ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

第58回 所内生活の心得(その7)

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 前回に書いた巡回図書館と言うのは私の勝手な命名であるが、毎週1回、面倒見さんが図書カード(昔図書館の本のカバー裏に差し込まれていた貸出返却の日付などを記載する紙)を30枚ほど持って回ってくる(カードは幾週ごとかに変わる)。
 そこから借りたい本のカードを取って、私を特定する記号である「上独2・804」と書いて面倒見さんに返すと、2日後くらいに本が届く。一度に3冊まで借りることができる。

 巡回が最後の方の部屋だと、憐れながら読みたくなるような本のカードがないという状況になってしまう。公平を期すために、毎回順番を変えて回るのだろうと思うが、どういうわけか私はいつも1番だった。これも共犯者からの口添えだったのだろうか。

 私は小説をかなりの数差し入れてもらい、本の持込制限のため領置と仮出し(領置品を出してもらうこと)を繰り返していたため、領置している小説がたまり、保釈時に持ち帰るのも難儀なので、この巡回図書館に寄付していこうと思ったのだが許されていないとのことだった。理由不明。

 新聞は回覧があったが、ゆっくりと読む時間はなく(15分だったと思う)、隅々まで読もうと思えば、有料で購読するしかない。もっともラジオが流れているので、回覧される新聞を斜め読みしたとしても、ラジオによって、最新のニュースを知ることができ不便はない。
 有料新聞は半月ごとの定期購読であり、途中でやめても代金の返還はない。申込をするかどうか悩んだが、申込をすると残り半月はここにいるということ、つまりその間保釈が認められないことを自分で認めたことになりそうで、験を担いで申込をしなかった。
 ただ、2度目の拘置所の際は、入ったその日に申込をした。

 最新のニュースを知ることができるラジオは、平日は12時15分から13時、17時40分から21時、休日は9時30分から11時30分、12時15分から16時30分、17時30分から21時に流れる。
 大相撲は国技だからなのか、これが開催されているときは、平日17時から、休日は16時30分からラジオ放送がある。

 ラジオで流されるのはMRT(宮崎放送)・FM宮崎・NHKである。刑務官が適宜番組を選択しているようで、毎朝その日の放送予定が知らされる。聞きたくない人は刑務官に言えば廊下側にあるスイッチをオフにしてくれる。
 休日にはMRTで人生相談をやっていた。どこか東京のラジオ局の系列だと思う。加藤諦三という懐かしいパーソナリティ(早稲田大学の教授だったかな)が担当している。
 離婚の相談で登場した弁護士がよく知っている弁護士で、私の弁護人としても名も連ねている人で、いつものシビアな口調で相談を受けていた。何とはなしに、早く出たいと寂しくなった。

 ラジオを聴く、本を読むといった以外にこれといった娯楽はない。
 宮崎拘置所は同刑務所に併設されていて、面倒見さん以外にも時々受刑者を見かけるし、風に乗って声が聞こえてくることもしばしばある。朝などは「起床」とか「出房」という刑務所からの声が聞こえてきて、こちらの起床時間はあと1時間弱だなと思ったりもする。
 たまにスピーカーの切り替えがなされていないのか、受刑者に対する連絡事項がこちらのスピーカーにも流れてくることが幾度かあった。1月14日日曜日の朝もそうだった。
 「本日はカラオケ大会ですので用便を済ませておいてください」と流れた。その後9時ころから、カラオケを熱唱する声、拍手、司会だろうか女性の声が11時30分ころまで続いた。
 二度目の拘置所のときは、慰問が行われて、「Paix2」(ペペ)という女性デユオ(慰問で有名らしい)が来たようだ。
 カラオケ大会にせよ慰問にせよ、仕切りでも付けて我々未決も観衆として参加させてくれればな~と、ヒマな私は心底思った。(つづく)

元記事

第58回 所内生活の心得(その7)

関連情報

裏カジノ事件(想うままに ー弁護士日誌から)
離婚の際に慰謝料を獲得するために必要な情報(コンテンツ)
第56回 所内生活の心得(その5)(ある弁護士の獄中体験記)

法、納得!どっとこむの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP