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脱メシマズに効果大? 失敗しないレシピ本は何が違うか

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 初心者向けの料理本のなかで異色の『ゆる自炊BOOK』(オレンジページ)が、3月17日の発売後からネットなどで評判を集め、すでに3刷を重ねた。「料理って意外に簡単らしい」と副題がついたこの本には、レシピによくある「火が通ったら」「透き通ってきたら」などのあいまい表現が一切なく、ほぼすべてに時間が明記されている。工程ひとつひとつの様子が写真つきで、途中で不安になっても参照しやすい。

 また、計量スプーンやカップなどを新たに買わずともカレーを食べるときのスプーンやペットボトルなどで代用できる方法が紹介されている。道具をそろえねばというプレッシャーとも無縁だ。

「進学や就職などで新生活を始める20~30代の、料理は得意ではないが節約や健康のために最低限の自炊をしたいと思っている人たちへむけてつくった料理本です。料理への関心がそこまで高くない人にも『料理っておもしろい、簡単じゃん』と興味を持ってもらえたらと思い、最低限の初期投資で取り組むことができて、調理の省ける手間を省いたレシピばかりを掲載しました」(株式会社オレンジページ広報室)

 収録されているレシピの多くは、フラインパンひとつだけで完成する。たとえば、チキンクリームパスタのレシピでは、スパゲティや鶏肉などの材料を順に入れ、煮汁を加えてフタをし火にかけて20分で完成する。普通のレシピならパスタをゆでる鍋が別に必要で、複数の工程を同時に進める複雑さを求められるが、このレシピなら工程が進むベクトルはひとつだけだ。そして、一人暮らしの賃貸物件に多い1口コンロでもつくれる。

「レシピの試作を繰り返していたころ、料理経験があまりない学生アルバイトにも協力してもらったところ『自分でもこんなに美味しく作れるんだ!』と感激していました。その学生が言うには、とりあえず一回はレシピ通りにつくってみるのが、最終的に自分の料理が美味しくなるコツだそうです。そのあと、自分好みの塩気にしたり、野菜を変えるなどアレンジすることを覚えてゆくと、たいていの料理が美味しく作れるようになると思いますよ」(株式会社オレンジページ広報室)

 いくら簡単に美味しく作れるといっても、ネットで良く言われる「メシマズ」、どんな料理を作っても不味くなる人には通用しないと思うかもしれない。だが、かつて自力で「メシマズ」から脱出した経験を持つプロブロガーの五藤隆介さんは、『ゆる自炊BOOK』のような、あいまいさを取りのぞいた初心者向け料理本は、自分のようなレシピを理解するのに苦労した人向けだという。

 五藤さんが料理をするようになったのは、妊娠中の妻が、ごはんのニオイを嗅ぐだけで気持ち悪いほどのつわりになったことがきっかけだった。黒こげで生焼けな焼き肉を作っていた五藤さんが悪戦苦闘して料理をするようになった体験は、『チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の 理系の料理』(秀和システム)にまとめられている。

「レシピにある専門用語がまったくわかりませんでした。『ひとつまみ』『適量』の具体的な分量が不明だし、『ひと煮立ち』『火が通ったら』は何分間加熱するのか。その都度、妻にきいて教えてもらいました。なんとか約1週間、10回くらい料理を続けたころ、料理も自分でなんとかなりそうだと思える程度になりました。1か月経つころには、レシピを見ながらだったら作れると思えるようになりました。最初の1週間を乗り越えられれば、料理は続けられるようになると思います」

 料理と無縁だったタイプの初心者には、ネットのレシピは不向きなものが多いと五藤さんはいう。人気が高いCOOKPADのレシピをみても、あたり前に料理している人にはわかるであろう工程は省略されており、理解できないからだ。それでも、量や工程の説明をひとつずつ解明し自分なりのレシピ読解をすすめた結果、今では料理ブログを別に立ち上げるほど、日常の料理が楽しい趣味となった。作ったことがない料理で食べてみたいものはまだあるので、とても広がりある趣味を持てたとも感じている。

「今でも失敗するとすごく嫌な気持ちになります。レシピを見ながら作って失敗が少ないのは、加熱時間が分単位で書かれていることが多い煮込む料理ですね。炒め物など食材を焼く料理や、素材の味に左右される生ものを使う料理は失敗する確率が高いです。その失敗もSNSへ投稿することで笑ってもらえたり、アドバイスをもらえたことで孤独が解消され、続けるモチベーションになりました。もし、ひとりだったら続けられなかったと思います」

 ネットでは定期的に「メシマズ」の話題で盛り上がる。なぜ不味くなるのかは個人の資質に求められがちだが、本当は彼ら、彼女らは「理解できていないレシピを独自解釈」したためではなかったか。『ゆる自炊BOOK』や五藤さんのような料理へのアプローチこそ、脱メシマズに最適な方法といえそうだ。

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