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有権者となる高校生の政治活動をどう考えれば良いのか?

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7月の参議院選挙から高校生も有権者として投票できることに

 昨年6月の公職選挙法改正で選挙権年齢が18才以上に引き下げられ、今年7月の参議院選挙から高校生も有権者となり投票できることになりました。

これに伴い文科省は昨年10月、高校生の政治活動を禁止する従来の通知を廃止し、校外での政治活動を認める通知を出しました。
ただ、今年1月に配付した資料の中で学校外での政治的活動を届け出制とすることは「高等学校の教育目的の達成等の観点から必要かつ合理的な範囲内」の制約として許されるとしました。

高校生の政治活動は憲法上保障される

 これを受け、愛媛県では教育委員会が校外での政治活動の届け出を義務とする校則変更例を記載した資料を配付し、同県内の県立高校は一斉に今年4月からその旨の校則変更を行ったとのことです。
他方、大阪府や京都市・神戸市は届け出を不要とし、議論を呼んでいます。
どう考えるべきでしょうか。

 高校生が政治的活動を行うことについては抵抗を覚える方もおられるでしょう。
しかし、選挙権を認めるということは有権者として行動することにお墨付きを与えるものです。
したがって、他の有権者に対するのと同じように、選挙権行使をより効果的にするために「投票」や「選挙運動」に止まらず、特定の政党や政治上の主義・施策等を支持又は反対するため、援助・助長したり反対したりする「政治的活動」も認める必要があります。

文科省も上記通知で「高等学校等の生徒が、国家・社会の形成に主体的に参画していくことがより一層期待される」としてその重要性を認めています。
また、政策形成に参加する行為や同じ政治的な考え方を持つ者を広げる政治的活動は主権者の権利であり、憲法21条(集会、結社、表現の自由の保障)、同19条(思想及び良心の自由)で保障されています。

政治活動の届け出を義務化することは違憲の可能性も

 他方で、学校は教育基本法で政治的中立性の確保が求められており、生徒間における政治的対立で学校教育の円滑な実施に支障が生じたり、政治的活動に熱中する余り自らの学業や生活などに支障が生じるようなことも避ける必要があります。
このために学校側が必要かつ合理的な範囲内で政治活動に制約をもうけることもやむを得ないでしょう。

 ただ、学校外での休日等における規制については、そもそも違法又は反社会的であったり、学業・生活に支障が生じるような活動が制約されることは当然として、一律の届け出制は許されるでしょうか?

 文科省は届出をした者の個人的な政治的信条の是非を問うようなものにならないようにするなどの適切な配慮が必要であるとしつつ届け出制は許されるとしています。
馳文科大臣も「そこまで何か縛る必要があるのという一面」があることを認めつつ、「報告をさせて、更に何か活動を萎縮させるようなことのないように配慮してほしい」として、結局は届け出制を肯定しています。

 しかし、ここで制約されるのは、民主制の過程を形成する「集会、結社、表現の自由」、「思想及び良心の自由」という高い保障が求められる精神的自由権です。
したがって、問題のない活動まで一律に報告を義務づけることは、萎縮効果を持つ方法、過度に広範な方法、より制限的でない他に選びうる手段が認められる方法として、違憲とされる可能性があると考えます。

 なお、馳文科大臣は「学校自体が、常に警察であったり、司法関係者であったり・・・、外部の機関と連携を常に持っておく必要がある」と発言して、生徒の情報を学校外の機関と共有するかのような発言をしていますが、これは、もってのほかと言うべきです。
                                  

(青島 明生/弁護士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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