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家主が借主の立会いなく、住居に入って排水の修理はできるでしょうか?

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Q.

 4軒長屋を所有している家主です。先日、借主から「台所の排水に不具合がある」との連絡があり、不動産会社の担当者が現地に向かい調査したところ、「漏水の可能性がある」との報告を受けました。
 工務店による修繕が必要と思い、不動産会社の担当者や私から(書面も含めて)借主に連絡をしているのですが、一向に返事がありません。このままだと被害が拡大する可能性があります。何らかの法的な圧力をかけることはできないでしょうか。
 ちなみに、契約書には「本物件建物の保全、衛生、防犯、防火、救護その他本物件建物の管理上必要があると認めたときは、乙(借主)の承諾を得て本物件に立ち入り、これを点検し適宜の措置を講じることができる」という規定はあります。

(40代:男性)

A.

 まず、たとえ賃貸の契約内容に「借主の承諾なく室内に立ち入ることができる」という旨の条項があったとしても、家主は賃貸借契約期間中にある室内に借主の承諾なく立ち入ることはできません。これは、居室がきわめてプライバシーの高い空間であることに由来します。
 そのため、ご相談者様が締結している契約のように「貸主の承諾を得ていないと立ち入れない」という内容の場合はなおさら、許可なしに立ち入ることはできないとお考えください。
 無断で立ち入った場合は、住居不法侵入罪(刑法130条)が成立する可能性すらあります。

 もっとも、今回のケースのように「漏水の可能性がある」という状況で、それを修理しなければ、場合によっては建物全体に被害が及ぶ恐れがあるというのなら結論は異なる可能性があります。

 こうした場合、「賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をするときは、これを(賃借人が)拒むことができない」(民法606条2項)という規定が適用されることが考えられます。この規定は借主の認容義務といって、賃貸借契約において貸主側に賃貸物の管理のために、賃借人が許す、許さないを問わず一定程度の権利行使を認めるものです。

 もっとも、当該規定はあくまで「例外的」に許されるに過ぎないものです。
 この規定があるからといって、むやみやたらと部屋に立ち入って良いものではありません。

 そのため、例えば「修理をしたいので連絡がほしい。もし連絡がない場合は、やむをえず○月○日に修理のために立ち入ります」といった内容の書面を内容証明などを活用して送付しておき、反応がない場合に修理のためだけに立ち入るというように、慎重な対応が必要だと考えられます。

 場合によっては、刑法に触れてしまうことも考慮して、これまでの経緯などをあらかじめまとめておき、「どのように対応すれば立ち入れるか」ということを念のため弁護士に法律相談をしておくと、安心なのではないかと考えます。

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家主が借主の立会いなく、住居に入って排水の修理はできるでしょうか?

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