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デジタル教科書の真の価値を理解して教育システムの変革を!

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文部科学省がデジタル教科書の併用を認める案を提示

学習指導要領が改定される2020年度からタブレット端末などに内容をすべて取り込んだ「デジタル教科書」の併用を認める案を文部科学省が提示しました。

これだけネットが発達しデジタル機器が進化した21世紀に公教育でICTを活用することは不可避であり、方向性に大きな異論はないでしょう。
しかしながら、紙の教科書を主とする位置付けに変わりはなく、導入の時期や規模も即時一律ではなく段階的に各地の教育委員会の判断でという、やや腰が引けた提案である印象は拭えません。

デジタル教科書には様々な可能性を期待される

子どもたちにとっては持ち運ぶ教科書が減るだけでも有り難い話だと思いますが、デジタル教科書の音声・動画機能を使って、算数で図形を立体的に学んだり、国語で漢字の書き順を確認したり、英語の正しい発音を真似たりするなど、五感をフル活用して学習効果を高めることが一般には期待されているでしょう。

小中学生を指導している私自身も、教壇から口頭で何度も説明するより「百聞は一見に如かず」とパソコンで動画解説を1回見せる方が説得力が格段に高いことを日頃実感しています。

しかしながら、デジタル教科書の教育効果は科学的に実証されたとは言えません。
文科省が平成11~13年に実施したデジタル教科書の実証研究では、8割の児童生徒が「分かりやすかった」と肯定的に評価し、「意欲を高めることに効果的」と答えた教員も9割を超えました。

全般的にはデジタル教科書を評価する声が大勢を占めたものの、どの科目のどの分野で効果が高いかなど詳細なデータは不足しています。評価の時機と項目、計測方法、成否の基準などをデジタル教科書導入前に決めることが必要です。

デジタル教材の肝は即時データ収集・分析機能にあり

デジタル教材の真価は音声・動画機能だけではありません。
集団一斉授業では、先生が判断できるのは発言した生徒の意見だけで、他の生徒の理解度は後日テストを実施しないと判明しません。

ところがオンラインの練習問題ソフトではタッチパネルを通じて全員の回答が瞬時に表示されるため、一人ひとりの理解度に応じた個別指導が可能になります。
理解不足の単元があれば学年を遡って復習し、逆に授業より奥深く探求したい生徒には関連資料を調べるよう指導できます。

実は、効果的な個別指導を可能にする「即時データ収集・分析機能」こそがデジタル教材の肝心要なのです。

デジタル教材で教育システムを個別カリキュラムにすることが可能に

平成13年度文部科学白書でも宣言されている通り、21世紀の教育には一人ひとりの才能を伸ばし、創造性に富む人間を育成することが求められます。

そのためには明治以来100年以上続く「集団一斉授業」スタイルから生徒児童それぞれの学力や興味関心に合わせて学習内容を編成する「個別カリキュラム」へと教育システムを180度転換することが必須です。

これを実現するための手段の一つがデジタル教科書を含む教育ICTであり、デジタルの特性である「即時データ収集・分析機能」が鍵を握るのです。

市場調査会社のシード・プランニングによれば、教育用タブレットの市場規模は2014年度の9万台・36億円から20年度には530万台・2,120億円へと拡大すると予測されています。

最後の未開拓市場と目される教育業界に期待するITベンダーが競い合うように教科書のデジタル化を後押ししている面も否めません。
こうした動きに踊らされて使用目的を明確にしないままパソコンや電子黒板を実装すると、使わずに放置された最新デジタル機器が教室の片隅に積み上がることにもなります。

ICTの導入はあくまでも一人ひとりに見合った指導の実現を目的とすべきで、後付けで利用方法を考え出すのでは本末転倒です。

(小松 健司/21世紀教育応援団)

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