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嬉しくて悲しく涙した、二度と食べられないと思っていた家庭料理の味

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Photo Credit: Edicolante「イタリア モンテフェルトロ地方 アックアラーニャとウルバーニア

こんにちは。イタリア在住15年、Compathy MagazineライターのEdicolanteです。
筆者には結婚して今年で10年になるイタリア人の夫がいます。イタリアで過ごした15年間でたくさんの旅をしました。夫と出かけた思い出もコンパシーの旅行記として残しています。

今回はそのうちの一つ、マルケ州のアックアラーニャという小さな街に行ったときのエピソードをお話します。

アックアラーニャはトリュフの都

アックアラーニャはマルケ州の北部、ウルビーノに近いモンテフェルトロと呼ばれる地方にあります。鹿やキツネも生息する自然でいっぱいの山間部の小さな村です。ここでは数種類のトリュフが採れます。

イタリアのトリュフといえばトリノが有名ですが、白トリュフ、上等な黒トリュフ、 夏のトリュフ、ビアンケットと呼ばれるものまで、 ここでは一年中、様々な種類のトリュフが食べられます。トリュフ以外にも、羊のペコリーノチーズ、また山では人里離れたところで暮らす牧人による、ヤギのチーズも作られているのです。

郷土料理のパッサテッリ

村中、トリュフの宣伝ばかりでレストランもいくつかありましたが、主人とふたりでなんとなく外観を見てビビッときたお店へ入ってみました。この日は12月25日でクリスマス。そのお店にも、クリスマスならではの特別メニューとして、豪華なランチコースもありましたが、私たちは食べたいものをアラカルトにしてみました。

私が選んだのは、パッサテッリという、この地方名物パスタとトリュフがかかっている仔牛のお肉。

Photo Credit: Edicolante「イタリア モンテフェルトロ地方 アックアラーニャとウルバーニア

パッサテッリが運ばれてきて、一口食べた瞬間、私は涙が出てきてしまいました。このまま食べ続けると大泣きしてしまうので、主人のお皿と替えてもらいました。主人にも食べてもらいたかったのです。実はこのパスタ、この日の1ヶ月前に亡くなった人の手作り料理と全く同じ味がしたのです! 主人も「同じだ・・・」と言った後、無言で食べていました。

亡くなった彼女は主人のベビーシッターであり、私が知り合った頃は、主人のおばあさんの介護ヘルパーでした。主人は早くにお母さんを亡くし、実の母親よりも長く彼女と一つ屋根の下に暮らしていました。

彼女は重病に掛かり長年間、闘病中でしたが、ずっと状態は良好でした。しかし泥棒に入られたことがきっかけで悪化してしまったのです。

気を失っているうちに、身につけていた主人のおばあさんからプレゼントされたアクセサリーも盗られたのがショックだったようです。介護ヘルパーというだけでなく、最期まで看取ったおばあさんの親友だったのだと思います。大切な想い出だったのに…。

クリスマスにはローマにいる他の家族と過ごさなくてはならなかったのですが、気分がのらず、二人で思い出のマルケ旅をすることにしたのが、ここにきた理由でした。しかし思わぬところで、もう二度と食べられない彼女の味を思い出させてくれた旅となったのです。

このパスタは、ペコリーノチーズという羊のチーズがかけられている、材料費がかからないシンプルなものですが、その後に食べた高級なトリュフとお肉の味が思い出せないくらい、このパスタの味は衝撃的においしかったのを覚えています。

Photo Credit: Edicolante「イタリア マルケ州 サッソフェッラート、チェゼーナ、サン・マリーノ共和国

平穏な世界への旅

最近私自身、人の死についていろいろと考えることが多かったので、今回はこの記事を書いてみました。イタリアでは亡くなった方に「よい旅を!」と声をかけることがあります。死後は平穏な世界へ旅立ちたいものです。

Photo Credit: Edicolante「イタリア マルケ州 サッソフェッラート、チェゼーナ、サン・マリーノ共和国

ライター・写真:Edicolante

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*Edicolante「イタリア モンテフェルトロ地方 アックアラーニャとウルバーニア
*Edicolante「イタリア マルケ州 サッソフェッラート、チェゼーナ、サン・マリーノ共和国

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