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ただ息をするように自然に、率直に…NYのローファイ・ポッパー、フランキー・コスモスの歌と言葉(Album Review)

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ただ息をするように自然に、率直に…NYのローファイ・ポッパー、フランキー・コスモスの歌と言葉(Album Review)

 ニューヨーク生まれのローファイ・ポッパーであるフランキー・コスモスが、この4月にアルバム『Next Thing』をリリースした。本名グレタ・シモーヌ・クラインはまだ20代前半の女性シンガーソングライターだが、まるで息を吸って吐くように音源作品をリリースし続けている多作家でもある。2月に素晴らしいアルバム『Pool』を発表したポーチズことアーロン・メインはボーイフレンドということで、かつてグレタはベーシストとしてプロジェクトに参加していた。互いの作品に参加するなど、現在も両アクトの交流は続いているようだ。

 まさに気怠い浮遊感に包まれるようなメロディとサウンドが伝うオープニング曲「Floated In」や、仄かに歪んだギターに乗せて《誰もが自分の決断は正しいと言っているけど/もっといいアイデアがあるのよ》と反骨精神を立ち上らせるビート・ポップ「If I Had a Dog」と、あくまでもDIYな思考と音楽性を貫こうとするフランキー・コスモスの楽曲群は、ポップな平衡感覚をギリギリで保ち続ける類稀なセンスに満ちている。

 今にも消え入りそうな歌声で、ときにストレートな攻撃性を忍ばせながら響いてくる楽曲。しかし、具体的な人物名を歌詞に織り込み、プライヴェートな日記が音楽と化して届けられるかのような手応えは、ついつい耳をそばだててしまう中毒性を振りまいている。彼女の創作ペースと、率直極まりない表現スタイルとは、決して無縁ではないだろう。あけすけに怒りを伝える「Too Dark」にしても、狂おしい恋心を無防備に歌ってしまう「On the Lips」にしても、作為のようなものがほとんど感じられないのだ。

 《この歌を完成させることが出来ていないの/だから一緒に手伝ってくれる?》という最終センテンスを持つラヴ・ソング「Outside with the Cuties」の途方に暮れるような美しさは、彼女の孤独な魂を浮かび上がらせてしまうがゆえ尚更切ない。体裁を取り繕うことなく差し出されるフランキー・コスモスの音楽は、ローファイであることが目的ではなく、手段として選ばれている音楽なのだ。

 なお、グレタ・クラインは、『ソフィーの選択』で有名な俳優ケヴィン・クラインを父に、『グレムリン』などで活躍した女優のフィービー・ケイツを母に持つアーティスト一家だ。グレタ自身もかつては子役として映画に出演した経験があるという。フィールドは違えど、自己表現の本質に迫るようなフランキー・コスモスの音楽活動は、彼女の生まれ育った環境で自然に刺激され、培われた部分があるのかもしれない。(Text:小池宏和)

◎リリース情報
『ネクスト・シング』
2016/04/06 RELEASE
PCD-24500 2,400円(tax out.)

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