ダンサー田中泯 坂本龍一と「身体」をテーマに哲学談義

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ダンサー田中泯 坂本龍一と「身体」をテーマに哲学談義
J-WAVE で2カ月に一度、日曜にオンエアしている深夜0時からの番組「RADIO SAKAMOTO」(ナビゲーター:坂本龍一)。5月1日のオンエアでは、4月8日〜10日の3日間にわたって開催された坂本龍一のレーベルcommmons(コモンズ)の10周年記念イベント「commmons10 健康音楽」から、「身体」「健康」をテーマにした田中泯×坂本龍一のトークの模様をお送りしました。

田中さんは、独特のダンス活動を行い、世界的に評価を受けるダンサーです。

*  *  *

坂本:今回の「commmons10 健康音楽」。ただ健康といっても幅広すぎるので、いろんな角度から考えてみようということで、身体といえば“身体のエキスパート”と勝手に思っている田中泯さんに来ていただいたんですけども。身体とはなんでしょうか。

田中:なんでしょうかね。“これがないと俺じゃない”ということも確かなんですよね。でもいつか来るんですかね、身体なしの俺っていうの?

坂本:あー、埴谷雄高(はにやゆたか)みたいな世界ですね。物質の存在しない、意識だけの存在。

田中:「この身体がなくなると、俺はいなくなる」というようなことは、まあ私たちが生きている間はないでしょうけど。

坂本:幽体離脱なんてあるじゃないですか。意識がこう、体から離れていく。そういう経験をした人が世界中にたくさんいますけど、ああいうことは本当に起こるのでしょうか。

(中略)

田中:ただ、私たちの身体を代行をするものが、もう、どんどん出来ていて、知能まで代行してもらうような時代になってきていますよね。そうすると、私というものもなんだか危うくなってくる。

坂本:どこにあるのかっていう話ですよね。

田中:(怪我した指を見せながら)これ、昨日、怪我したのだけど、これも“私”なんですよ。私の指というよりは私なんですよね。どこもかしこも、もうケツの穴も私だし。

坂本:同時に、たとえば口の中、胃の中、ケツの中(笑)っていうのは、外界でもあるわけなんですよね。だから、そうすると私っていうものは、どこにあるのかっていうのは、なかなかわかりにくいですよね。

田中:でも、1個の細胞からはじまった私たちの人生ですから、まさに私たちの人生は、1個からはじまって、どんどんどんどん増えていった。その細胞のですね、この集合体の中で、その中で私っていうものが形成されていることは確か。僕はそれが面白くて、面白くて仕方がないんです。だから「お前はいったい何者なんだ」って言われても、へらへら笑っていられるような、そんな気分はありますけどね。

【関連サイト】
「RADIO SAKAMOTO」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/radiosakamoto/

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