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緊急避難か正当防衛か?

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Q.

 甲さんが歩いていると、いきなりナイフを持った男性が襲い掛かってきました。甲さんは、やむを得ず、近くの一軒家に逃げ込もうとしたのですが、玄関に鍵がかかっていました。そこで、甲さんは、玄関を壊して、家の中に逃げ込み、男性からの襲撃をかわすことができました。

 刑法上形式的には、玄関を壊した点について建造物(または器物)損壊罪、住居侵入罪が成立し、民法上も形式的には玄関を破壊した点について不法行為が成立しますが、いずれの責任も違法性がないとされます。
 その根拠は何でしょうか?

(1)刑法上も民法上も正当防衛となる
(2)刑法上も民法上も緊急避難となる
(3)刑法上は緊急避難で、民法上は正当防衛となる
(4)刑法上は正当防衛で、民法上は緊急避難となる

A.

正解(3)刑法上は緊急避難で、民法上は正当防衛となる

 刑法上の正当防衛とは、「急迫不正の侵害に対して」なされるものです(刑法36条1項)。ですから、急迫不正の侵害が存在したとしても、急迫不正の侵害を行っていない第三者の玄関を壊したり、第三者の住居に侵入する行為は刑法上の正当防衛とはなりません。
 このような行為は、「現在の危難を避けるためにやむを得ずにした行為」として、刑法上の緊急避難に該当します(刑法37条1項)。

 民法上の緊急避難は、「他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損壊した」場合に成立します(民法720条2項)。
 したがって、暴漢から襲われている場合には、「他人の物から生じた」場合ではないので、民法上の緊急避難には該当しません。

 また、民法上の正当防衛は、「被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない」とあることからわかるように、防衛行為が、第三者に対してなされることが予定されています。したがって、設問の場合には民法上の正当防衛に該当します。

元記事

緊急避難か正当防衛か?

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