ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

全部歌えたことがうれしい!母娘で受けている音楽療法の話

DATE:
  • ガジェット通信を≫

音楽療法は、音楽を通して脳を活性化させたり、気持ちを落ち着かせる効果がある非薬物療法のひとつです。私たちが通っている音楽療法は介護者同伴のため、2年前から母と一緒に通っています。前回書いたオレンジカフェでもそうですが、気持ちよく楽しそうに歌う母を見ていると、「忘れてしまうことも多いけど、お母ちゃんはまだまだいろんなことが出来る!」と思えて、私もとてもうれしいです。

母が笑顔で歌っている横で、私も自然と笑顔になりながら一緒に口ずさみます。楽しい時間です。そこで今回は、私自身も効果を実感している、母とともに通っている音楽療法についてお話させていただきます。

前回記事:認知症カフェで友達を見つけることができた母の話

あれ?昔懐かしい記憶は残っている?

テレビで懐かしの歌特番を見ていると、母はいつも曲を口ずさんでいます。そして、「この曲は雅美が生まれた頃に流行っていた」「これは、新婚の頃の曲」と、音楽にまつわる思い出がたくさん母の口から出てきます。いろいろと忘れることが多い中で、イントロが流れると歌詞が自然と出てくる母を見て、いつも不思議に思っていました。

最初は音楽療法に通うのを嫌がったお母ちゃん

歌をうたったり、ピアノを弾いたりすることは、脳にとって刺激になるのでは?と思うようになりました。そこで、ピアノが得意だった母に、「ピアノの個人レッスンを受けてもらおう!」と先生も見つけて準備しました。しかし母は、「今さら、なんでピアノなんて習わなあかんの?習わなくても弾けます」と話には乗ってくれませんでした。

色々調べていたところ、京都医療センターの音楽療法の存在を知りました。「これは、母にぴったりだ!」と思い、音楽療法を受けるようになりました。音楽療法を受け始めて2年が経ちますが、今でも月に2回受けています。

音楽療法を受け始めた頃は、「行きたくない。歌なんて歌いたくない。ピアノも弾きたくない」と怒っていましたが、4回ほど受けていると「楽しい!」と思うようになったようで、それからは毎回楽しみに2人で通っています。

母がよく口ずさんでいるのは、昭和40年~50年代の歌謡曲と音楽療法士の飯塚先生に伝えたところ、「瀬戸の花嫁」や「津軽海峡冬景色」など、懐かしい曲を次々と弾いてくださいます。先生のイントロを聞いて、「なんの歌やったかな…?」と思い出しているうちに、歌い出しがきて、そのまま勝手に歌詞が口から出てくるという感じです。スラスラと歌詞が出てきて、気持ちよく歌って、とても楽しそうです。

不安な気持ちでいっぱいだったお母ちゃんの気持ちに少しずつ寄り添う

母は飯塚先生の伴奏で一曲歌い上げると、よく泣いていました。私にはその涙の意味がわからなくて、母に聞いたことがあります。すると、母は、「全部歌えたことがうれしい」と。この言葉を聞いて、母が「歌詞がわからないかもしれない。最後まで歌えるのだろうか…」と不安に思っていることに気付きました。

日常生活においても同じで、思うようにできないことや、不安に思うことがたくさんあるのだろうなぁと母の気持ちが少し解りました。いろいろなことに自信が持てなくなっていく中で、「一曲歌い上げる」ことは、母が「私もまだまだできる」と自信を回復することにつながるのだと思います。

実際、音楽療法を受けてからの母は、口数も多くなりましたし、周りへの気遣いも復活しました。いろいろなことに積極的に取り組むようになり、一旦は止めてしまったピアノをまた弾くようになりました。今でもレパートリーは増えています。

母の音楽療法の様子はこちらからご覧いただけます。

家族にも効果がある音楽療法

音楽療法を始めてから、母との会話が増えました。母娘二人で居ると、話題もそれほど続きません…。お天気の話は数分で終わってしまうし、話題を提供することにも疲れていました。それが、懐かしの曲を流しながら、音楽のことを話題にすると、とても会話が弾むようになりました。昴が流れると、「昴は、お父ちゃんの十八番やったね」と、父の思い出話に花が咲きます。「ルビーの指輪」では、その頃よく見ていたベストテンの話になります。

私にとっても楽しい思い出話なので、何回も同じような会話が続いてもあまり苦にはなりません。二人で同じ音楽を聞き、共通の話題で盛り上がれると、とても楽しいです。

本人も家族も楽しめることを見つけ出そう

音楽が苦手な人は、無理ですね…とよく聞かれます。音楽でなくても、ご本人とその家族が一緒に楽しめることを探せばいいと思います。母には音楽療法が見つかりましたが、それまでにはいろいろなことを試しました。臨床美術、ドッグセラピー、アロマセラピー、脳トレ、そろばん、手芸教室、笑いヨガなど。いろいろやってみて思ったことは、本人が楽しめることが一番大事。

次に、家族も一緒に楽しめることが良いと思います。母が「やらされている」と思い、私が「連れて行ってあげている」と思いながらだと、長続きはしませんでした。どちらも同じ想いで、同じように楽しめることが大切だと思います。ぜひ、ご家族の方は、ご本人のやりたいこと、楽しいと思えることを見つけ出し(簡単ではないかもしれませんが)、一緒に楽しんでみてください。

この記事を書いた人

河合雅美

1972年生まれ。夫と二人の娘の四人家族。介護老人保健施設と調剤薬局に薬剤師として勤務。アルツハイマー病の母(要介護2)が同じマンションの別フロアーで一人暮らしをしている。診断当初は、どうしていいのかわからず、母娘でケンカばかりしていた。ある時、母としっかり向き合うことができ、認知症があっても、やりたいことやできることがたくさんあることを知る。現在は、認知症と共に生きる母を前向きにサポートしている。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
認知症ONLINEの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP