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騒音だけなぜ消える? 「ノイズキャンセリング」の仕組みとは

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消えます、本当です

最近はオーディオ用のヘッドホンだけでなく、スマホ用のイヤホンにも搭載されているノイズキャンセリング機能。飛行機や電車の中でも、周囲の騒音を消して、音楽だけが聴こえるようにしてくれるというものだが、「本当に騒音だけ消えるの?」といぶかる方も多いだろう。ノイズキャンセリングのヘッドホンとイヤホンを愛用している筆者が断言します、本当です。

au Xperia(TM) Z5 SOV32対応の「ノイズキャンセリング機能搭載ハイレゾ・オーディオ対応ヘッドセット MDR-NC750」

ノイズキャンセリング技術の開発にいち早く取り組んできたBOSEの「QC25」

飛行機の中はジェットエンジン音が大きく、ヘッドホンで音楽を聴いていると「ゴー」という音が絶えず入ってくる。ところが、ノイズキャンセリングのヘッドホンだと、その「ゴー」の音が「サー」というまでに見事に小さくなる。あるいはカフェなどで仕事をするときに、このノイズキャンセリングのヘッドホンをオンにして、音楽をかけずにいれば、耳せんをしたみたいにカフェ内の喧噪が嘘のように聞こえなくなり、仕事に集中できる。実際、この騒音を聞こえなくすることに特化した、その名もズバリ、「デジタル耳せん」という製品も発売されている。それにしても、いったいどんなマジックを使っているんだろうか。

キングジムの「デジタル耳せん」。製品紹介のWEBサイトには、ノイズキャンセリング効果が確かめられる音声データが掲載されている
http://www.kingjim.co.jp/sp/mm1000/

プラス1+マイナス1=0

まず基本の原理だ。音は音波。ここはシンプルな波形のうねりをイメージしてもらおう。この音波に対して、形がそのまま正反対の音波(逆位相という)をぶつける。すると、2つの音波は打ち消しあって消滅する。プラス1とマイナス1を足すとゼロになるようなもの。下の図1を見てもらうとわかりやすいかと思う。つまり、騒音の音波に対して、逆位相の音波を重ね合わせることで、騒音の音波を消してしまうというわけだ。

では、ヘッドホン内部では、それをどうやって実現しているのだろうか。下図2を見てほしい。これはノイズキャンセリング(正確にはデジタルノイズキャンセリング)機能の概念図だ。ノイズキャンセリングのヘッドホンやイヤホンの内部には、実は小さなマイクがついている。このマイクで周囲の騒音が混じったヘッドホン内部の音(信号A)を拾い、その音がデジタル信号になってDSP(デジタルシグナルプロセッサ)というヘッドホンの回路に送られる。

一方、音楽(信号B)もデジタル信号としてこのDSPに送られる。次にこのDSP内で騒音の混じった信号Aと音楽の信号Bが比べられるのだが、音楽再生中は信号Aには音楽の音も混じっている。そこで、信号A(騒音+音楽)から信号B(音楽)を引く。すると騒音だけの信号Cが取り出されることになる。この信号Cの逆位相、つまり正反対のかたちをした音波をつくり出し、それと信号Bを重ねた信号Dを再生させるのである。

車内騒音だって消してしまえる

あえて単純に言い直せば、マイクでキャッチした騒音から、それを打ち消す音をつくり出し、その音を音楽の音と一緒にヘッドホンで流していると考えればよい。そうすれば騒音だけが打ち消され、音楽は消されずに聞こえるというわけだ。おわかりいただけただろうか。

このノイズキャンセリングの技術は、ヘッドホンやイヤホン以外のさまざまなところで使われている。たとえば、吸排気音がうるさいダクトの騒音低減にも、このノイズキャンセリングの技術は使われている。この場合は、騒音の逆位相の音をスピーカーから出して打ち消すのだ。まだ実用化は進んでいないが、鉄道やクルマの車内騒音を、このノイズキャンセリング技術を使って低減しようという動きもある。残念ながら、上司の小言や、誰かさんのイビキだけを消してくれる技術はまだないが……。

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