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保育園と幼稚園に分かれているのは全く意味なしと大前研一氏

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 1億総活躍社会を目指すので、子育てしている女性もどんどん働いてくださいと政府はいうけれど、働くために子どもを預けられる保育園が見つからない。保育園に入る順番を待つ子どもが多すぎる「待機児童問題」は、いまや政治的争点になっている。

 しかし、そもそもそれは国政で論じるのは筋違いだと経営コンサルタントの大前研一氏は言う。待機児童問題を解消するためには、どんな方法が考えられるか、大前氏が解説する。

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「保育園落ちた日本死ね!!!」という保活(子供を保育園に入れるために保護者が行なう活動)に失敗した母親のブログが大きな波紋を呼んだことから、待機児童問題が今夏の参議院選挙で主要争点の一つになると報じられている。

 たしかに、待機児童問題は働いている親たちにとって非常に深刻な問題だ。しかし、それを国政選挙で議論するのは筋違いだと私は思う。

 かつての日本では、乳幼児は大家族の中で祖父母や兄姉などが面倒を見ていた。その後、都市化や核家族化が進み、家族では世話ができなくなったわけだが、結論から先に言えば、この問題を解決しなければならないのは国ではなくコミュニティ、すなわち地方自治体である。各自治体が、その地域に合った解決策を考えるべきなのだ。これは私が1995年の東京都知事選挙に立候補した時から主張し続けていることである。

 そもそも、乳幼児を預かる施設が保育園(正式には保育所)と幼稚園に分かれているのは全く意味がない。これは文部科学省と厚生労働省の縄張り争いにすぎず、日本以外にそんな区別をしている国は寡聞にして知らない。

 また、保育園も幼稚園も、国が定めた基準を満たして自治体の認可を受けないと、国・都道府県・市区町村からの補助金がもらえない。保育園の場合であれば、児童福祉法に基づいて国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士などの職員数、給食設備、防災管理、衛生管理など)を満たす必要がある。

 たとえば、保育面積の最低基準は、乳児室(ハイハイする前)が1人あたり1.65平方メートル、ほふく室(ハイハイする2歳未満の乳児)が1人あたり3.3平方メートル、2歳以上が1人あたり1.98平方メートル(園庭などは1人あたり3.3平方メートル)となっている。保育士は0歳児3人に1人、1~2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4~5歳児30人に1人配置しなければならない。

 自治体は、この規定に従って認可するかどうかを判断しているわけだ。

 もともと保育園・幼稚園の“商圏”は狭い。だいたい半径3~4km。お互いに顔を見て接する範囲である。顔を見ながらケアすることは、基本的に家族やコミュニティが最優先で取り組むべきであり、国が全国一律に指示することではない。コミュニティが住民のニーズに応じたコミュニティらしい解決策を、できる範囲でやればよいのである。

 地方によっては乳幼児がごく少数しかいない町や村もあるだろうし、逆に都心部ではタワーマンションが次々と建ったために乳幼児が急増した地域もあるだろう。コミュニティによってニーズは全く異なるから、それぞれ個別対応が必要なのである。この原則に基づかない限り、待機児童問題は解決できないと思う。

 具体的には、株式会社をはじめとする民間で取り組むべきだと私は考えている。保育園と幼稚園、認可と認可外といった定義に関係なく、民間が厚労省や文科省の基準に縛られずに、自由に特色を出していけばよいのである。

 たとえば、英語や中国語を教えてくれる保育園があったら、希望者が殺到するに違いない。バレエや音楽などのレッスンも人気を集めるだろう。地域に評判のいい先生がいたら、その人を自治体がインストラクターとして各施設に1週間ずつ派遣するというような方法も考えられる。

 あるいは、土曜日や日曜日に仕事が休みであっても預かってくれるとなれば、親が自分の時間を確保できるから、魅力を感じる人は多いはずだ。もちろん、土日が仕事で平日が休みの親は大歓迎するだろう。

 園児の安全や保育の質を確保するのは当然の上で、そういった多種多様なサービスを提供する民間の保育施設を、自治体の裁量で増やせるようにすべきなのだ。場合によっては保育料が高額になってしまうところも出てくるだろうが、それを払うだけの価値があるかどうかは、親が判断すればよいのである。

※週刊ポスト2016年5月20日号

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