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住民同士がつながれる、緑あふれる「一戸建て賃貸」が登場

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住民同士のコミュニティづくりを管理会社がサポートする。大多数の世帯が一斉入居する大型の新築分譲マンションなどでは、わりかしよく聞くサービスだ。

それを賃貸で、しかもわずか17棟の一戸建て住宅群で導入しようと試みる物件が、埼玉県新座市に誕生したという。現地に足を運んでみた。

住民や地域が交流しながら、緑あふれる空間を育てる

JR新座駅(埼玉県)から徒歩12分、旧来からの住宅が多いエリアにピカピカの新築一戸建てが17棟。”コミュニティ形成支援付賃貸戸建住宅”をうたう「CUBE17(キューブジュウナナ)」だ。2016年3月末に入居が始まり、4月14日現在で5世帯が暮らしている。

【画像1】美しい一戸建てが並ぶ「CUBE17」。少しずつ角度を変えて建物を配置することで、各住戸のプライバシーを確保しつつ、空間全体に躍動感を生み出している。また、敷地内にはシンボルツリーであるシマトネリコをはじめとする多彩な低木であふれ、地面いっぱいにクローバーが育つ予定だという(画像提供/株式会社コスモスイニシア)

その名の通り、キューブの形をした2階建ての一戸建て群は全て賃貸だ。新築一戸建てで賃貸というのも珍しいが、賃貸でコミュニティづくりをサポートとなると、なお例が少ない。ほかには、以前にSUUMOジャーナルでも取り上げた「PARCO CASA」(東京都足立区)くらいではないか。

具体的にはどのような「コミュニティ形成支援」を考えているのか? 運営管理を行うコスモスイニシアに話を聞いた。

「まずは住人同士の顔合わせということで、CUBE17としての”街びらきイベント”を行います。現状はまだ5世帯なので、全体の半分ほど入居が進んだ段階で開催したいと思っています。街並みの奥にトネリコサークルという、みんなが集まれるコモンスペースがありますので、そこでバーベキューをしながら、くだけた雰囲気で交流できるものがいいですね」(コスモスイニシア・大坪啓介氏、以下同)

なお、その後はガーデニング系のワークショップなどを中心に、楽しみながら交流できるものを実施していくそうだ。ペースとしてはゆるやかに、年3回程度を考えているという。

「各住戸に庭がついていますので、専門家の方を招いて鉢植えのやり方や水やりの頻度を聞いたり、JAさん指導のもと野菜の育て方を学んだり、CUBE17の街全体に緑が増えていくようなワークショップを実施していきたいです。イベントでみなさんの交流が深まっていくと同時に、緑にあふれる街並みもつくられていくような、そんな取り組みになればと考えています」

【画像2】左手前が「トネリコサークル」。住民および地域のための憩いの空間だ。ここで交流イベントを仕掛けていくという(画像提供/株式会社コスモスイニシア)

コミュニティ形成支援の背景に、心あるオーナーの思い

また、ゆくゆくはコミュニティの輪をさらに広げ、住民と地域が密につながれるようなサポートも考えているようだ。

「ワークショップには入居者だけでなく地域の方にも参加してもらい、交流を深めていけたらと思っています。例えばトネリコサークルのまわりにみんなで植栽して、そのあとに軽く乾杯するとか。気楽に関われるイベントで、地域の中でのCUBE17の認知を広めていきたいですね。それに、これらの土地・建物のオーナーは新座に300年前から根を下ろしてきた地主で、住人が地縁をつくる橋渡し役も買って出てくれています。例えば、地元のお祭りで神輿をかつぐなど、賃貸暮らしではなかなか味わえない経験ができるんじゃないでしょうか」

そもそも「コミュニティ住宅」のコンセプトも、ご近所づきあいが活発な環境下で育ったオーナーの、「地域コミュニティを後世に引き継ぎたい」という願いが出発点。その思いは、ランドスケープにも反映されている。

「一般的な一戸建て住宅は、一つひとつがブロック塀などで囲まれています。でも、ここにはいっさい塀がありません。オーナーが幼少期を過ごしたような、一軒一軒が気軽に行き来できる街のイメージですね。無防備に思われるかもしれませんが、高い塀に覆われていることで犯罪の目隠しになってしまうこともある。ならば、いっそ塀をなくしてしまったほうが、住人の目も届くでしょう。コミュニティがしっかりしていれば、衆人環視の中で地域のセキュリティレベルを高めていくことができるはずです」

【画像3】各住戸から漏れる光で夜も明るい雰囲気。もし何日も明かりがついていない家があれば異変を疑う。そんな相互に見守り合う習慣が、おのずとつくられていくかもしれない(画像提供/株式会社コスモスイニシア)

「公園の中に家があるような空間にしたい」「囲いのない、風通しの良い街を残したい」。そんなオーナーの思いを体現すべく、一棟ごとの幅もゆったりと確保されている。さらに、中央には幅6メートルの道を設け、「空と一体となるような、伸びやかな街並み」をつくるため電線や電柱も全て地中化する徹底ぶりだ。敷地をフル活用すれば、もう6~7棟は余裕で建ちそうだし、経営的にはそうするのがセオリーだろう。利益や利回りにとらわれない、心ある大家の哲学が垣間見える物件だ。

【画像4】電線・電柱は全て地中に埋め込んである(写真撮影/榎並紀行)

【画像5】全17棟の間取りは全て同じ3LDKの75.89平米で、駐車場は各区画2台分完備。ピアノ、ペットもOK。家賃は12万6000円~13万9000円(駐車場代は無料)。新座駅前の賃貸マンションが3LDKで家賃12万円程度なので、駐車場2台分を加味すれば値ごろ感はある(画像提供/株式会社コスモスイニシア)

仮にコミュニティに馴染めなくても、賃貸なら住み替えもしやすい。持ち家のような地域交流の機会と賃貸ならではの気楽さ、双方をイイとこ取りできるのは魅力的だ。「コミュニティ形成支援付賃貸」という新たな試みは、入居者にとって、じつはかなりおいしいスタイルなのではないかと感じた。●取材協力

・コスモスイニシア
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/05/110518_main.jpg
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