。とても幼い考えでした」

そんな小林氏が、家業に戻ったきっかけは?

「25歳の時、今でもお世話になっている方に“君の人生、もう一回振り返ってみなさい。誰が稼いできてくれたお金で生きてきたのか?”という話をされて…。銀座英國屋の社員が稼いでくれた利益によって生かされてきたのに対し、自分の勝手でほかの会社に居続ける選択肢をとっていいのか? それは人の道として外れているのではないか? と考え直したことが転職のきっかけでした」

■ “社員が成果を出せる環境づくり”が社長の役目

戻った当時の1年目社員の仕事は、接客ではなく掃除などの雑用ばかり。前職とのギャップに「辞めたい」と思ったことも一度ではないという。しかし、銀座英國屋に戻って3年が過ぎた時、父親の体調不良をきっかけに急遽社長に就任。徐々に経営者としての自覚が芽生えていったという。

「社長になって考えるときの視点が自分目線から社員目線に変わっていきました。ある程度の大きさの企業ですと、経営者一人が頑張ったからといって会社をマネジメントできるわけではない。それにもかかわらず、私は“自分が成果を出さないとみんなに信頼されない”と思って、とにかく“今までと違うことをやろう”と必死になっていました。しかし、組織が人の集合である以上、それでは成果は出ない。自分が成果を出すより、社員が成果を出せる環境・仕組みを整えたほうがよい、という考えに変わりました」

■経営者として振り返る サラリーマン時代の失敗

若手経営者として奮闘する小林氏だが、サラリーマン時代の意外な失敗談を語ってくれた。

「ワークスでの僕の失敗は“人の話を聞けない”ということでした。学生時代、とにかく成績が悪かったのですが、ワークスの採用インターンシップで優秀な成績を取れてしまった。その反動で“僕はできる人なんだ! 僕の考えは正しいんだ!”と誤解してしまいました」

システムの導入コンサルタントとして働いていた時期もあったが、「お客様の役に立たなかった」という。

「お客様のご要望をしっかりと聞かず、問題の原因分析もしないで“こんなふうにしたらいい”と主張だけはしていましたが、それでうまくいくわけがない。全く成果が出ていない自分を直視するようになり“まずは人の話を聞けるようにならなければ”と気付きました」

この失敗を機に、“人の話の聞き方”を徹底して学んだという小林氏。ほかにも「もっと早く学んでおけばよかった」と思うことは多いそうだ。

「私は、“仕事を通して相手の問題を解決してこそ対価を得られる”と考えています。会社員時代の私は、それが分かっておらず、自分の能力や個性を発揮することこそが大切だと考えていました。今振り返ってみれば、まずは上司が困っている課題を共に解決することに集中すればよかったと思います。その過程の中で、自分の能力・個性が磨かれますから」

(藤あまね)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

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