なぜシーンのトップに君臨し続けることが可能なのか?ビヨンセ『レモネード』最速レビュー(Album Review)

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なぜシーンのトップに君臨し続けることが可能なのか?ビヨンセ『レモネード』最速レビュー(Album Review)

 4月17日に『プロジェクト・レモネード』のイベントを予告する20秒のビデオ映像を公開し、意味深なメッセージと映像が話題となっていたが、その1週間後の4月23日、ついに6thアルバムとなる『レモネード』を、夫ジェイ・Zによる音楽配信サービスTIDALからリリースしたビヨンセ。前作『ビヨンセ』(2013年)から2年半ぶりとなる新作で、2月に開催されたスーパー・ボウルのハーフタイム・ショーで、先行シングル「フォーメーション」を披露するという、異例のプロモーションを行ったことも話題を呼んだ。

 ブレイズ・スタイルに、毛皮を纏ったビヨンセがうつむくジャケット写真がインパクト絶大、アルバム・タイトルである『レモネード』もナゼなのか?気になるところではあるが、実は昨年の夏から、自身のインスタグラムでレモンにまつわる投稿をしていたのだ。これもプロモーションの一環だったと思うと、ビヨンセのビジネスセンスには感服する。また、2006年に大ヒットした、自身の主演映画『ドリームガールズ』の出演にあたり、「レモネード・ダイエット」を成功させたのも、有名な話。

 前置きが長くなってしまったが、本作『レモネード』がどんな作品に仕上がっているかというと、2月上旬に、ビヨンセのスタイリストであるハンターが「素晴らしすぎる」と話していただけはあり、超充実した内容に仕上がっているということは、言うまでもない。先行シングル「フォーメーション」のような社会的な内容を盛り込み、R&Bだけではなく、幅広い音楽性を聴かせるアルバムに仕上がっている。

 たとえば、「ホールド・アップ」や「オール・ナイト」では、夏らしいレゲエをベースにしたサウンドに、「ドント・ハート・ユアセルフ」や「フリーダム」では、感情的に激しく歌い上げるロック・チューンを、アコースティック・ギターが印象的な「ダディー・レッスン」や、ピアノ1本で仕上げたバラード「サンドキャッスルズ」もあり、それらを全て歌い熟してしまうのだから、ビヨンセというアーティストの凄みを感じた。また、ジャンルが様々でも、アルバム・トータルで「バラバラした感じ」が一切ないのも、本作の魅力。サンプリング・ネタには、レッド・ツェッペリンの「レヴィー・ブレイク」や、ディオンヌ・ワーウィックの「ウォーク・オン・バイ」など、60年代~70年代の名曲が使われている。

 ゲスト陣も豪華。「ドント・ハート・ユアセルフ」には、ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト、「6インチ」にはR&Bシンガー、ザ・ウィークエンドが、今年の【グラミー賞】最多11部門にノミネートされたラッパー、ケンドリック・ラマーは「フリーダム」にクレジットされている。また、楽曲制作に参加したアーティストたちも強力で、昨年「シー・ユー・アゲイン」で大ブレイクしたチャーリー・プースや、ジャスティン・ビーバーとコラボした「ホウェア・アー・ユー・ナウ」が大ヒットしたディプロ、ヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・クーニグなどが参加している。

 いよいよ4月27日から、マイアミで【フォーメーション・ワールド・ツアー】がスタートする。本作を聴くかぎり、静も動も存分に楽しめるステージになるだろう。残念ながら、現段階では来日の予定はないが、アルバムのプロモーション、もしくは追加公演で、再び日本に来てくれることも、期待したい。本作『レモネード』を聴いて、改めてビヨンセというアーティストが、シーンのトップに君臨し続けていることを実感できた。それほど、このアルバムはすばらしい。

Text: 本家 一成

◎『レモネード』トレイラー
https://youtu.be/BB5zLq1zcdo

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