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アメを食べたら風邪をひかないという言い伝えの「アメッコ市」。ついでに秋田犬もモフモフしてきた

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秋田県大館市の祭り「アメッコ市」はワイルドで素朴キャンディ祭り

時は天正16年(西暦1588年)。

ついに天下統一を果たした豊臣秀吉が刀狩令を発布したまさにその年に始まったとされるのが秋田県大館市の祭り「アメッコ市」。皆の衆、ご存知か。

毎年2月の第二土曜日と翌日曜日に行われており、すでに400年以上の歴史を持つ伝統行事である。

この日、白ひげ大神という神さまが山から降りてきてアメを買っていく。

ゆえにこの日にアメを食べると一年間風邪をひかないという古くからの言い伝えがある。

そんな謂われのある、ありがたい祭りである。「風邪封じ」の幟もドカスカとはためいている。

アメッコ市の日は決まって吹雪になるという。神さまが足跡を消すために雪を降らせるからである。

取材日は雨になった。白ひげ大神さまはいらっしゃった。

アメッコ市は神事でもあり、会場には社も作られる。大通りの両脇に露店の並ぶ縁日的なものではあるが、歴史あるお祭りなのである。

巫女さんもたくさんいらっしゃる。

足元の藁沓(わらぐつ)がかわいいので見てほしい。


高校生もデートする枝アメ作り体験

会場のあちこちで梅が咲いたようになっているが、これは縁起物の枝アメである。

ミズキの枝にアメッコがくくりつけられているのだ。

枝アメ作りを体験できるコーナー(300円)がある。おみやげにうってつけであることは言うまでもないが、地元高校生カップルもここでデートをしていたことは書き残しておきたい事実である。なんかもう初々しすぎてオレの胸がどうにかなりそうであった。

この高校生カップルが時おり視線を合わせ頬を赤らめ微笑み合いながら作業しているように、枝のV字の部分にアメッコをワイヤで固定するのだ。


とにかくアメをたくさん売ってる“キャンディフェス”

さて、アメッコ市。

お祭りとしてはどのようなものかというと、とにかくアメがたくさん売られる。地元の飴店が昔ながらの素朴なアメやオリジナル新作のアメをたくさん売るのだ。昔、まだ砂糖が貴重なものだったころのアメの価値を想像していただけると、当時はいかに非日常な甘さに満ちたお祭りであったかがわかっていただけることだろう。日本各地にアメのお祭りはわりと多いのだが、昔は砂糖が貴重なものだったからではないだろうか。

もちろん砂糖など珍しくもなくなった現代においても、カラフルで甘ぁいキャンディフェスティバルは普通に楽しいイベントである。


お菓子の家の建材に最適

会場で見つけて気になったアメッコをいくつか紹介しよう。

ザリザリとしたテクスチャのカラフルな軽石みたいなものは、カラメル焼きみたいなアメである。泡立てた卵白を入れて膨らませているとのこと。今年の新作らしい。

実際に食べてみますと、軽石を食べてるみたいなサクサク食感でありつつ甘いという不思議なキャンディ体験。これはおいしい。ピンク色なのはいちごフレーバーシロップが入っているからである。まったく夢のような色と食感。お菓子の家の建材として非常に重宝しそうなマテリアル発見である。

イチゴアメがすごく安い

ところでお祭りのアメといえば、定番はイチゴアメではないだろうか。

このお値段はすごい。150円とは驚きである。そして作る手際もすばらしい。

ぐらぐらに煮立ったベッコウアメのタネをイチゴにくるくると巻きつけ、金属製のバットにきれいに並べていくのである。

お祭りの定番イチゴアメがこのお値段なのはうれしい。会場ではイチゴアメを食べ歩く女の子が目についた。女の子はイチゴアメやりんごアメが好きだという印象があるのは筆者だけだろうか。

いろんな和風テイストのアメが超安い

安いといえば、たくさんの飴店が露店を出しているお祭りなので、アメをパックではなく一個から買うことができるのだ。つまり本当に安い。

いろんな味のアメをちょっと買って舐めながら歩くとか、適当に組み合わせてアソートをこしらえるなどの行為が気軽に楽しめる。

あんこ、しょうゆ、しょうが、甘酒などのシブいラインナップもある。アメッコ市では珍しくないフレーバーだが、コンビニやスーパーではなかなかお目にかかれないタイプの和風テイストだ。

なんともかわいいアメ細工

アメッコ市、この祭りの華は細工アメではあるまいか。

アメでいろんなカタチのものを作るわけだが、繊細な和菓子や芸術的なお菓子細工とは趣きが異なるファニーなアイテムに出会えるのだ。

ここ大館市の名物でもある秋田犬をかたどった細工アメである。

うわああ、なんとも趣があってかわいい!

ご覧なさいよこの親子犬(350円)。

母犬の背中に2匹の子犬が甘えた感じで乗っかっちゃってねえ。なおかつ、ずいぶんな大きさなので砕かないと食べられないのだ。

人としての器が試されるアメなのだ。

ほんのりあたたかい水アメを口の中に突っ込まれるシステム

さてこちらは「からみアメ」(無料)。

アメッコ市において無料で配給される昔ながらの水アメである。時間が来ると会場内に放送が流れて、それを合図に行列ができ始める。

からみアメはとろとろの水アメである。職人さんが練り上げたものをすくい取ってそのまま口に入れてくれるシステムとなっている。

行列している人たちは口を開けて待ち構え、職人さんの「はい、あーん」の掛け声とともに次々と食べさせられていく。すごいスピードで行列は進んでいくのである。

なぜそのようなシステムになっているのかというと、とにかく柔らかいのである。

エクレアというお菓子があるが、あれはフランス語で「雷」という意味。諸説あるが、雷のような早さで食べないと溶けてしまうという意味でそのような名付けになっているそうだが、からみアメはまさにアメのエクレア。「食べ終わるまで口から出さないでください」という注意喚起がなされるほど、とろとろである。

自撮りをキメながらからみアメをいただく筆者のゴキゲンな様子だ。

「とろとろのアメを口に突っ込んでもらう」というなんとも言えないバブみ体験がすごいスピードで進む。このイベント性は非常にアツい。

アメはすぐに口の中いっぱいに広がる。ほんのりあたたかくてすこぶる甘い。こんなアメ食べたことない。

鍋で叩いてアメを砕いて煮詰める、そんなアメライブ

アメ湯の販売もある。

フレーバーはショウガ味、酒かす味、うめ味

砕いたアメを熱してカラメリゼしたものをお湯に溶かしてボディを作り、フレーバーはあとで足される。

作っているところを実演していたのだが、これが非常にワイルドなのである。

会場にある枝アメ、あれと同じアメッコを片手鍋の底でガンガンぶっ叩いて砕くのだ。アウトレットのアメがここでアメ湯の材料となる。

筆者もガンガン叩かせてもらったけども、平時において「忍法鍋底アメ砕き」は、やったら怒られるタイプの散らかりっぷりである。なので、めっちゃ痛快である。とにかくアメをガンガンぶちのめすのである。

アメ湯実演のクライマックスは、煮詰められた砂糖が一気に泡立ってカラメルに変質する瞬間である。

シズル感あふれるサウンドと共に茶色いシロップが白く沸騰すると、思わず歓声があがる。これをお湯に溶かし入れてアメ湯は完成する。なんだこのライブ感は。

ここでアメをぶっ叩いていた女の子とも仲良くなれたし、なんかもういいことばかりであった。

ハチ公の故郷で、もふもふな秋田犬をモフモフ

さて、秋田県大館市は秋田犬のふるさとである。秋田犬といえば渋谷のハチ公もそうである。事実、大館市と渋谷区はハチ公を通じて姉妹都市関係にある。言うなれば、大館市は「東北の渋谷」と言っても過言ではない。いや過言だ。申し訳ない。

さまざまなパターンの秋田犬の細工アメがある。

そしてアメッコ市の催し物の中にはたくさんの秋田犬によるパレードもある。

ふっさふさの秋田犬をモフモフし放題なのである。

あいにく取材日は雨となった。モフモフしそこねたところはあるが、休憩所のストーブの前でくつろぐ秋田犬がなんだかかわいかったのである。

凛々しいトラ毛の秋田犬はソラメちゃん。生後10カ月半にして体重30キロである。

ソラメちゃんはイベント出演が多くて人に慣れているとのこと。

美形であることを買われてか、新幹線の中にある冊子で「秋田美人」として紹介されていた。生まれて1年も経っていないのにすでにタレントである。自らポーズを決めてくれるあたり、かなりのタレント性を感じる。

「アメッコ市」は旧正月の12日、2月の第二土曜日と翌日曜日に行われる。

冬場に行われるアメの祭りは日本中にあるが、農閑期に人々が集まって作業をするとか、カロリー源として貴重な砂糖の売買であるとか、そこには合理的な理由があったものと思われる。

砂糖は温度によって8種類くらいに状態変化する化学的におもしろい食材だ。

古くからの日本人が砂糖をなんやかや工夫していろんな状態に変化させ、目や舌で楽しんできた足跡をたどることができるのも「アメッコ市」の楽しみ方のひとつだ。

んでまあ、実際に行ってみたら、やたらとライブ感のある実演販売や、経験したことのないアメの食べ方など、単なるアメのお祭りなのにイベント性が豊富で参っちゃったのであった。

イベント情報

大館市観光協会

大館アメッコ市


書いた人:

鷲谷憲樹

ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。好きなアメはあのイチゴのやつ。好きな犬は秋田犬。好きな魚は煮付けたハタハタ。 Twitter:@nwashy

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