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「人間としての在り方を今ほど問われている時代はない」――丸山健二の「怒れ、ニッポン!」第11回

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※丸山邸にて

怒れ、ニッポン!

悪の権化、罪の集団たる東電はこれまでばら蒔きつづけてきた金のおかげで、また、これからもそのやり口を繰り返すであろうという期待感を持たせることによって、潰されて当然の罰を与えられず、親玉の首もすげ替えられず、存続の道を歩むことになった。数年後には赤字を取り戻していることだろう。

もう起きてしまったことについてとやかく言っても始まらないだろう。それよりも、効果的な対処方法を考え、いち早く救援活動を実行することのほうを優先すべきだろう。という意見に従って復興への専心のみにとらわれていると、とことん反省すべき問題点がいつしか消滅し、元の木阿弥になっている。

だって、これが日本人というものなのだから、だって、これが日本のアイデンティティなのだから仕方がないではないかという、だから無いものねだりはやめてくれという、こうした開き直りの意見へと逃れて、お祭り騒ぎにも似た怒りの一時期を楽しんだ者たちは、単に「感情遊び」をしただけのことだ。

東電があれほどの不動産を持っていたとは驚きだと言いたいところだが、しかし実際には、動産やら何やらを含め、巧妙で悪辣な手口を駆使してまだまだ隠し持っている。その事実を承知しながら本気で追求しようとしない責任者たちは、結局、政府と同様、東電側に力を貸しつづける非国民の典型なのだ。

電力会社は公共事業というお墨付きを最大限悪用してやりたい放題。電気料金も取りたい放題。間違いなく詐欺罪に相当する。あげくに国民の健康を害し、命を脅かし、国土を荒廃の危機にさらした重犯罪者。やくざを反社会的な存在として位置づけ、排除にかかる前に、こいつらをどうにかしたらどうだ。

下がちゃんとしていて上だけが腐っているということはあり得ない。支配層の腐敗はどこまでも民意の反映にすぎないのだ。国民ひとりひとりの人間としての在り方を今ほど問われている時代はない。腐りきった上層部を排除し、真っ当な者に入れ換えられないという、重大な過失の責任を負うのは国民だ。

貧乏な地域社会だから原発を受け容れるしかほかに生き残るための選択肢がないのだという、だから原発の再開に賛成したのだという、そうしたたぐいの泣き言染みた言い訳の裏側には、努力もせず、工夫もせず、ひたすら強者にすがって生きてゆこうとすることしか考えられない卑しい心根が見て取れる。

(つづく)

丸山健二氏プロフィール1943 年 12 月 23 日生まれ。小説家。長野県飯山市出身。1966 年「夏の流れ」で第 56 回芥川賞受賞。このときの芥川賞受賞の最年少記録は2004年の綿矢りさ氏受賞まで破られなかった。受賞後長野県へ移住。以降数々の作品が賞の候補作となるが辞退。「孤高の作家」とも呼ばれる。作品執筆の傍ら、350坪の庭の作庭に一人で励む。Twitter:@maruyamakenji

※原稿は丸山健二氏によるツイートより

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